GX志向型住宅
GX志向型住宅とは、グリーン・トランスフォーメーション(GX)という国の目標に基づき、環境負荷の低減と居住者の健康的で快適な暮らしを両立させることを目指した高性能住宅である。
単なる省エネ設計の建築物であるだけにとどまらず、建築から居住、そして将来的な解体に至るまで、ライフサイクル全体での環境配慮を志向する点が大きな特徴となっている。
GX志向型住宅の普及を後押しするため、国は手厚い補助金制度を設けており、国土交通省と環境省が連携して実施していた「子育てグリーン住宅支援事業」があったが、最新の補助金制度や他の利用可能な支援策についての最新情報を確認し、適用の可否を判断することが求められる。
求められる性能基準
国土交通省が子育てグリーン住宅支援事業の中で定義している「GX志向型住宅」に区分するには、以下の基準を全て満たし、高度な省エネルギー性能を満足することが求められる。これらの基準は、従来のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)よりも厳格であり、より多角的な視点での環境性能が追求されている。
断熱等性能等級6以上
「HEAT20 G2レベル」に相当する極めて高い断熱性能である。地域にもよるが、UA値(外皮平均熱貫流率)0.28以下といった厳しい数値が設定されている。 これにより冷暖房効率が大幅に向上し、一年を通して快適な室温を保つことが可能となる。
一次エネルギー消費量の削減
再生可能エネルギーを除き、一次エネルギー消費量を35%以上削減すること。さらに再生可能エネルギー(主に太陽光発電システム)を含めて、一次エネルギー消費量を評価建物の階数に応じた比率以上を削減すること。(例:3階建て以下であれば75%以上削減、階数によって変動あり)
高度エネルギーマネジメントシステムの導入
高度エネルギーマネジメントシステムでは、一般的にHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)の導入が求められる。エネルギー使用状況を「見える化」し、効率的な管理・運用を行うことが明記されており、「ECHONET Lite AIF仕様」に対応する「コントローラ」として、一般社団法人エコーネットコンソーシアムのホームページに掲載されている製品を設置することが導入判断として記載されている。
GX志向型住宅のメリットとデメリット
GX志向型住宅の採用により、エネルギー面・コスト面等の観点から、多くのメリット、デメリットがあるため解説する。
- 高い断熱性能と省エネ設備により、電気料金やガス料金のエネルギーコストを長期的に抑えられる
- 高断熱・高気密により、室内の温度差が少なく、ヒートショックのリスク軽減や結露の抑制が図られる
- 太陽光発電システムや蓄電池を組み合わせれば、停電時にも一定の電力を確保でき、災害への備えとなる
- 高度な省エネルギー性能が、高い資産価値の維持に貢献する
- 高度な断熱材や高性能な設備、太陽光発電システムの導入により、建築コストが増大する
- 高度な基準を満たすための省エネルギー設計、施工が可能な建設会社や工務店の選定が必要となる












