防災センター
防災センターは消防法で定められた防災施設のひとつであり、高層建築物・大規模建築物・地下街など、火災発生時に高度な防災対応が求められる防火対象物において、消防設備や防災設備を集中監視・操作・管理するために設置される。
法的根拠は主として消防法施行規則第12条に置かれており、一定規模以上の建築物等に対し、自動火災報知設備を中心として、建物の防災設備を監視する「総合操作盤」の設置を義務付けており、総合操作盤を監視する室を「防災センター」として位置付けている。
消防法施行規則では、防災センターを「総合操作盤その他これに類する設備により、防火対象物の消防用設備等又は特殊消防用設備等その他これらに類する防災のための設備を管理する場所」と定義している。防災センターは単なる設備監視室ではなく、火災の発見や通報、初期消火といった防災活動の指揮などを統合的に行う拠点として位置付けられている。
そのため、防災センターは消防隊が活動するための面積を確保し、ボンベを背にした消防隊が、消火や避難の指揮を行うための指揮台を設置するスペースを確保するなど、防災センターの構造が消防法で定められている。
総合操作盤の設置基準と構造
一定規模の建築物では、屋内消火栓やスプリンクラーといった消火設備だけでなく、空調を制御する中央監視設備、換気設備、自動火災報知設備、放送設備、電気錠の解錠といった、多くの設備を監視・操作することになり、消防庁長官が定める基準に適合した「総合操作盤」を設置することとなる。
総合操作盤は「防災センター」「中央管理室」「守衛室その他」に設けることが求められており、設置対象となる防火対象物の規模は、下記のようにまとめられる。
- 延床面積が50,000㎡以上
- 地階を除く階数が15以上かつ、延床面積30,000㎡以上
- 延床面積が1,000㎡以上の地下街
また、下記の防火対象物にあっては、「消防長又は消防署長が火災予防上必要があると認めて指定するもの」として、消防指導により設置することが求められる。
- 地階を除く階数が11以上かつ、延床面積10,000㎡以上
- 地階の床面積合計が5,000㎡以上
また、自治体によって、中央管理室や守衛室ではなく「防災センター」を設けることを指定した条例を運用していることが多く、その場合は自治体条例に応じた機能や構造を満足した「防災センター」としての整備を行わなければならない。
総合操作盤による集中管理を行う場合には、監視・操作装置の機能や方法、管理体制等を定めた計画を事前に届け出る義務が課されている。防災センターには専門的知識と技能を有する「防災センター要員」を配置することも義務付けられており、原則として24時間の管理体制が求められる。そのため、仮眠室といった福利施設を併設することが一般的で、設備員や警備員が交代体制で配置する。
防災センター要員は、防災センター技術講習を修了し、修了証の交付を受け、かつ自衛消防技術認定証を有する者でなければならない。これにより、防災センターは設備面にあわせて、人員面においても災害対応能力を確保する仕組みとなっている。
防災センターの構造
防災センターは、避難階またはその直上・直下階で外部からの出入りが容易な位置に設けることが定められている。基本的に、外部からのアクセスが最も容易な1階に設置されることが多いが、地下1階や2階とすることでも差し支えない。その場合、直通の階段を指導されるといったこともあるが、できるだけ外部からのアクセスが容易な場所に計画することが望ましい。
また、防災センターを構成する区画は耐火構造とし、防火戸、不燃材料による内装など、高い防火性能が求められる。防災センターに浸水が発生すると、防災拠点としての機能を失ってしまうことから、浸水防止措置として気密性の高い扉とすることや上部を防水すること、防災センター用の加湿配管といった必須のものを除き、給排水配管を通過させない配管ルートの配慮が求められる。
また、消防隊がアクセスしやすいように扉を火災時自動解錠すること、煙の流入を防ぐ設備を備えることなど、災害時にも継続して機能することが前提とされている。












