一次電圧
一次電圧の概要と定義
一次電圧とは、変圧器や電動機といった電気機器において、電源を接続して電力を受け取る側の巻線に印加される電圧のことである。電気設備では一般的に、入力する側の電圧を一次電圧と呼び、対して出力する側の電圧を二次電圧と呼ぶ。
変圧器の原理は、一次側の巻線に交流電圧を印加することで鉄心内部に磁束の変化を生じさせ、電磁誘導作用によって二次側の巻線に新たな電圧を発生させるものである。このとき、一次電圧と二次電圧の比率は、一次巻線と二次巻線の巻き数比に比例するという関係がある。
昇圧変圧器と降圧変圧器における関係
一般的にビルや工場の受変電設備では、6600Vなどの高い電圧を受け取り、100Vや200Vといった使いやすい低い電圧に変換して出力するため、一次電圧が高く、二次電圧が低いという関係になる。これを降圧変圧器と呼ぶ。
しかし、発電所や太陽光発電設備などでは逆の構成となることがある。発電機で作られた低い電圧を、送電ロスを減らすために高い電圧に変換して送り出す場合は、入力側である低い電圧が一次電圧となり、出力側である高い電圧が二次電圧となる。つまり、必ずしも高い電圧のほうが一次電圧であるとは限らず、あくまで電力の流れる方向によって一次と二次が定義される点に注意が必要である。これは昇圧変圧器と呼ぶ。
タップ電圧による二次電圧の調整
実務において一次電圧の管理が重要となる場面のひとつに、変圧器のタップ調整がある。電力会社から送られてくる電圧は、変電所からの距離やその地域の電力使用状況によって変動するため、必ずしも定格通りの6600Vで受電できるわけではない。
もし一次電圧が定格よりも低い状態で受電してしまうと、変圧比の関係で二次電圧も規定値を下回ってしまい、供給先の機器が正常に動作しない恐れがある。このような場合、変圧器の一次側巻線の接続位置であるタップを切り替えることで対応する。
例えば、受電電圧が低い場合は、一次側のタップを6600Vから6450Vや6300Vといった低い値の設定に変更する。これにより巻数比が調整され、一次電圧が低くても二次電圧を定格の200V付近に維持することが可能となる。
計器用変圧器における一次電圧
高圧の電気回路において電圧を計測する場合、テスターなどを直接電路に当てることは絶縁破壊の危険があり不可能である。そのため、計器用変圧器と呼ばれる計測専用の変圧器を用いて、安全な電圧に変換してから計測を行う。
この場合、測定対象である6600Vなどの高圧回路が一次電圧となり、電圧計に入力される110Vの低圧が二次電圧となる。中央監視室などで表示されている電圧値は、この二次電圧を計測し、計器用変成器の変圧比係数を掛け合わせて一次電圧に換算した数値を表示している。
変圧器の種類や特徴・特性については油入変圧器・モールド変圧器の構造を参照。












