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🏠 電気設備の知識と技術 > 電気設備用語辞典 > 波及事故
需要家内の電気設備を原因として、電力会社の配電線路を停電させ、近隣周辺の需要家に対して停電を広げてしまう電気事故を示す。電力会社の変電所は配線用遮断器を通じて地域への配電を行っているが、同一の遮断器で供給されている系統に事故が発生した場合、変電所内の遮断器が動作し送電が停止される。
波及事故は、需要家内部の安全装置が働かなかった場合に、変電所でやむなく保護したという事象から発生する。広範囲の停電を防ぐため、需要家内では低圧のコンセントに対しては上位に安全ブレーカーがあり、分電盤、キュービクルと順序立てて保護協調を考慮した設計がなされる。
そのため配線用遮断器や漏電遮断器、高圧遮断器等が正常動作していれば、電気事故が発生しても即時遮断されて波及事故につながることはない。そのため、保護されにくい部分となる「受電用PASまたはUGS」から「受電用VCB」に至る高圧ケーブルに集中する。
そのため、構内高圧ケーブルを保護するため受電点にPASまたはUGSを設け、「過電流ロック・蓄勢トリップ」という手法で波及事故を防止することが望まれる。動作の詳細はPASを参照。
構内高圧ケーブル部で事故が発生した場合、その一次側は受電用の開閉器のみであり遮断機能を有していない。そのため、構内高圧ケーブルで事故が発生した場合の遮断は電力会社の変電所に委ねられる。変電所の遮断器が動作してしまうと、その周辺地域まで一斉に停電し波及停電になるものと考えられるが、特例として「1回のみ、1分後の再送電で事故が取り除かれていれば、波及事故としてみなさない」とされているため、下記の手順が成立すれば波及事故とならないことになる。
これが、PASまたはUGSによる波及事故防止のフローである。上記から波及事故を予防するためにPASやUGSを導入することが効果的とされている。