電気設備の知識と技術 サイトロゴ

🏠 電気設備の知識と技術 > 電気設備用語辞典 > パワーコンディショナ

パワーコンディショナ

PCSの役割と基本原理

パワーコンディショナ(Power Conditioning System:PCS)は、太陽光発電や風力発電によって生み出された「直流電力(DC)」を、家庭や工場、電力会社の送配電網で使用できる「交流電力(AC)」に変換する電力変換装置である。

単なるインバーター機能だけでなく、発電電力を最大限に取り出すための制御機能や、電力会社の系統と安全に接続するための保護機能を一体化した、発電システムの心臓部といえる機器である。

発電ソースによる制御の違い

PCSは接続する発電設備の特性に合わせて、異なる制御ロジックで動作する。

太陽光発電用PCSは、日射量や温度によって刻々と変化する太陽電池の出力特性に対し、常に最大の電力が得られる電圧・電流の組み合わせを探し出し、動作点を追従させるMPPT制御(最大電力点追従制御)を行う。これには「山登り法(P&O法)」などが用いられる。

また、複数のMPPT回路を持つ「マルチストリング型」では、接続される太陽電池の方位や傾斜が異なっても、回路ごとに独立して制御できるため、部分的な影の影響を最小限に抑え、システム全体の発電ロスを低減できる。

風力発電用PCSは、風速の急激な変動に対し、風車の回転数と協調した制御が求められる。可変速風車の場合、AC-DC-AC変換方式を用いることで、風速によって入力周波数が変動しても、系統側には安定した周波数の電力を供給する。また、系統事故時の電圧低下に耐えて運転を継続するLVRT(Low Voltage Ride Through)機能が重要視される。

系統連系機能と保護システム

電力会社の商用系統に接続(連系)するためには、電力品質を維持し、事故時の安全を確保するための厳格な機能要件が定められている。

  • 電力品質の維持:出力する交流の電圧、周波数、高調波による波形の歪みを、系統の規定値内に精密に制御する。
  • 単独運転検出機能:停電や事故で系統からの電力が途絶えた際、PCSが発電を続けてしまうと、線路の修理を行う作業員が感電する危険がある。これを防ぐため、系統の異常を検知して自動的に解列する機能。
  • 電圧上昇抑制機能:発電量が消費量を上回り、系統側の電圧が規定値を超えそうになった場合、PCSが出力を自動的に絞り込み、電圧の逸脱を防ぐ機能。

効率特性と損失の低減

PCSの変換効率は、定格出力付近では95%~98%と非常に高いが、負荷率が低い状態では効率が低下する傾向にある。太陽光発電は日照条件により出力変動が激しいため、定格時だけでなく、部分負荷時の効率も重要な選定指標となる。

主なエネルギー損失は、パワートランジスタの「スイッチング損失」や「導通損失」による熱である。近年では、従来のシリコン(Si)に代わり、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)といった次世代パワー半導体を採用することで、損失を大幅に低減し、冷却機構を小型化した製品も普及している。

設置環境とメンテナンス

屋外用PCSには、雨や塵埃の侵入を防ぐため、一般的にIP54以上の保護等級が求められる。特に沿岸部では、塩害による基板腐食を防ぐための重耐塩仕様や、密閉構造の採用が必要となる。また、直射日光による温度上昇は発電出力の抑制を招くため、北面設置や日除けの設置が推奨される。

PCSの寿命を左右するのは、主に「電解コンデンサ」と「冷却ファン」である。これらは熱による経年劣化が避けられないため、定期的な点検や予防交換が必要である。最近では遠隔監視システムにより、発電量やエラー履歴だけでなく、内部温度などのデータを常時監視し、故障予兆を検知する運用が一般的となっている。

太陽光発電設備の設計技術については太陽光発電の基本 | 発電原理から設備選びまで徹底解説を参照。

エアコン室外機
電気の仕組み、発電所から家庭に送られる電気の流れ、直流と交流の違いなどを紹介。
風力発電
新エネルギーとして代表的な太陽光発電、風力発電、燃料電池や、排熱再利用など。
ライティングレールに取り付けられたスポットライト
照明設計の基礎知識、実務における応用、電球の特徴と選定方法などの照明設計。
分電盤の測定写真
電気計算の基礎となる幹線設計やケーブルの選定方法、配線器具の計画、電線管の種類と使い分け。
設備時計
電話、LAN、テレビ共聴、構内通信、電気時計など、弱電設備の設計や計画について。
ボックスに収容されたケーブル
電力ケーブル、通信ケーブル、光ファイバーなど数多く存在するケーブルの特徴を解説。
柱上に取り付けられた変圧器と電線
受変電設備の設計、各種保護装置の選定方法、受変電設備を構成する保護リレーの種類と整定方法など。
誘導標識
非常用照明、誘導灯、自火報、非常用発電機、防災用蓄電池など、災害発生時に使用する防災設備を学ぶ。
机の上に置かれた辞書
電気設備の関連業務を行うにあたり、必要と考えられる各種資格について学ぶ。
自然をイメージした植栽
カーボンニュートラルを達成し、二酸化炭素の排出を削減と吸収の技術について解説。
辞書を見る人
電気設備で使用される機器、材料、技術、指標や単位を解説したオンライン電気設備用語辞典。
計算機を操作する人
電気設備設計で用いられることの多い計算ツールを公開。
プライバシーポリシー
サイトを閲覧するための表示環境、公開情報に対する免責事項、閲覧時のプライバシーポリシーについて。