エコケーブルの種類と規格 | PVCケーブルとの比較

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エコケーブルとは

エコケーブルとは、従来の一般ケーブルよりも環境への影響に考慮されたケーブルであり、環境に優しい材料を使用したケーブルの総称である。「エコ」の名称はエコロジーの文字をとったもので、環境に配慮されたエコマテリアルの採用が強調されている。

従来から使用されているPVCケーブルは、塩化ビニルを被覆としている。エコケーブルは被覆材にハロゲンや重金属類が含まれていない「耐熱性ポリエチレン」を使用することで、燃焼におけるハロゲン化水素ガスの発生がなく、環境負荷の低減を図ることができる。

IV電線やCVケーブルといった電力ケーブル、AEケーブルやCVVケーブルといった弱電ケーブルなど、多くのケーブルにおいてエコマテリアル仕様の製品が販売されており、これらを選択した計画を行うことで、火災時の安全性の向上、環境負荷の低減といったメリットが得られる。ただし、PVCケーブルと比較して高価であり、建設コストの増加に注意を要する。

ECOの文字をイメージした写真

エコケーブルの図面上の表現

エコケーブルには統一した名称が付けられており、ケーブル名称に「EM」というアルファベットが付記される。EMとはエコマテリアルの略称で、環境に配慮された電線であることから「エコ」という名称が付けられている。

IV電線、VVFケーブル、CVケーブル、CCVケーブル、AEケーブル、CPEVケーブルなど、需要の多い絶縁電線や電力ケーブル、通信ケーブルでは、エコケーブルへの置き換えが可能なよう生産体制が整えられている。

エコケーブルを採用しなければならないという法令や規則は存在していないが、公共工事では原則としてエコケーブルの採用が義務付けられていることもあり、広く普及している。非常用発電機の内部配線として、エコケーブルが標準化されている例もある。

マテリアルリサイクルとサーマルリサイクル

廃棄物の処理は、埋め立てるのが一般的であるが、プラスチックなど再利用が可能な製品であれば、原料をそのまま再利用する「マテリアルリサイクル」を行うと、環境負荷の低減が図ることができる。マテリアルリサイクルが困難であれば焼却処分となるが、その熱を再利用する「サーマルリサイクル」という考え方が普及している。

電線やケーブルは、銅やアルミといった金属部分についてのマテリアルリサイクルが十分に普及しているが、被覆部分のリサイクルはあまり進んでいない。エコケーブルの普及により、被覆材は全てポリエチレン系の樹脂に統一されているが、長期に渡る使用や、直射日光など紫外線の影響を強く受けた被覆材は劣化が進行しているため、マテリアルリサイクルは困難であり、サーマルリサイクルが基本となっている。

エコケーブルは、燃焼時にハロゲンガスを放出しないため、PVCケーブルのサーマルリサイクルと比較して、環境負荷の低減が図られている。

マテリアルリサイクル

マテリアルリサイクルは、プラスチック原料をそのまま他のプラスチック製品として再利用するリサイクル方式である。長期使用や紫外線の影響などにより劣化が進んだ材料を再利用することになるため、成分や性質の劣化が無視出来ない。同一の製品の要求性能に耐えなければ、低位の製品として再利用することになる。

重金属やPVCを含む従来のPVCケーブルと比べ、エコケーブルは重金属やPVC成分が含まれておらず、再利用性が高いとされているが、長期利用により劣化した被覆材については、性能の回復が困難であり、十分なマテリアルリサイクルが普及しているとはいえない。

電線類は、銅やアルミニウムのマテリアルリサイクルを行い、被覆材はサーマルリサイクルとするのが一般的である。

サーマルリサイクル

サーマルリサイクルは、廃棄物を燃焼させて熱エネルギーを回収する方法のことである。マテリアルリサイクルが困難な製品は焼却処分することになるが、廃棄物を単に燃焼させて破棄すれば、発生する熱エネルギーは大きな環境負荷となる。

焼却時の熱エネルギーを回収し再利用するサーマルリサイクルは、汚れていたり、不純物が混在した状態のプラクチックであっても有効なエネルギー回収が図ることができる。ポリエチレンやポリプロピレンは、化石燃料と同等の発熱量があり、高いエネルギー回収が期待できる。

