電気設備の知識と技術 > 電気設備用語辞典 > アルミケーブル
アルミニウムを導体に使用した電力ケーブルは、軽量でありながら導電率が高いという利点がある。銅に比べて軽量であり、耐候性が高いため、屋外環境においても優れた特性を発揮する。
アルミケーブルは銅導体のケーブルよりも流せる電流値が小さいため、使用する際には注意が必要であるが、大幅に軽量化できる上に安価であるという利点から、銅価格が高騰している近年、利用が検討されている。
すでに採用されている技術として、アルミニウムを使用した鋼心アルミより線(ACSR)がある。これは、鋼心にアルミニウムを巻きつけた構造であり、架空送電線として活用されている。保護層やシースで被覆を行っていないため、ケーブルとして分類されていない。また、アルミを材料とした導体は送電用だけでなく、避雷設備の棟上導体・引下導体としても利用されており、電気設備分野では比較的身近なものである。
最近では、メガソーラー向けの地中送電線としてアルミケーブルを利用する事例も増えている。直流側での利用はできないが、大規模な太陽光発電設備では交流変換し高圧に昇圧して系統連系することも多く、この場合での利用事例がある。
アルミニウムの軽量性を活かし、幹線コストを低減するための研究開発が進んでいる。ただし、アルミケーブルは銅導体のケーブルに比べて強度が低く、電気抵抗値が高いため、断線や過熱が発生しやすいというデメリットがある。また、接続部分の酸化による接触不良や腐食にも注意が必要である。
総合的に見ると、アルミニウムを導体に使用した電力ケーブルは、軽量かつ安価であるという大きなメリットがある。しかし、流せる電流値が小さく、接続部分の注意が必要であるというデメリットも存在するため、使用目的や環境に合わせて適切に選択する必要がある。かつ融点が低いため耐火ケーブルは存在しない。
アルミは銅よりも伝導率が低いため、同一サイズでの許容電流は60%程度しか確保できない。同じ電力を供給する場合、銅導体のケーブルと比較して電線量が多くなるため、ケーブルラックなどに敷設する場合、必要なラック幅が多くなることに注意を要する。
一般的に、ケーブルサイズは1サイズ以上アップすることを見込んで配線設計を行うことが求められる。200sqや250sqといった大径ケーブルで設計していた場合には、サイズが大きくなりすぎて設計不可となるおそれがある。
アルミケーブルは導体表面をブラッシングし、酸化皮膜が影響しないよう処置しなければならない。酸化皮膜は絶縁物と同様であり、電気抵抗を増大する原因となるため除去は必須とされている。
銅線接続用の端子台や端子を用いると、接触抵抗が増加して発熱することが確認されているため、既存の端子台にそのまま接続することはできない。また、異種金属の接触による電食も懸念される。
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