契約アンペア変更と基本料金計算 | オール電化とガス併用の違い・設定目安

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アンペアブレーカーとは

アンペアブレーカーとは、家庭との電力供給契約に対し、契約アンペア値を超える電流が流れた際に自動的に動作し、電気の供給を停止させる機器である。電流制限器という名称でも呼ばれており、住宅内の分電盤に設置されている。リミッターと呼ばれる事もある。

電力会社は契約している電流値に適合した配電線や変圧器を設置しており、契約した電力以上の電力を流すと、敷設している電線やヒューズ、果ては変電所や発電設備まで悪影響を及ぼす。各家庭で電流を制限することで、過負荷を防止し、適正な設備運用を行っている。

アンペアブレーカーは一般の配線用遮断器や漏電遮断器と違い、電気事故を保護するための安全装置としての機能はない。アンペアブレーカーの二次側に漏電遮断器や配線用遮断器を設けることで、短絡事故や漏電事故に対して保護している。

電気を使いすぎた場合に「ブレーカーが落ちる」と表現されるのは、ほとんどがこのアンペアブレーカーの動作である。アンペアブレーカーの二次側にある「漏電遮断器」や「分岐遮断器」が落ちている場合、漏電やタコ足配線など、別の原因が考えられるので復電の際には注意を要する。漏電遮断器の動作は人的被害につながるため、専門業者による点検や修理が必要な場合がある。

分電盤に收容されたアンペアブレーカーの写真

契約アンペア変更による料金の違い

契約アンペアは、家庭内で使用できる電流値の上限値である。設定した契約アンペアまでの電気を使用できる。設定した数値以上の電気を使用することはできず、設定値を超過するとブレーカーが落ちるようになる。

契約アンペア値は、電力会社が基本料金を決定するための項目である。基本料金は数値が小さいほど安く、数値が大きいほど高くなるため、同時に使用する機器が少ないのに過大な設定で契約をすると、無駄な電気料金を支払う。契約アンペアの数値が大きければ、ドライヤーや電子レンジ、IHクッキングヒーターなど、大きな電流が流れる電気機器を多数同時使用できるが、その分基本料金がかさんでしまう。

一人暮らしであれば、契約アンペアは20Aや15Aでも十分な場合がある(IHクッキングヒーターや電気調理器を設置している家庭を除く)。契約アンペアによる電気代の基本料金は、電力自由化にて契約事業者によって大きく違いがあるが、東京電力エナジーパートナー・令和5年11月時点で295.24円/10A毎に設定されている。

電気機器の同時使用による契約アンペアの設定

電流の大きな電気機器を同時使用し、契約アンペア値を超過するとブレーカートリップ(ブレーカーが落ちること)が発生するため、契約アンペアの設定は慎重に行う。

炊飯器・ドライヤー・電気ポットが同時に動作するなど、瞬間的な過負荷が発生し契約アンペアを超過すると、アンペアブレーカーが落ちる。日常的に10A~20Aの使用しかなくても、電気機器の使用タイミングが重なることで、契約アンペアを超えてしまうことがしばしばある。

前述した機器以外に、電流値の変動が激しい機器として、エアコンが挙げられる。エアコンは外気温度や室内温度の影響を受けやすく、室外機に内蔵しているコンプレッサーの動作により電流値が大きく変動する。

通常、電源を入れた瞬間が最も過酷な運転状況となるが、夏場の12~16時など特に外気温度が上昇する時間帯では、コンプレッサーが空調能力を維持するために大きな電流を発生させるという特性がある。

エアコンの定格消費電力で1,000Wと表記されていても、外気温度条件が悪くなるなどして熱交換効率が悪い場合、1,500Wといった大きな消費電力となる。エアコンの消費電力は、カタログでは「100~1500W」というように幅をもたせた表記になっていることがあるが、変動特性が理由である。

契約アンペアの設定は、継続的に使用する機器電流値の合計ではなく、瞬時最大で使用する電流値を想定して契約する。一人暮らしであれば、ドライヤーと電子レンジなど、違う室・違う用途で使用する機器が同時運転することは考えづらいが、二人以上の世帯では、ドライヤー・電子レンジなど用途の違う機器を同時に使用する。生活スタイルに合わせた契約設定を見極めると良い。

