圧着スリーブ
圧着スリーブの概要と基本構造
圧着スリーブは、電線相互を電気的かつ機械的に接続するために用いられる、無酸素銅に電気すずめっき仕上げを施した筒状の接続材料である。
電線をスリーブ内部に挿入し、JIS規格に適合した専用の圧着工具を用いて塑性変形させることで接続する。はんだ付けを用いないため作業が迅速であり、機械的強度と通電性能の信頼性が高いため、屋内配線工事から盤内配線まで幅広く使用されている。
主な種類と用途
スリーブは接続形態により形状が異なり、JIS C 2806(銅線用裸圧着スリーブ)などで規定されている。用途に適合しないスリーブの使用は、接触不良や断線の原因となる。
- リングスリーブ(E形):
屋内配線工事のボックス内接続で多用される。複数の電線を突き合わせず、相互に接触させて挿入し、専用工具で圧着する。スリーブのサイズ(小・中・大)と電線の断面積合計に応じて、工具のダイスを選定し、適切な「刻印」を残す必要がある。 - 突き合わせ用スリーブ(B形):
電線を両側から突き合わせて接続するタイプ。直線接続や延長に使用される。スリーブ中央に「ストッパー(くぼみ)」があり、電線が奥まで入りすぎるのを防ぐ構造となっている。 - 重ね合わせ用スリーブ(P形):
電線を同一方向から重ね合わせて挿入し、接続するタイプ。終端処理や、渡り線の分岐接続に使用される。B形と異なりストッパーがない。
圧着工具の選定とJIS規格
圧着接続の信頼性は、スリーブと工具の適合性に依存する。JIS C 9711(圧着工具の試験方法)に基づき、以下の区分を厳守しなければならない。
リングスリーブや裸圧着端子(R端子等)に使用する。ダイス(歯)の形状は、片側が「凸」、反対側が「凹」となっており、スリーブを一点に集中して押し潰すことで強固な固着力を得る。工具の柄の色は一般的に「赤色」で、リングスリーブ用は「黄色」である。
絶縁被覆付圧着端子・スリーブ用工具は、絶縁被覆がついている端子や閉端接続子に使用する。被覆を傷つけないようダイス形状は丸くなっており、導体部分と被覆保持部分を同時に圧着する構造となっている。工具の柄の色はメーカーによるが、適用区分が異なるため混用は厳禁である。
誤った工具(例:裸端子用で絶縁端子を圧着、またはその逆)を使用すると、絶縁被覆の破損による地絡事故や、圧着力不足による電線の抜け、発熱・火災事故に直結する。
施工上の重要管理項目
電線の被覆剥き長さは、スリーブのサイズに合わせて正確に行う必要がある。短すぎると被覆がスリーブ内に入り込んで導通不良を起こし、長すぎると露出した導体が充電部となり短絡事故の原因となる。
また、絶縁被覆付端子用工具には、ダイスに方向性が指定されているものがある。一般的に電線側を「厚(被覆保持部)」、端子先端側を「細(導体圧着部)」の方向でセットして締め付ける必要がある。逆向きに圧着すると、導体部分に必要な圧着力が加わらず、経年変化による抜けや発熱のリスクが高まる。












