電線・ケーブルの許容電流

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許容電流とは

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許容電流とは、電線やケーブルに流すことができる電流の最大値です。電線やケーブルに電流を流すと、導体が持つ若干の抵抗によりケーブルが発熱します。この発熱により、電線が劣化したり被覆が溶融したりするため、ケーブルは許容電流という数値を定め、流すことができる電流値を制限しています。

電線に電気抵抗がまったくなければ、発熱することがないので電流をいくらでも流すことができます。しかし、電線にもわずかな電気抵抗が存在しますので、P = I^2×R の計算に基づく熱が発生します。電流値が大きいほど大きな発熱となりますから、電線の許容電流を超過した電流を長時間流すと、加熱された導体が絶縁物やシースを溶融してしまい火災事故に繋がります。

電線の許容電流を把握し、系統の遮断器容量、負荷容量から算出される電流値に対して適正な電線を選定することは、安全性や経済性の面から重要です。許容電流値は内線規定や、各電線メーカーの技術資料で提供されていますので、これを確認してケーブル選定を行います。

温度による許容電流の変化

許容電流は、電線を被覆している絶縁体の種類、電線を敷設する場所の周囲温度、電線管やラックに乗せるなど電線の敷設方法の3つに大きく影響されます。この3要素については、例えば、ビニル絶縁電線よりも架橋ポリエチレン絶縁電線の方が熱に対して強いため、許容電流を高く設定することができます。

電線を構成する材料だけでなく、電線を敷設する場所も大きく許容電流に影響します。敷設環境が高温の場合、電流を流さない状態であっても電線温度が高くなってしまうため、電流による温度上昇の余裕がなくなり、許容電流値が小さくなってしまいます。

電線管に電線を収容したり、ケーブルラックに電線を多段積みした場合、放熱性能が悪化します。放熱性能の悪化は許容電流の低減に繋がるため、流す電流値を低くしなければ異常発熱の原因となります。流せる電流値の限界が低くなれば、ケーブルサイズが大きくなってしまい、経済性に難があります。このように、許容電流は数多くの要素によって左右されるため、幹線などの計画をする場合には十分な注意が必要となります。

許容電流による電線・ケーブル選定の原則として、「ケーブルの許容電流>遮断器容量>負荷電流」とすることに留意し、配線設計を行います。ただし動力負荷の場合は始動電流があるため、遮断器容量の方が大きくなることがあります。

許容電流の計算

単相3線式回路の許容電流計算

単相3線式の負荷の場合、3本使用する電線のうち1本は中性線であるため、許容電流は2心の数値を採用することができます。例えば、CVT100sqの場合許容電流は290Aですが、計算上の許容電流はCVD100sqの310Aで計算することが可能です。なお、三相3線式の場合は、3本全てが電源線という扱いになるため、CVDケーブルではなくCVTケーブルの許容電流値を採用して計算します。

許容電流の低減率

屋内配線工事において、幹線は重いため天井を転がすことができませんので、一般的にケーブルラックに乗せるか、配管内に納めるか、ハンガーラックに吊る方法が採用されます。このような場合、ケーブル同士が密に接触しているため、放熱性能が低下することにより許容電流が低下します。

ケーブルラックに1段積みに敷き詰めて幹線を敷設した場合、低減率が0.7のため許容電流が低下しますので、ケーブルの許容電流値を低減して計算します。例としてCVT100sqで計算した場合、許容電流290Aなので70%まで減ずると、203Aが使用できる電流の最大値になります。

低減率0.7で幹線計算した場合、設計監理や工事管理する際は、ラック上へのケーブル多段積みを禁止とする必要があります。ケーブルラックに幹線を多段積みで乗せた場合はさらに放熱性能が悪くなるため、低減率を大きくしなければいけません。例えば、ケーブルラックにケーブルを何段にも重ねた場合、許容電流の低減率は0.3となります。

このように、放熱することが困難な敷設環境では、CVT100sqを使用したとしても電流は87Aしか流すことが出来ません。許容電流の低減は、放熱性能の低下を考慮して決められた数値ですから、これを無視してケーブルを選定すると、ケーブルの発熱や発火を引き起こします。

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許容電流超過による事故事例

許容電流を超過した電流をケーブルや電線に流すと、異常発熱による発火事故を引き起こします。頻繁に機器が入れ替わる製作工場などで、増設・移設工事を繰り返した結果、ケーブルラック上に2段3段に電力ケーブルが重なることで放熱性能が著しく低下し、ケーブルから火を噴いたという事例もあります。

身近でわかりやすい許容電流超過による発火事例として、ドラムリールの発火があります。ドラムリールに電線を巻き付けたまま使用すると、電線が重なった部分の放熱性能が著しく悪化し、大きな電流を流すと異常発熱によって発火します。

許容電流の考え方は、このような環境で使用している電線においても、流せる電流値を定義することができます。本来ドラムリールでは、15A程度の電流を安全に流すことが出来ますが、ケーブルを巻き付けたままでは5A程度の電流値でも危険です。

