エキスパンションカップリング
エキスパンションカップリングは、建築物や構造物に設置される電線管の伸縮に追従するために使用される伸縮継手の一種である。温度変化による熱膨張や収縮、地震による揺れ、地盤の変動など、様々な要因で発生する動きに対応し、配管システムの損傷や機能不全を未然に防ぐ重要な役割を果たす。
電線管は、夏場の熱膨張や地震などの自然災害により、急激な伸縮を起こす可能性がある。このため、電線管の伸縮に対応できるように、エキスパンションカップリングが必要となる。
電線管付属材料のひとつであり、耐震機能が必要な部分で使用される伸縮継手として用い、伸縮目地部分、建物の可動部、伸縮が予想される部分など、配管が伸縮する可能性のある部分にエキスパンションカップリングを設けて建物の動きに追従させることで、電線管の抜けや外れ、電気機器の損傷を防止する。
地震や沈下による建物の動きだけでなく、冬季と夏季の温度差で発生する配管材の伸縮にも対応が必要となる。ビニル配管は伸縮が大きいため、エキスパンション部材なしで長距離を固定すると、配管材の割れにつながる。
建築物とハンドホールを接続する貫通電線管など、伸縮継手としてエキスパンションカップリングを設け、構造物の沈下、地盤部分の沈下、ハンドホールの沈下に追従させると良い。
エキスパンションカップリングの基本機能
エキスパンションカップリングを設ける目的は、「動き」を吸収することにある。配管の温度変化や外気温度の変化により、配管は膨張・収縮する。特に長距離の配管ではこの変化量が大きくなり、固定された部分に大きな応力がかかるため、エキスパンションカップリングを用いて応力を解放する。
免震構造や制震構造の建物、あるいは複数の建物がエキスパンションジョイント(建物の継ぎ目)で接続されている場合、地震時や微細な振動で建物同士が相対的に移動する。この動きに配管が追従できなければ破損するため、変位を吸収することが非常に重要である。不同沈下など、地盤が不均一に変動した場合の配管のずれをも、電線管に掛かる変位のひとつである。
ピストン型
筒の中に別の筒がスライドする形で挿入されており、軸方向の伸縮を吸収する。シール材によって気密性や水密性を保つ。
ベローズ型
金属やゴム、樹脂製の蛇腹構造になっており、この蛇腹部分が伸び縮みすることで伸縮やある程度の変位を吸収する。高い柔軟性を持つが、使用圧力や温度に制限がある場合もある。












