電気設備の知識と技術 > 電線・ケーブルの種類 > CCPケーブル
CCPケーブルは、電話用の配線として使用されているケーブルである。電話加入者と市内電話局の間に敷設される電話用の幹線として使用されており、回線数が多い場合に適している。
CCPケーブルは全線心着色されており、識別が容易で接続作業性に配慮されている。シースはポリエチレンになっており、耐熱性には特段の強さはないが、機械的な強度に優れ、耐候性も良好である。遮蔽付きの電線は耐水性にも優れており、屋外での使用にも耐える。
CCPケーブルの心線は、カッド撚りという撚りあわせ方式を採用しており、心線4本が1組となる。従来は、並行2線で撚られていないもの(通称ベル線)で敷設されていたが、近端漏話の問題から、ツイスト撚りやカッド撚りによって通話品質を向上させる技術が使用されるようになる。
構内で電話用に使用するケーブルは、心線がカッド撚りやツイスト撚りとなったケーブルを使用するのが一般的である。並行2線を電話配線で使用すると、漏話による悪影響が考えられるので注意を要する。
ツイスト撚りは、2本の電線を撚りあわせた構成である。信号の往きと還りを撚り合わせることで、外部からのノイズの影響を小さく抑えている。
平行線では、外部からのノイズがアンテナのように加算されるため、長距離を敷設した場合のノイズ量が非常に大きくなり、通信品質が悪化する。ツイスト撚りの電線は、外部からのノイズが打ち消されるため、高い通信品質が確保されるという利点がある。
ツイスト撚りの電線は、外部にノイズを出すことがないため、他通信電線などへの影響を軽減できる。通常の電話線・モジュラーケーブルは、2つの心線が並行に並んだ構造となっているため、長距離敷設を行うと漏話の発生が悪影響を及ぼす可能性があるが、ツイスト撚りになったケーブルを使用すると、ノイズの影響を受けにくくなり、通話品質が向上する。
カッド撚りは、4本の心線を撚り合わせ、断面が正方形になるように構成している。電話用ケーブルは、カッド撚りを行ったケーブルを多対にまとめ、小さいものでは10Pから、大規模では200P、400Pといったケーブルが構成される。
カッドは、4本を1組として構成するので、電話用の場合1カッドで2回線使用できる。カッド撚りが施されたケーブルは、ケーブル外径を小さくでき、減衰量を小さく抑える事が可能で、さらにクロストークが小さくなるという利点もある。2組の電線を組み合わせることで、お互いの電線が磁束を打ち消し合い、近端漏話が低減される。
10対(20本)のケーブルでは、カッド5単位を組み合わせて「10対ユニット」として構成される。20対~200対以下のケーブルでは、10対ユニットを必要な数だけ撚り合わせる。20対の場合は10対ユニット×2、200対の場合は10対ユニット×20となる。400対のケーブルでは、10対ユニットを5対集合させて「50対ユニット」とし、それを8つで400対のケーブルを構成する。
10対ユニットを構成するカッドは、撚りピッチが全て異なっている。ピッチが同一に撚られていると、撚り線同士がクロストークを引き起こしてしまい品質低下の原因となるが、カッド内部で撚りピッチが異なれば、お互いの撚り線でノイズを打ち消しあうため、漏話を低く抑えられる。
市内電話局から施設までの配線を除き、施設内の電話幹線では、MDF~IDFまでをカッド撚り電線とし、IDF~電話機までの配線はツイスト撚りの2心ケーブルを使用すると良い。
ツイスト撚りの2心ケーブルには、ICTケーブルという名称の「電子ボタン電話装置専用ケーブル」が普及している。一般の音声通話だけでなく、本体装置と電話機の間でデータ通信を行う場合にも適している。
着色識別PE絶縁PEシースケーブルである。電話配線として広く使用されている通信用電線である。全心線が着色されており、カッド撚り構成となる。
着色識別PE絶縁PEシースケーブルのうち、自己支持ワイヤー付の製品である。屋外用の電話配線に適合しており、耐候性を高めるため黒色シースで被覆されている。
着色識別PE絶縁ラミネートシースケーブルと呼ばれ、アルミラミネートテープを縦添えし、遮蔽を施したCCPケーブルである。アルミ遮蔽なので高い遮蔽効果は望めないが、耐水性に優れるという特長がある。
着色識別PE絶縁ラミネートシースケーブルのうち、自己支持ワイヤー付の製品である。CCP-P-SSケーブルと同様、屋外用の電話配線に適合しており、耐候性を高めるため黒色シースで被覆されている。
電話配線が電力ケーブルと並行して敷設されていると、電磁誘導を生じて電話配線に影響し、誤作動やノイズの原因となる。通信ケーブルを敷設する場合、電磁誘導の影響を受けづらい、遮蔽シールドを持つケーブルを採用するのが効果的である。
遮蔽の方式には、編組線を使用した編組シールドと、導電性テープを絶縁線心の周囲に巻きつけるテープシールドがある。編組シールドは、動線を編組しておりシールドを行う技術で、柔軟性が必要な部分に用いられる。
テープシールドは、被覆率100%を確保できるシールド性能の高さ、軽量であることなど多くの利点がある高性能ケーブルであるが、柔軟性に乏しく曲げに弱いという欠点がある。
外部からの電磁誘導を防止するための遮蔽には、遮蔽効果が高い順から「銅テープ重ね巻き」「銅編組線」「アルミ箔貼付プラスチックテープ巻き」がある。
遮蔽効果に優れており、導電性が高く半田付けが容易なので、接地を行いやすい遮蔽方式である。大サイズのケーブルでは問題にならないが、小サイズのケーブルの場合、ケーブルが硬くなり可とう性が悪く、施工性が悪化する。
高圧電動機や高圧配電線の付近など、電磁誘導ノイズが高い場所に通信ケーブルを敷設する場合は、銅テープによる遮蔽を行うのが効果的である。
銅を網状に構成した遮蔽で、価格が高く、重いという欠点があるが、導電性が良好であり、接地を行うのが容易という利点がある。可とう性が良好なので、複雑な配線施工を要求される部分に適している。
銅テープ重ね巻き遮蔽では、ケーブルが硬くなり取扱いが困難になるが、銅編組線は柔軟性が非常に良好で、大小問わずケーブルが柔らかく、施工性が良好である。
銅テープ重ね巻きと比較すると導電性が低いので、高い電磁誘導ノイズが発生する場所では注意が必要である。
遮蔽効果は銅テープ重ね巻きに劣るが、安価であり、素材が柔軟で薄いため、施工性が良好である。
導電率が銅編組線よりも悪く、接地の施工が困難という欠点がある。電磁誘導ノイズが比較的少なく、簡易的な遮蔽を行いたい場合に適している。
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