このような事例から、ケーブルを密に敷設して放熱性能を阻害するのは非常に危険なことであり、避けるべきです。しかし、ケーブルを敷設することが出来るスペースが限られてしまうのは往々にして発生しやすい事象であり、ケーブルラックにケーブルを段積みすることは、やむを得ない施工方法です。設計段階から、ケーブルの段積みについて考慮し、経済性と施工の合理性を判断して、適正な設計を行うことが望まれます。

基底温度による許容電流の補正

基底温度とは、電力ケーブルを敷設した場所の周囲温度によって決められた温度基準です。例えば、幹線で使用するCVケーブルやCVTケーブルは、基底温度40℃で許容電流が算出されています。ケーブルの周囲環境温度40℃において、定められた許容電流値を維持できるということになります。つまり、周囲温度が上昇または下降することによって、許容電流は変動します。

ケーブルや電線の許容電流は、基底温度30℃や40℃で定められています。ケーブルを敷設する場所だけでなく、ケーブルが通過する場所においても、所定の周囲温度が確保されていることが原則となりますので、敷設環境の温度に注意する必要があります。

例えば、24時間空調されていて温度が常に維持されている環境であれば、所定の基底温度で決められた許容電流よりも大きく見積ることが可能になります、そうでなければ、許容電流値を変更することは避けます。また、幹線ケーブルが電気室からケーブルラック等によって天井裏を通り、負荷の使用場所に至るまで厳密に温度管理されているのであれば、許容電流を大きく見積っても良いでしょう。

なお、屋外キュービクルから出る幹線の場合、ケーブルの送出部分において直射日光の影響で40℃以上になる可能性がありますから、基底温度を変えることは不可と考えるべきです。またIV電線など、許容電流の基底温度を30℃で設定している場合、周囲温度が著しく高くなると、許容電流を低く考えなければ、異常発熱のおそれがありますので注意しましょう。

許容電流におけるケーブルと遮断器の関係

分電盤の分岐ブレーカー遮断電流は20Aを基本としており、20Aの配線用遮断器に VVF1.6-2C や VVF2.0-2C のケーブルを接続して、電源供給しています。VVFケーブルは、屋内配線工事で非常に広く使用されているケーブルです。ユニットバスなどにある天井点検口から天井内を覗き込めば、非常に多くのVVFケーブルが使用されていることがわかります。

ブレーカーの動作特性と許容電流

ブレーカーの動作特性として、1倍の電流値では動作しません。20Aの電流を流し続けた場合、ブレーカーは動作しない上、許容電流がオーバーした状態になります。継続して使用すれば電線が過熱し発煙・発火のおそれがあります。

同様にコンセントの許容電流は15Aです。しかしブレーカーは1倍の電流値では動作しないため、15〜20Aでは動作しません。タコ足配線で火災が発生する原因の一つとして、許容電流15Aのコンセントタップに対して比較的低電流の機器を数多く接続することにより、19A〜20A付近の電流値で運用してしまうという要因にあります。またケーブルやコードが数多く重なることにより、放熱が阻害されて熱が抜けなくなるという要因も重なり、火災の可能性が飛躍的に高まります。

火災事故を防止するため、1系統で1,500W程度までを上限として、接続する機器を考えましょう。ブレーカーがあるから安全が保障されているというわけではありません。

電線・ケーブルの温度上昇計算

補足情報として、電線の温度上昇についての計算式を記載します。銅線の温度上昇は θ = 0.008(I/A)^2×t という計算式で算出することができます。例えば、VVF1.6mm-2C のケーブルに、許容電流値である18Aの電流を流した場合、 0.008 × ( 18 / 2 ) ^2 × 1 = 0.648 [℃/秒] で温度上昇します。

許容電流値までの電流であれば、電線は適正に放熱を行い、発火するなどの事故は発生しません。よって、放熱と発熱が平衡し、基底温度以上の過熱状態にならないことが予測されます。

しかし、許容電流を大きく超える、30Aの電流を VVF1.6mm-2C ケーブルに流した場合を考えます。すると、温度上昇は θ = 0.008 × ( 30 / 2 ) ^2 × 1 = 1.8 [℃/秒] となります。

0.648 [℃/秒] で放熱と発熱が平衡していたケーブルは、電流増加による熱量で異常加熱します。電線が過熱され、被覆の焼損・発火が発生し、地絡事故や相間短絡事故に移行するおそれがあります。許容電流を超える電流を電線に流すのは、厳しく制限することが望まれます。

CVケーブル許容電流一覧

サイズ CV-1C CV-2C CV-3C CVD CVT
2.0 31 28 23 - -
3.5 44 39 33 - -
5.5 58 52 44 - -
8 72 65 55 - -
14 100 91 77 91 86
22 130 120 100 120 110
38 190 170 140 165 155
60 255 255 190 225 210
100 355 310 260 310 290
150 455 400 340 400 380
200 545 485 410 490 465
250 620 560 470 565 535
325 725 660 555 670 635

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