バードストッパー
鳥害対策用飛来防止器具
バードストッパーは、鳩やカラスなどの鳥類が建築物のパラペット、配管、架空ケーブル、看板などに留まることを物理的に阻止するための障害物である。鳥害対策器具や防鳥用剣山とも呼ばれる。鳥が飛来・営巣することによって生じる糞害は、建物の美観を損なうだけでなく、強酸性の糞が金属製の電気設備や空調機器を腐食させたり、乾燥した糞が飛散して衛生環境を悪化させたりする深刻な問題を引き起こす。
特に変電設備や太陽光発電設備においては、鳥の糞が絶縁体に付着することで絶縁性能が低下し、地絡事故や短絡事故の原因となることがある。また、営巣材料(ハンガーや小枝)が充電部に接触することによる停電事故も多発しているため、これらを未然に防ぐための予防保全策としてバードストッパーの設置が推奨される。
形状による分類と施工方法
バードストッパーの形状には、主に「剣山タイプ」と「ワイヤータイプ」の2種類が存在する。剣山タイプは、樹脂やステンレス製の針(ピン)を放射状に配置したもので、鳥が着地するスペースを物理的に無くす効果が高い。しかし、建物の外観に針が目立つため、意匠性を重視するファサードなどには不向きな場合がある。
一方、ワイヤータイプは、支柱間に細いステンレスワイヤーを張り渡す方式であり、鳥がワイヤーに留まろうとすると不安定でバランスが取れず、不快感を与えて飛来を断念させる仕組みである。剣山に比べて目立ちにくく、美観を損なわない利点があるが、施工手間はやや掛かる。
固定方法としては、コンクリート面にはエポキシ樹脂系接着剤やアンカーボルトを用い、手すりや配管には専用のステンレスバンドやクランプを使用する。鳥は着地しようとして激しく接触する場合があるため、風雨や振動で脱落しないよう堅牢に固定する必要がある。
磁気およびネットによる対策
物理的な障害物以外のアプローチとして、永久磁石を利用したバードストッパーも実用化されている。これは、鳥類が持つ体内磁石(生体磁石)の感覚を狂わせ、方向感覚を喪失させることで不快感を与え、エリアへの接近を忌避させるものである。磁力は半永久的に持続するため、メンテナンスフリーな対策として採用されるケースがある。
また、キュービクルの下部架台や、鉄骨梁のフランジ内部(H形鋼の溝部分)など、鳥が入り込んで営巣しやすい複雑な形状の場所には、バードストッパーではなく「防鳥ネット」を展張して空間を物理的に塞ぐ方法が最も確実である。ネットの網目は対象とする鳥の大きさ(スズメ、ムクドリ、ハトなど)に合わせて適切なサイズ(15mm~30mm程度)を選定しなければならない。また、照明器具や感知器等がある場合は、その部分に点検用のネット開口部を設ける必要がある。
経年劣化と美観維持
屋外に長期間設置されるバードストッパーは、紫外線や酸性雨、そして鳥の糞そのものによる腐食環境に晒される。樹脂製品は経年劣化により硬化・破損しやすくなるため、長期的な耐久性を考慮する場合は、SUS304などのステンレス製を選定することが望ましい。
また、剣山タイプの根本やワイヤーの支柱周辺には、落ち葉やゴミ、羽毛などが堆積しやすく、これが雨水を含んで錆や腐食の原因となったり、新たな害虫の発生源となったりすることがある。設置後は定期的な点検と清掃を行い、脱落や破損がないかを確認する維持管理計画が必要である。












