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UPS

停電が発生した回路に、蓄電池から電力を供給する電源設備のひとつで、電力会社からの電力が途絶えた場合であっても、無停電で電源を切り替えるための電源装置である。UPSは(Uninterruptible Power Supply)の頭文字で呼ばれている。

一般的に、突然の電源喪失によって故障することが多い、通信機器やパソコンといった機器のバックアップ電源として利用する。非常用発電機なども予備電源のひとつだが、電力会社から供給される電力から発電機に切り替えるためには10~40秒の切替時間が必要であり、データ損失や、機器の故障は避けられない。

UPSは、停電によって電池からの電源供給に切り替えるまでの時間が数ミリ秒と高速であり、停電状態を引き起こさずに電源切替が行われる。しかし、発電機と比較して1kVAあたりの単価が非常に高く、長時間に渡ってのバックアップは合理的ではない。

非常用の発電機に切り替わるまでの数十秒~1分程度をUPSによってバックアップし、数十秒~1分後には、無停電で発電機回路に切り替わる、という電源回路の構築が一般的である。

発電機が設けられていない場合は、通信機器やパソコンが、正常にシャットダウンするための時間を稼ぐための機器として設置するのが良い。通信機器やパソコンには、UPSが電力供給をしており、まもなく電池容量がなくなってしまうことを検出し、自動的にシャットダウン動作に切り替えるという機能もあり、高い安全性が保たれる。

データセンターや半導体工場など、電圧の変動によって生産ライン等に致命的な損傷を引き起こす建物では、数千から数万kVAという大電力が供給できる大型UPSを高圧系統に接続する。

瞬時電圧低下に対応するシステムであれば、15秒程度のバックアップをすれば足りるため、出力は大きいものの、電池容量は比較的小さい。

UPSシステム構成の種類

UPSの構成には、停電発生時の電源切替に対する信頼性だけでなく、点検時や故障時にも無瞬電切替を維持できるかといった視点から、複数のシステム構成が存在する。

単一UPS方式

UPS1台によって回路を保護する方式であり、バイパス回路のみを有する単純な構成である。商用周波数に同期して運転し、停電や瞬時電圧低下といった変動が発生した場合でも、無瞬断にて回路が切り替わり、負荷への給電を継続することができる。

UPSは1台のみとなるため、UPSの故障時や交換作業中は無瞬断切り替え機能が失われ、停電を伴うことになる。無瞬断切替スイッチ部の点検や故障時の保護も考えたい場合は「並列冗長UPS方式」や「共通予備UPS方式」を採用し、より高度なバックアップ構成とすることが望ましい。

並列冗長UPS方式

UPSのみ複数台接地する方式で、無瞬断切替回路は共用する方式である。UPSは点検頻度や交換頻度が高いため、電池部分を複数台並列することで信頼性を高めるものである。

ただしこの方式は機器全体の点検や交換、増設を伴う場合に停電が必要となる。

共通予備UPS方式

UPS切替回路を複数並列させた方式であり、同じシステムを複数並列させてユニット構成とすることで、1ユニットずつの点検や交換、増設を可能としたものである。

切替盤を含め共通機器を排除しているため、24時間365日の運用に対しても無瞬断切替保護を継続することができる。ただし複数台のユニット構成とすることにより、システムの冗長性を高めることで2倍・3倍のコストが必要となり、経済性には劣る。

家庭用UPSの特徴

東日本大震災など、地震を原因とした停電が近年多く発生しており、UPSや小型発電機のニーズが、家庭用としても高まっている。発電機は、排気ガスや燃料備蓄の問題があるが、UPSや蓄電池は基本的に「電力会社の電源に接続しておけば良い」という取扱いの容易さにメリットがある。

UPSや蓄電池は、内蔵されている蓄電池の定期的交換が不可欠である。家庭用のUPSでは、内蔵電池の寿命を3~5年程度と設定しており、使用している場所の周囲温度が高ければ、さらに寿命が短くなるとしている。メーカーが設計している周囲温度は25℃であり、温度が高くなるほど寿命が短くなる。

メーカーによって設定された寿命を超過した場合、劣化によってバックアップ時間が短くなり、停電時に正常なシャットダウンや、電源切替が行われないおそれがある。

機能を正常に保つには、定期的なバッテリーの交換が不可欠である。交換時には古い蓄電池が残ってしまうが、内蔵されている蓄電池は、家庭用のゴミとして捨てることはできない。蓄電池の交換時、メーカーに送り返して処分・リサイクルを依頼するのが良い。

UPSとCVCFの違いなどの詳細についてはUPSとCVCFの違い・選び方を参照。

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