浮動充電
負荷と並列接続する常時給電方式
浮動充電は、整流装置(充電器)に対して、蓄電池と負荷設備を並列に接続し、常時一定の電圧を印加し続ける充電方式である。「フロート充電」とも呼ばれる。
通常時は、整流装置が交流電源(商用電源)を直流に変換し、接続されている負荷へ電力を供給すると同時に、蓄電池の自然放電(自己放電)を補うための微弱な充電電流を供給する。これにより、蓄電池は常に満充電状態を維持することができる。受変電設備の操作電源や、非常用照明、通信設備のバックアップ電源として広く採用されている標準的な方式である。
停電時の無瞬断供給とピーク対応
浮動充電の最大の特徴は、商用電源が停電した際、スイッチの切り替え動作なしに無瞬断で、蓄電池からの電力供給へ移行できる点にある。蓄電池と負荷が常に直結されているため、整流装置からの出力が停止した瞬間に、電流の流れる方向が「整流器→負荷」から「蓄電池→負荷」へと自然に入れ替わる。
また、遮断器の投入操作などで一時的に整流装置の定格を超える大電流(突入電流)が必要となった場合、蓄電池がその不足分を補うバッファとしての役割を果たす。これにより、整流装置の容量をピーク電流に合わせて過大にする必要がなく、設備コストを抑制できる。
トリクル充電との違い
類似の充電方式に「トリクル充電(維持充電)」があるが、これは負荷と蓄電池が切り離されている点が異なる。トリクル充電は、自己放電分のみを補う微小電流を流し続ける方式であり、負荷への電力供給は行わない。
主に非常用発電機の始動用バッテリーなどで採用されるが、停電時に負荷へ電力を供給するためには切替スイッチが必要となり、瞬断が発生する。対して浮動充電は、常時負荷がつながっているため、瞬断を許容できないコンピュータや計装制御機器の電源に適している。
整流装置の容量選定
浮動充電方式における整流装置の出力容量は、以下の2つの要素を合計した値で選定する必要がある。
- 定常負荷電流:接続されている機器が常時消費する電流。
- 回復充電電流:停電などで蓄電池が放電した後、所定の時間内(一般的には10時間率や24時間率など)に満充電まで回復させるために必要な電流。
単に負荷電流だけで選定すると、停電復旧後に蓄電池への充電電流が不足し、いつまでも満充電に戻らないばかりか、充電不足により再度停電が発生した際にバックアップ時間が確保できないトラブルを招くため注意を要する。
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