契約アンペアの変更方法と注意点

管轄する電力会社に連絡すれば契約アンペアを変更できるが、すでに建物内に敷設されている屋内配線の能力が不足する場合は、増強工事を伴うことがある。20A~30A程度の契約アンペアで使用している住宅で、IHクッキングヒーターを導入したいからと、60Aに変更しようとしても、建物に導入されている電線が細いため不可能という場合、増強工事が必要である。

電力会社に対して数万円~数十万円の負担金を支払い、契約アンペアの変更と共に引込電線の増強工事を合わせて依頼する。マンションでは、上階や下階の住戸と同一電線を幹線として共同利用している場合がほとんどであり、決められた数値以上への増強が認められない場合もある。

大きな契約アンペアの変更を伴う家電等の導入は、契約アンペアの変更が可能かも含め、十分な検討をしてから行うようするのが良い。ランニングコスト低減のために基本料金を下げたいからと考えても、電力会社との契約は年間契約が原則なので、春は30Aで夏は50Aで、というような変更はできない。一度アンペア値を決定したら、一年間はそのままの契約となる。

どうしても契約アンペアの設定が難しい場合、電力会社のユーザーサービスとして、無料で契約アンペアのコンサルティングを受けられるので、専門サービス員に必要なアンペア数を計算してもらうのも一つの方法である。

契約アンペア設定のルール

契約アンペアの「20A」や「30A」という数値は、100Vで引き込んでいる場合の数値を表している。IHクッキングヒーターや大型エアコンなど、200Vが使える契約で電気を引き込んでいる場合、実際に流れる電流値は1/2になるため、30Aという表現をせず、3kVAという表現である。

60Aを超える契約アンペアの場合、8kVAや10kVAといった契約になり、電流値によるアンペア契約ではない。アンペアブレーカーを取り外し、主開閉器(メインブレーカー)による契約に変更する。主開閉器の電流値は30A、40A、50A、60A、75A、100Aといった所定の刻みで販売されているため、契約は6kVA、8kVA、10kVA、12kVA、15kVA、20kVAとなる。これも数値が大きいほど基本料金が高くなる。

契約アンペアの想定値を計算で求める方法

契約アンペアは、使用する電気機器の電流値を合算し、積み上げて算出できるが「オール電化かガス併用か」「部屋の広さ」の2つがわかれば、計算によって算出できる。

ガスコンロ併用住宅の場合の契約アンペア計算式

( 40 × 面積 + 2000 ) / 1000 = 契約アンペア

80㎡の住宅で、ガスを併用した住宅の計算例
( 40 × 80 + 2000 ) / 1000 = 52 → 50A契約または60A契約

オール電化住宅の場合の契約アンペア計算式

( 60 × 面積 + 4000 ) / 1000 = 契約アンペア

80㎡住宅 オール電化住宅の計算例
( 60 × 80 + 4000 ) / 1000 = 88 → 10kVA契約

部屋の大きさによって簡単に契約アンペアを算出できる。

電化製品の台数で積み上げて契約アンペアを想定する方法

前述している契約アンペアは、マンションや住宅の電気設備設計を行う際に、最大容量として算出するための計算式である。実際の契約においては、この数値よりも少なくすることが多いと考えられる。

下記に、代表的な家庭用電気機器の電流値を記載する。メーカー毎に若干数値が違うため、取扱説明書や機器貼付の仕様シールなどを確認すべきである。家電製品を利用する時間帯毎に、A・B・Cの群に分けて計算する。

A郡は24時間使用する電気機器、B郡は運転時間が長い機器、C郡は短時間運転する機器とする。

A群・24時間使用する電気機器

冷蔵庫(2A)、炊飯器の保温運転(0.5A)、電気ポットの保温運転(0.5A)が該当する。待機電力は無視して構いない。A群の電気機器は、常に電力を消費していると考える。

B群・運転時間が比較的長い電気機器

テレビ(2A)、エアコン(7A)、電気式床暖房・電気カーペット(10A)、照明器具(0.2A)などが該当する。

B群の電気機器は、計算上入れておくのが安全な電気機器である。テレビやエアコンを付けたまま料理や掃除などをするのは、日常的と考えられ、照明は日常的に点灯している電気機器と考えられる。

