電気設備の知識と技術 > 電気設備用語辞典 > アンペアブレーカー
住宅に電源を供給する分電盤の最初に組み込まれるブレーカーで、設定された数値以上の電流がアンペアブレーカーに流れると、自動的に回路を遮断する仕組みを持つ。電力会社が契約している需要家に対して、契約以上の電流が使えないように制限することを目的としており、事故電流の遮断に用いるものではない。
このアンペアブレーカーが動作するのは「電気を同時に使い過ぎている状態」のため、ブレーカーが切れた状態のままで復旧しても、再度動作する可能性がある。そのため、電気を使いすぎている状態を解消してから復帰させなければ再び動作してしまうため、ドライヤーなどが原因であれば、本体スイッチを切らなければならない。炊飯器などは自動的に再度炊飯状態になる可能性があるし、アナログ式のオーブンや電子レンジは、復電すると再度加熱を始めてしまうため、すべてオフにしてから復電させると良い。
エアコンなど、復電時に再起動する機器でなければ、アンペアブレーカーを上げても自動的に運転することはない。
アンペアブレーカーの本体は契約アンペア数によって色分けされており「電流制限器」や「リミッター」とも呼ばれる。電気の契約者が電力会社に申し込むことで契約電流が決定し、その数値の大きさによって基本料金が左右される。契約アンペアの数値は、契約者が「最大でどれくらいの電流を使うか」を予測して契約する必要がある。小さな数値で契約すれば基本料金の節約になるが、すぐにブレーカーが落ちる原因になり、生活の利便性が悪化する。
一人暮らしであれば「エアコン」と「ドライヤー」の同時使用はあっても「ドライヤー」と「電子レンジ」の同時使用は考えにくいが、二人以上で住んでいるのであれば、最大の電流は「空調」「調理」「入浴」が重なる時間帯と考えられる。同時に使用すると思われる電気機器の電流値を加算し、契約アンペアを決定すると良い。
契約アンペア数が大きいほど、基本料金が高くなるよう設定されているため、エアコンや電磁調理器、電気式のオーブンなど多くの電気機器を同時に使用することがなければ、小さな契約アンペア値に変更して電気料金を節約するのも一考である。
アンペア契約の種類、契約電力の算出の詳細は契約アンペア変更と基本料金計算を参照。
アンペアブレーカーは使うことが出来る電気を制限するための装置であり、配線用遮断器や漏電遮断器のように、短絡や地絡といった電気事故や電路異常に伴う過電流を保護する機能はない。
渦電流や漏電に対する保護は、配線用遮断器や漏電遮断器をアンペアブレーカーとは別に取付けなければならない。一般家庭用のホーム分電盤であれば、アンペアブレーカーの直後に漏電遮断器が設けられている。
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