TSカップリング
TSカップリングの概要と接合原理
TSカップリング(Taper Sized Coupling)は、硬質ポリ塩化ビニル電線管(VE管)同士を直線接続するために用いられる、JIS C 8432適合の管継手である。「TS」とは「Taper Sized(テーパーサイズ)」の略称であり、受口の内面が奥に行くほどわずかに狭くなる円錐台状(テーパー)に加工されていることを意味する。
この構造により、電線管を差し込むとクサビ効果によって強固に嵌合し、高い機械的強度と密閉性を発揮する。一般的な「ストレートカップリング」と比較して、接続部のガタつきが少なく、抜けにくい構造となっているため、屋内・屋外を問わず露出配管や隠蔽配管で広く採用されている。
適合する電線管サイズは14mm~84mmまで、VE管に合わせたラインナップが生産されているため、接続したい電線管にあわせて購入することが可能である。サイズダウンを伴う接続をしたい場合は、異径アダプターを用いて1サイズダウンを行う。この場合も同様に接着剤を塗布し差し込むことで接続が可能である。
接着接合における施工品質の確保
TSカップリングの接続には、専用の「硬質塩化ビニル管用接着剤」を使用する。これは単なる糊ではなく、管と継手の表面を溶解させて一体化させる「溶着(冷間溶接)」の原理を利用している。
施工の際は、管端と継手内面の双方に均一に接着剤を塗布し、一気に奥まで挿入した後、テーパーの反発力で管が押し戻されるのを防ぐため、数秒から数十秒間、力を加えて保持(圧着)する必要がある。接着剤の塗布量が不十分であったり、挿入後の保持を怠ると、雨水の浸入を許したり、経年変化で接続部が抜けるおそれがあるため、確実な施工管理が求められる。
管路の平滑性とケーブル保護
TSカップリングの特徴は、接続部における管内面の段差が極小化される点にある。
カップリング中央には「ストッパー」と呼ばれる突起があり、管を突き当てて接続することで、管と継手が滑らかに連続する。これにより、入線作業時にケーブル被覆が継手内部の角に引っかかって損傷するリスクを低減できる。特に、多数の電線を通す場合や、太いケーブルを通線する場合において、管路の平滑性は施工品質を左右する重要な要素となる。
熱伸縮への対応と伸縮継手の使い分け
合成樹脂管(VE管)は、金属管に比べて熱膨張係数が大きく、温度変化によって管長が伸縮する特性を持つ。
長距離の直線配管において、すべての接続箇所をTSカップリングで強固に固定してしまうと、夏季の膨張や冬季の収縮によって管路が蛇行したり、過度な応力がかかり継手が破損したりするおそれがある。そのため、直線距離が長い場合(一般に30m程度ごと)や、建物のエキスパンションジョイント部分には、TSカップリングではなく「伸縮カップリング」を使用し、管の熱伸縮を吸収させる措置を講じることが望ましい。