PVCケーブルとエコケーブルの比較

従来のPVCケーブルは、容易に燃焼しない難燃性、加工性、柔軟性などで多くの利点があり、かつ安価なため広く使用されている。PVCの主原料である「ポリ塩化ビニル樹脂」は安定した性質を持っており、柔軟性が高く、経年劣化が少ないためケーブル材料として適している。

PVCケーブルは焼却する際に塩化水素やダイオキシンを発生させ、酸性雨の原因となるハロゲンガスを多量に放出するため、サーマルリサイクルに適していない。燃焼させずに埋め立てる場合であっても、内部に含まれる鉛化合物が溶出し、土壌を汚染するおそれがある。

PVCケーブルは環境負荷が高く、処理も困難であることから、エコケーブルへの置き換えが提唱されている。

エコケーブルに使用される材料は、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリオレフィン、エチレンエチルアクリレートなどを主成分としている。ポリエチレンやポリプロピレン系の材料は難燃性に乏しいため、難燃剤を添加することで同等の性能を得ている。

エコケーブルの利点

燃焼時に発生する煙が少ない

エコケーブルは、燃焼時に発生する煙が非常に少ないという特徴がある。ケーブルが火災などによって燃焼した場合、PVCケーブルは多くの煙を放出するが、エコケーブルは煙の発生量が少ないため、煙を吸い込む危険性の低減、視界の確保など、避難の安全性を高められる。

有害物質の含有が少ない

エコケーブルは、有害な重金属やハロゲン元素系が含まれていないため、廃棄における焼却時に、ダイオキシンやハロゲンガスを発生させない。かつ重金属を含んでいないため、埋め立て処理を行っても、ハロゲン系元素や鉛の土壌流出がなく安全である。

耐熱性・耐薬品性が高い

エコケーブルはPVCケーブルよりも、耐熱性や対薬品性が高い。耐熱性の高さは許容電流に対して有利に働くため、ケーブルに流せる最大電流を大きく取れる。同一の電流が流れる系統であれば、ケーブルサイズのダウンにより、コスト調整が図ることができる可能性がある。

アウトガスの発生が少ない

クリーンルームなど、空気環境に対して配慮しなければならない空間では、アウトガスの発生が少ないエコケーブルが有利である。一般のPVCケーブルにはアウトガス(周囲環境負荷物質)と呼ばれる揮発物を発生させる可塑剤が含まれており、半導体の製品不良の一因とされているが、エコケーブルはアウトガスの発生がPVCケーブルよりも少なく、クリーンルームの品質向上に有効である。

ただし、エコケーブルにも酸化防止剤が含まれているため、アウトガスを厳しく制限したい場合は、アウトガスフリーの専用電線を選定するのが良い。

エコケーブルの欠点

白化現象が発生する

白化現象は、表面を強く擦ることでエコケーブルの表面が白くなる現象である。ケーブルの引入れなどで、ケーブルラックや電線管の端部にケーブル表面が強く擦れると、白い筋が残ってしまう。

物理的な影響だけでなく、化学的な影響でも白化現象が発生する可能性がある。エコケーブルを多湿な環境に敷設すると、コンパウンドの難燃剤成分である「水酸化マグネシウム」と「二酸化炭素」が反応し、炭酸マグネシウムが生成されることで、表面が白くなる。

これはエコケーブル特有の現象であるが、電線表面に現れる外観上の問題であり、電気的特性への影響はない。

コストアップにつながる

エコケーブルはPVCケーブルよりも価格が高い。従来のPVCケーブルをエコケーブルに変更した場合、1.5~1.6倍のコストアップを想定しなければならない。

許容電流の向上、防災性能の向上、環境負荷の低減など多くの利点があるが、建設コストに大きく影響する。

PVCケーブルよりも耐候性が低い

PVCケーブルと比べ、エコケーブルの耐候性は低いとされている。屋外で使用する場合、カーボンブラックを含む黒色シースを採用し、耐候性を高めるのが良い。

黒色以外のシースでは耐候性が著しく低いので、期待される耐用年数を満足できないおそれがある。屋外で使用するエコケーブルは、黒色シースを選定するのが良い。

ケーブルが硬く、施工性が悪化する

ケーブルの質量や外径寸法はPVCケーブルと同等であるが、シースや絶縁被覆が塩化ビニルからポリエチレンに変更されたことで、柔軟性が悪くなり施工性が悪化する。被覆が硬く、PVCケーブルよりも被覆剥きが難しくなるという弊害もある。

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