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非常通報装置

緊急事態の自動通報と音声伝達

非常通報装置(Emergency Reporting System)は、火災、ガス漏れ、不審者侵入、急病などの緊急事態が発生した際に、電話回線を使用してあらかじめ登録された通報先(警備会社、警察、消防、管理会社など)へ自動的にダイヤルし、音声メッセージやデータ信号を送信する通信機器である。

一般家庭や店舗では防犯・非常ボタン連動型が用いられるが、福祉施設や病院、一定規模以上の建築物においては、消防法および関連規定に基づき、火災受信機と連動して消防機関(119番)へ自動通報を行う「火災通報装置」の設置が義務付けられる場合がある。これらは、パニック状態にある人間が正確な住所や状況を伝えられないリスクを排除し、迅速な初動体制を確立するために不可欠な設備である。

回線捕捉機能と優先接続

非常通報装置の重要な機能要件として、回線捕捉がある。これは、同じ電話回線を使用しているFAXや一般電話機が通話中であっても、それらを強制的に切断し、非常通報を最優先で割り込ませる機能である。

この機能を実現するため、非常通報装置は屋内配線の最上流(MDFや保安器の直下)に設置し、そこから下流のPBX(構内交換機)や電話機へ回線を渡す「直列接続」とする。並列接続を行ってしまうと、他の電話機が使用中の場合に回線が塞がれて通報不能となるため、施工時の結線には注意が必要である。

通信インフラの多様化とVoIP回線への対応

従来、非常通報装置はNTTのアナログ加入電話回線(アナログ回線)での使用を前提に設計されていた。しかし、近年の通信インフラの光回線化に伴い、IP電話(ひかり電話など)への接続が一般的となっている。

IP電話回線では、アナログ回線とは給電電圧や極性反転のタイミングが異なる場合があり、古い機種では「通報できない」「着信を認識できない」といった不具合が生じることがある。そのため、設計・選定段階において、接続する回線種別(アナログ/ISDN/IP)と装置の適合性を確認する。特に消防機関へ通報する火災通報装置においては、総務省令で定められた技術基準に適合し、IP回線対応の認定を受けた機器を選定しなければならない。

電源の二重化とバッテリー管理

災害時には商用電源(AC100V)が喪失する可能性が高いため、非常通報装置には予備電源の内蔵が義務付けられている。停電時であっても、一定時間は待機および通報動作が可能でなければならない。

内蔵バッテリーの寿命は通常3年から5年程度であり、容量が低下すると停電時に機能不全に陥るため、定期的な点検と交換が必要である。また、システム全体として信頼性を高めるため、通信線が断線した場合や、バッテリー電圧が低下した際に、管理室へ異常警報を出力する自己診断機能を備えた機種の採用が望ましい。

通報装置の法的基準や設計については消防機関へ通報する火災報知設備を参照。

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