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フロアコンセント

フロアコンセントの基本構造と用途

フロアコンセントは、建築物の床面に埋め込んで設置し、接続部分を床下に収容する配線器具である。壁面にコンセントを設置できない広い室内の中央部などにおいて、電気機器へ電源を供給するために用いられる。

未使用時はほこりや異物が内部に侵入しないように専用のカバーが施されており、使用時にのみカバーを開けてプラグを接続する。多くの製品では、プラグを接続した状態でもコードのみを床面から引き出し、カバーを閉じてフラットに近い状態を保てる構造が採用されている。

多機能化と通信インフラとしての活用

フロアコンセントは電源の取り出しにとどまらず、電話機やLAN用のアウトレットなどを同一のプレート内に収容し、マルチコンセントとして利用することが可能である。100Vの電源コンセントとLANアウトレットを併設することで、パーソナルコンピュータやスイッチングハブなどの情報機器を直近で接続できる。

これにより、オフィスのデスク周辺や会議室などにおいて、情報網の拠点としての機能を果たす。複数の配線を床下に隠蔽できるため、室内の美観を損なわず、配線が露出することによる断線リスクを低減する。なお、通信線と電源線を同一のフロアコンセントに収容する場合、電磁誘導による通信ノイズを防ぐため、内部で金属製のセパレータを設けて物理的および電気的に隔離する措置がとられる。

施工環境別の配線方式と特徴

フロアコンセントの設置には、床の構造に応じた適切な配線方式が選択される。建築物の床構造によって施工手順や配線の自由度が大きく異なる。

  • コンクリートスラブ埋込方式は、建築の躯体工事の段階で床スラブ内に電線管を打ち込み、指定の位置にアウトレットボックスを埋設する方式である。配線経路が固定されるため施工後の移設は困難である。
  • 二重床方式は、コンクリートスラブの上に支持脚を立てて床パネルを敷き、その空間に配線を通す方式である。床パネルの開口部にコンセントをはめ込むため、オフィスレイアウトの変更に伴う移設や増設が容易に行える。
  • フロアダクト方式は、床スラブ内に金属製のダクトを格子状に埋め込み、交点や任意の場所から電源や通信線を取り出す方式である。大規模な執務室などで採用されていたが、現在はOAフロアを道板二重床工法が主流であり、フロアダクト方式の採用は少ない。
フローリングの床に取り付けられたアップコンセント

水分侵入のリスクと安全対策

フロアコンセントは床面よりも低い位置に充電部や情報配線の接続部が存在するため、飲み物の転倒や食品の落下、清掃用洗剤といった液体が内部に入り込みやすい環境にある。液体の侵入はトラッキング現象や絶縁不良を引き起こし、漏電や火災の直接的な原因となる。

これを防止するため、清掃時に水を使用する場所や、厨房などの水回り周辺にはフロアコンセントを配置しないようにし、通常のオフィス環境であっても、清掃作業時の水拭きやワックス掛けの際には、内部に液体が浸入しないよう運用上の注意が求められる。

段差による歩行への影響と配置計画

フロアコンセントの表面カバーは強度を保つために数ミリから十数ミリの厚みがあり、フローリングやタイルカーペットなどの床仕上げ材と完全に段差のない施工を行うことは難しい。このわずかな段差は、歩行者のつまずきや、台車および掃除機のキャスターが引っかかる原因となる。

そのため、設計段階での配置計画が重要となる。不特定多数の人が通行する主通路や、避難経路となる動線上への設置は避ける。主にデスクの下や壁際など、歩行の妨げにならないデッドスペースを優先して配置することで、安全な歩行環境を維持することが望ましい。

耐荷重性能と材質の選定

床面に設置されるという特性上、フロアコンセントは人体による踏みつけだけでなく、重量のある什器や機器が通過する際の荷重に耐えうる機械的強度が必要である。内部の樹脂部品や充電部を保護するため、外装の材質には使用環境に応じた選定が行われる。

一般的なオフィス向けには、軽量で意匠性に優れた樹脂製のカバーが用いられることが多いが、展示場、大型商業施設など、重量台車が通過する可能性のある場所では、金属製の製品を用いたとしても容易に破損してしまうため、台車などが通過する場所を避け、破損のおそれのない計画が求められる。

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