エアコンは、室温の調節が完了すると省エネルギー運転となるが、設定値から外れると運転を再開する。いつ可動するかわからないため、B郡として計算するのが安全である。

C群・短時間運転する電気機器

掃除機(10A)、洗濯機(6A)、電子レンジ(14A)、アイロン(12A)、ドライヤー(12A)、IHクッキングヒーター(15A)、食洗機(12A)、電気ポット沸騰運転(8A)、炊飯器の炊飯運転(10A)などが該当する。

C群は、同時使用を考える必要がある。比較的大きな電気を使う家電製品がC軍に該当する。C群の電気機器は、同時稼働するとブレーカーが落ちることがあるので、慎重な選定が必要である。

同時稼働する可能性があるものを列挙する。掃除機と洗濯機は同時に運転することがあると思うが、アイロンと電子レンジが同時に運転することは考えにくい。電子レンジと食洗機は、同時に使うことは少ないと思われる。

電子レンジとIHクッキングヒーターは同時に使用する可能性が高い機器である。ここで、思いがけず電気ポットが沸騰運転を始めてしまい、同時使用になることも考えられる。

二人暮らし以上になると、IHクッキングヒーターを使用し、電子レンジを使っているところにドライヤーを同時使用されてしまうなど、大きな電力が発生する可能性がある。

しかし、同時使用の可能性を考え過ぎると契約アンペアが際限なく上昇してしまい、電気の基本料金が割高になるため、同時使用をどこかで割り切るのも重要である。参考までに、一人暮らしの家庭でIHクッキングヒーターを持つ場合を計算する。

一人暮らしでIHクッキングヒーターを使う場合の計算

冷蔵庫2A + 炊飯器の炊飯運転10A + テレビ2A + エアコン7A + IHクッキングヒーター15A + 電子レンジ12A = 48A

よって50A以上の契約としなければ停電のおそれがある、ということがわかる。さらに二人暮らし以上の場合であれば、C群のドライヤーなどを追加しておけば、不慮の停電を予防できる。契約アンペア数を上げると基本料金が高くなるが、過度に節約を追い求めてしまうと、我慢を強要される不便な生活となるため、生活水準を下げないラインを判断するのが大切である。

おトクなナイト8・10契約(東京電力)

夜間蓄熱の機器を多く設置していたり、夜間しか自宅にいなかったりという生活スタイルの場合、電力会社との契約メニューを変更することによって光熱費を削減できる可能性がある。

東京電力の提供するメニューを紹介する。「おトクなナイト8」では夜間8時間「おトクなナイト10」は夜間10時間が1kWhあたり10円程度という、非常に安い単価で電気を利用できる。東京電力以外の電力会社でも、名称は違うが同様のメニューを各社で用意している。

昼間料金は常に30円を超える高単価契約になるため、昼間に家をあけることが多く、夜~深夜にかけて電気を使う事が多い家庭に向いた契約メニューといえる。基本料金は6kVA(60A同等)からの契約が最小なので、電気温水器やIHクッキングヒーターなど、大きな電気機器を多数使用している家庭でなければ、基本料金が大きくなりメリットが生まれない。

一人暮らしで20A~30Aのアンペア契約をしているような場合、従量電灯契約と比較して、基本料金が800円以上も高くなるため注意が必要である。

太陽光発電の利用による節電

オール電化を使用した契約では、夜間電力が従量電灯の1/3程度まで安くなる。その反面、昼間電力は30円を超える料金単価となるため、昼間電力を大きく使用する生活スタイルには向かない。これを解消するため太陽光発電システムを併用し、昼間電力を太陽光でまかなえるならば、昼間電力を買わない生活スタイルが作り出せる。

まだまだ太陽光発電の単価が高いので設置する家庭は少ないのが現状であるが、今後製造単価・工事単価が下がってくれば十分にメリットがあるシステムといえるであろう。

業務施設における契約電力の算出

高圧受電の業務施設の場合、基本料金が1kWあたり1,600円前後になるため、契約電力の設定は慎重に行う。契約電力を概算する場合、下記の計算を行うことで、契約電力の想定値を算出できる。

この数値は概算であり、工場などで大きな変動を伴う特殊負荷がある場合に、そのまま適用するのは危険である。負荷設備の突入電流が大きいため、大容量の変圧器を使う必要も考えられるので、概算値が適切であるか専門的な知見からの判断が重要である。

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