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分岐器

幹線からの信号取り出しとレベル維持

分岐器は、テレビ共聴設備の伝送路(幹線)において、メインの信号レベルを極力維持したまま、必要な分だけの信号を支線側へ取り出すために用いられる機器である。ビルやマンションの縦系統配線や、広範囲にわたるケーブルテレビ網の幹線分岐に不可欠である。

分岐器には「IN(入力)」「OUT(出力)」「BR(分岐)」の3つの端子がある。INに入力された信号は、大部分がOUT(幹線)へ通過し、一部がBR(支線)へ分かれる。この際、OUT側の減衰(通過損失)を最小限に抑えることで、後段に接続される機器への影響を少なくし、長距離伝送を可能にしている。

分配器との違い

よく混同される機器に「分配器(Splitter)」があるが、その役割は明確に異なる。分配器は、入力信号を均等に分ける機器である(例:2分配器なら1/2ずつ)。分配数が増えるほど、全ての端子で信号レベルが大きく低下するため、幹線の途中で分配器を多用すると、末端に届く信号が激減してしまう。

対して分岐器は、信号を不均等に分ける機器である。幹線側(OUT)には90%以上の信号を通し、分岐側(BR)には10%程度しか流さない、といった設計が可能である。これにより、上流から下流まで直列に配線しても、末端まで十分な信号レベルを確保することができる。

結合損失と逆結合阻止

分岐器の性能を示す指標として「結合損失(タップロス)」と「逆結合阻止(アイソレーション)」がある。結合損失は、幹線からどれだけの信号を分岐側に回すかを示す値であり、建物の階数や伝送距離に応じて、適切な減衰量の製品を選定する必要がある。例えば、上層階は結合損失を大きく、下層階は小さくするなどが考えられる。

また、分岐器は方向性結合器としての特性を持ち、分岐側(BR)から逆流してきたノイズや反射波が、幹線側(IN/OUT)へ戻ることを防ぐ「逆結合阻止」の機能も備えている。これにより、ある家庭で発生したノイズが幹線を通じて他の家庭へ波及する流合雑音障害を防止する効果がある。

システム設計上の注意

分岐器は幹線レベルを維持するのに有利であるが、それでも通過損失はゼロではない。多数の分岐器を直列に接続する場合、挿入損失が累積し、末端付近ではレベル不足やC/N比(搬送波対雑音比)の悪化を招くおそれがある。

そのため、設計時には幹線増幅器(ブースター)を適切な位置に配置してレベルを補償するか、あるいは幹線を分配器で系統分けし、1系統あたりの分岐器接続数を抑制するなど、全体のレベルダイヤグラムを計算した上で配置計画を行うことが重要である。

テレビ共聴設備の設計方法や詳細についてはテレビ共聴設備の計画を参照。

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