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配線用遮断器

配線用遮断器(MCCB)の基本構造と役割

配線用遮断器は、手動または電気的な操作による「開閉装置」と、電路に過大な電流が流れた際に自動的に回路を切り離す「過電流引外し装置」を絶縁物のケース内に一体化した気中遮断器である。一般にMCCB(Molded Case Circuit Breaker)やノーヒューズブレーカー(NFB)とも呼称され、低圧屋内配線における安全装置として広く普及している。

配線用遮断器を電路に設けることで、負荷機器の過剰な接続による「過負荷」や、配線の損傷・誤結線などに起因する「短絡」による大電流を瞬時に検出し、速やかに事故電路を遮断できる。これにより、電線やバスダクトなどの導体の焼損を防ぎ、電気火災の発生を未然に防止する。ただし、配線用遮断器は地絡(漏電)に対する保護機能を持っていないため、水回りや屋外設備など漏電検出が必須となる回路においては、漏電遮断器(ELB)を選定する必要がある。

過負荷保護と短絡保護の検知メカニズム

配線用遮断器は、異常電流の性質に応じて2つの異なるメカニズムで電路を遮断する。一つは「熱動式(バイメタル)」による過負荷保護である。熱膨張率の異なる2枚の金属板を貼り合わせたバイメタルに電流を流し、過負荷電流による発熱でバイメタルが湾曲することを利用して機械的に引き外し機構を作動させる。

もう一つは「電磁式」による短絡保護である。電路に短絡電流のような極めて大きな電流が流れた際、内部のコイルに発生する強力な電磁力を利用して可動鉄片を吸引し、瞬時に引き外し機構を作動させる。近年の大容量遮断器では、これらの機械的機構に代わり、マイクロプロセッサによって電流波形を演算し、より高精度に遮断特性を制御できる「電子式」の引き外し装置を採用するものも主流となっている。

反限時特性と突入電流の許容

配線用遮断器の動作を決定づける重要な要素に「反限時特性」がある。これは、「定格電流の1倍(100%)では動作せず、流れる電流が大きくなればなるほど、遮断に至るまでの時間が短くなる」という動作曲線を指す。電気設備においては、機器へ電源を投入した瞬間に、定常時の数倍から数十倍に及ぶ過渡的な大電流が流れることが多々ある。

例えば、三相3線式の誘導電動機を直入れ始動した際の始動電流や、変圧器の電源投入時に発生する励磁突入電流などがこれに該当する。配線用遮断器の反限時特性は、このような「電気事故ではない一時的な大電流」に対しては即座に遮断せず、一定時間持ちこたえるよう設計されている。これにより、設備を正常に立ち上げつつ、事故に伴って発生する異常電流に対してのみ確実な保護を提供する。

特殊機器における誤動作要因と選定の留意点

配線用遮断器の誤動作(不要動作)を誘発する要因は多岐にわたり、負荷機器の性質によって発生する突入電流の波形や継続時間は大きく異なる。前述した電動機の始動電流や変圧器の励磁突入電流のほか、HID照明(水銀灯やメタルハライドランプ)の始動時に発生する高圧パルスや、力率改善用コンデンサを回路に投入した際の過渡的な高周波電流などが挙げられる。

これらの特殊機器を保護するための配線用遮断器の選定を誤ると、短絡事故が発生していないにもかかわらず、電源投入の瞬間に遮断器がトリップしてしまうトラブルを引き起こす。したがって、設計段階において負荷機器が発する最大突入電流の波高値および継続時間を正確に把握し、遮断器メーカーが提供する動作特性曲線と照らし合わせて、突入電流が曲線の動作下限値を下回ることを必ず確認しなければならない。

連続定格と熱劣化を考慮した実務設計

遮断器の実務設計において注意すべきは、定格電流ギリギリでの連続使用である。配線用遮断器の内部接点や導電部は、電流が流れることでジュール熱を発生する。定格電流の100%に近い大電流を常に流し続けると、内部の温度上昇によってバイメタルなどの熱動素子の劣化が早期に進行し、本来の寿命よりも短期間で不要動作を引き起こす原因となる。

このため、一般的な電気設備設計においては、定常時に流れる最大負荷電流を遮断器の定格電流の80%を上限とするのが望ましいとされている。周囲温度の上昇によって遮断器の実質的な許容電流が低下するため、熱環境への十分な配慮と余裕を持ったサイズの選定が求められる。

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