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アクティブフィルタ

高調波電流に対して、逆位相の電流を流すことで高調波電流を相殺する「能動フィルタ」のひとつである。高調波を含む電流を検出し、高調波を打ち消すように電流を出力するという動作特性を持ち、負荷の追従性が良好で、高調波の低減率が極めて高いという利点がある。

高調波はインバーターやブリッジ回路、アーク炉といった設備によって発生するおそれがあり、高調波による電気回路の汚染は、電気設備の不具合を誘発する。電力ヒューズの加熱溶断、コンデンサやリアクトルの振動・うなり・異常過熱、通信機器の障害など、多くの不具合につながる。

高調波電流が多く流れる状態は危険を伴うため、高調波対策のひとつとしてアクティブフィルタが用いられる。建築設備分野ではインバーター制御を行っているパッケージエアコンでの採用事例が多い。

受変電設備からの送電系統に、クレーンや溶接機、エレベーターなどが多く含まれている場合も、高調波電流値が多くなるため、アクティブフィルタの設置が必要となるおそれがある。

アクティブフィルタ付き空調機

ビルなど業務施設では、インバーターが搭載された空調機によって多くの電力が消費されており、高調波の流出が多い。空調機メーカーはパッケージエアコンのオプション対応として、アクティブフィルタ付きの製品をラインナップしており、高調波抑制対策が実施されている。

一般的なパッケージエアコンに対してアクティブフィルターを設ければ、換算係数はKi = 0.3程度にまで抑えられるため、相当量の高調波が打ち消される。アクティブフィルタはコストが高く、多くの空調機が設けられるビルなどでは、アクティブフィルタの有無で非常に大きなコスト変動があるため、アクティブフィルタの設置を中止するというコストダウンが頻繁に検証される。

アクティブフィルタを用いない場合であっても、換算係数Ki = 1.8を超過しなければ、簡略方式が採用できる。メーカーに問い合わせを行い、確認することが望まれる。

高調波流出電流計算書

電力会社では、受電電力に応じて一定量以上の高調波を流出させないよう規制している。需要家は、電力会社から電力を受電する場合、設置する機器によって電力系統が高調波汚染されないかを確認するため、電気利用の申込時に「高調波流出電流計算書」の作成を求めている。設置する電気機器の特性をすべて調査し、高調波の流出量を計算にて算出して、電力会社に提出することで受電が可能となる。

高調波流出電流計算書は、需要家内に設ける全ての高調波発生機器を列記し、それぞれの流出量を合算することになるため大変煩雑な計算が求められる。一般的なビルやホテル、商業施設など、主用途が空調機である需要家であれば「換算係数 Ki = 1.8」を超過しないことを証明すれば、計算を簡略化できるので、多くの需要家が計算の簡略化を図ることができる。

高調波についての詳細は高調波の知識を参照。

 
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