電気設備の知識と技術 > 電線・ケーブルの種類 > MIケーブル
2024.3.25
MIケーブルは、250℃以上の極めて高い許容温度を持つ絶縁ケーブルのひとつで、酸化マグネシウムなどの無機質系の絶縁体を充填することで、高い許容温度を確保している。無機絶縁ケーブルとも呼ばれる。
MIケーブルの「MI」は、Mineral Insulatedの頭文字であり、無機物で絶縁されていることを示している。導体に対して酸化マグネシウムを充填し、シースはステンレスやニッケルをベベースとした金属製となっている。これによりケーブル自体は極めて高強度となり、燃焼性や耐酸性を高めることができている。
周辺環境が過酷な焼却炉付近や、焼結・焼成といった工程が近傍で行われる周辺温度が高温となる部分、炉の付近などで用いる制御ケーブルなどに採用されることが多い。
対して、特殊環境用ケーブルであることから、一般的な建築施設のケーブルとして採用されることはなく、電気設備設計において計画すること自体が稀な材料でもある。
国内では、熱電対、抵抗体、ヒーター用というように、製造部門や熱機器配線として用いるケーブルとして普及しており、内線電気工事としての一般配線として利用することは想定されていない。
MIケーブルは高い耐熱性を維持しているだけでなく、耐火性も高いケーブルとして認定されており、建築基準法に定められた「耐熱C種配線」としても使用可能である。そのため、ケーブル露出工事で、電源別置の非常照明電源配線として使うことができる。
しかし、実務としては一般ケーブルではないMIケーブルを耐火ケーブルとして使用するのは合理性がなく、コストが高く納期も確定できないことから、耐火ケーブルとしてはFPケーブルを用いるべきである。
耐火性を持つMIケーブルは、耐熱性も良好のためサウナ内部の配線として利用可能であることが規定されている。1,000℃を超える高い耐熱性によるものであるが、これも耐火ケーブルと同様に、サウナ内部であれば「けい素ゴム絶縁ガラス編組電線(LKGB)」と呼ばれる耐熱電線が利用可能なため、MIケーブルを選定することはあまり考えられない。
いずれも、コストに見合った電線選定が望ましい。LKGBは0.75sq~250sqという幅広いラインナップが標準化されており、量販店での購入が可能である。
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