電動機の始動方式と始動電流

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電動機の始動電流について

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電動機を始動させる場合、小型の電動機であれば電圧をじか入れ(電源を単純に投入)するだけで、問題なく立ち上げることができます。このとき、定格速度まで電動機が加速する間、負荷が大きくなっているため電流値が定格電流よりも大きく流れ、場合によって定格電流の5倍から7倍の電流値になることがあります。この電流は、始動電流と呼ばれています。

例えば、7.5kW程度の電動機であれば、始動電流は概ね150A程度が流れることがありますので、これに対応した遮断器を用意することになります。しかし、30kWの電動機をじか入れで運転させようとすると、700Aから800Aの始動電流が流れることになり、遮断器が瞬時引外し動作となったり、ケーブルへの電流負担が大きくなり過ぎたりします。

このように、じか入れで起動させる事ができない大型の電動機の場合、ケーブルや遮断器、変圧器などに過度の負担を掛けないように、正常始動させるために、始動器が必要になります。

電動機は、電圧を印加した瞬間から大きな電流が流れ始めますが、負荷が大きく、長時間回転数が上昇せずにいると、過大な電流が長時間発生し、電動機を構成する機器が電流によって焼損することもあります。始動器による電流抑制は、このような事故を防止することも可能になります。

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始動方式の種類と特徴

電動機に単純に電圧を印加すると、前述したように過大な電流が発生し、保護継電器や遮断器、ケーブルに負担を与えます。電動機を始動させるための方式としては、全電圧始動、スターデルタ始動、リアクトル始動、コンドルファ始動、一次抵抗始動などがあり、設備の規模や条件によって選定を行ないます。

スターデルタ始動方式については、オープンスターデルタとクローズドスターデルタに分類されています。それぞれの特徴は下記の通りです。

全電圧始動

始動装置を設置せず、直接電動機に電圧を印加して始動させる方式を全電圧始動といいます。最も単純な始動方法であり、始動装置も無いため安価ですから、コスト面からすればできる限り全電圧始動を採用するべきです。十分な電源容量と遮断器容量があれば、大きなトルク特性を確保することができます。

電動機の容量や電流特性にも左右されますが、全電圧始動では、定格電流の5倍から7倍の始動電流が流れるため電圧降下が発生します。場合によっては、同一系統に接続されている他の電気機器への供給電圧低下による悪影響を及ぼすことがあるので、遮断器容量を大きくするなどの対策が必要になります。

また、始動電流によって遮断器が動作してしまうことがあるため、電動機用の遮断器を採用したり、より大容量の遮断器を採用したりなど、検討が必要となります。

概ね、7.5kW以上のファンやポンプへの電源供給をする場合、全電圧始動では不経済になると言われており、スターデルタ始動方式などを採用することになります。

オープンスターデルタ始動

オープンスターデルタ始動方式は、一次巻線をスター結線にすることで始動電流を抑え、定格速度まで加速したらデルタ結線に切り替える方式です。もっとも広く一般的に使用されている始動方式であり、単にスターデルタ始動といった場合、オープンスターデルタ始動を示します。

三相誘導電動機の始動方式としては極めて一般的な方式です。電動機の固定子巻線の両端より3本ずつ、計6本の口出し線を引出し、始動時にはモーター巻線をスター結線として電源電圧を1/√3に低減させ始動電流を小さく抑えます。モーターが安定回転し、電流が小さくなった頃を見計らいデルタ結線に切り替えることで、始動電流を小さく抑えたまま、通常の運転状態とすることができます。

電源の切替には電磁開閉器が用いられ。スター結線用の電磁開閉器と、デルタ結線用の電磁開閉器がタイマーによって制御されます。この一連の動作において、始動電流が低減されるため幹線や遮断器を小さく抑えることが可能になります。

オープンスターデルタ始動は、特に7.5kWから45kW程度までの比較的小型の電動機で採用されます。始動電流値が約33%になるため、遮断器サイズを小さくすることができますが、電圧を低く抑えているためトルク特性が非常に悪く、軽負荷で始動できる電動機でないとトルク不足で立ち上がらないことがあります。

また、スター結線からデルタ結線に切り替わる瞬間、電圧が0になるために電動機が空転状態になります(オープン状態)。この瞬間トルクも電流も0になり、デルタ結線に切り替わった瞬間にトルクと電流が再度発生しますので、突入電流によるショック現象を起こすことがあります。ショック現象を防止したい場合は、クローズドスターデルタ方式の採用を検討します。

クローズドスターデルタ始動

クローズドスターデルタ始動は、スターデルタ始動と同様の結線方法ですが、抵抗器を含むマグネットスイッチのセットを、オープンスターデルタ方式よりもひとつ多く組み込み、スター結線からデルタ結線に切り替えた瞬間の突入電流を、抵抗器付き回路を挟むことによって吸収させます。これにより、オープンスターデルタ方式で問題となる、始動装置の切替によるショック現象を防止することができます。

電路に常時電圧が入ったままで、電源開放状態(オープン状態)が存在しないことから、クローズドスターデルタ始動という名称が付けられています。切替時のショック現象が品質に影響するような系統への適用や、頻繁にオンオフすることによるショック現象の軽減には効果的ですが、抵抗器と電磁接触器の個数が増えるためコスト高となり、採用実績は少ないと言えます。

リアクトル始動

リアクトル始動方式は、45kWを超える大型機械に広く採用されます。電動機の一次側にリアクトルを入れることで始動電流を緩衝させ、定格速度近くまで上昇した時点でリアクトルを短絡させて始動状態を維持します。リアクトル始動はスターデルタ始動よりもトルク特性が良いので、より大容量の電動機を立ち上げることができます。全電圧始動の約50%まで始動電流を低減させることができます。

コンドルファ始動

コンドルファ始動方式は、電動機の一次側に単巻変圧器を入れ、低電圧で始動開始させることで突入電流を低減させる始動方式です。低電圧のままではいつまでも回転速度が上がらず、定格速度で運転することができないため、継電器を用いて抵抗回路を切り離し、全電圧に切り替え、定格速度まで電動機を加速させます。

各種ある始動方式中でも非常に高価な設備ですが、始動電流を最大で25%程度まで低減できる上、始動トルクも良好なため大容量の電動機もスムーズに立ち上がります。スプリンクラーポンプなどの100kW以上の電動機など、大容量の電動機に広く採用されています。

なお、コンドルファ始動装置を動力制御盤に組み込む場合、規模にもよりますが盤の奥行きが600mm程度まで大きくなりますので、消火ポンプ室内や機械室内などに併設する場合、盤の設置スペースを室の広さに見込むよう、計画に注意が必要となります。

一次抵抗始動

リアクトル始動方式と同じ構成ですが、リアクトルの代わりに抵抗を用いたものです。電源電圧を下げて電動機に電圧印加する方式で、トルクの増加が大きく、加速も円滑ですが、コンドルファ始動方式が普及しているため採用実績はあまりありません。

始動補償器指導

指導補償器という三相単巻変圧器を使用し、スター接続にして電源電圧を下げて電圧印加する方式です。一次抵抗始動と同様、コンドルファ方式が普及しているため、採用実績はあまりありません。

電動機の規約電流

規約電流は、誘導電動機の遮断器・配線設計を行うために、全負荷電流値として定められたものです。下表は、三相かご形誘導電動機の規約電流です。規約電流とは、誘導電動機の配線や遮断器を設計するために、全負荷電流値として定められた電流値です。使用回路の電圧が220Vの場合は、電流値が若干小さくなりますので、規約電流値を0.9倍した数値を使用します。

規約電流一覧表

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