エアコンの電気代・消費電力

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エアコンの基礎知識

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エアコンは、室内の空気温度の調整を行ったり、湿度の調整を行う設備の総称であり、住宅用途では冷房暖房兼用型の空冷ヒートポンプパッケージ形がほとんどを占めています。

エアコンが必要とする機能は、空気の温度を調整すること、湿度を調整すること、気流を発生させることという3つです。空気環境をエアコンによって変化させ、過ごしやすい環境をつくるのがエアコンの役割と言えます。住宅、業務施設のほか、電車や自動車などにも設置されています。

住宅用途の建物の場合、エネルギー消費はエアコンによる空調が30%前後を占めており、これを節約することで大きな省エネを図ることができます。住宅用途のエアコンの運転は、ほとんどが電気で圧縮機(コンプレッサー)を動作させるEHP方式です。業務用エアコンでは、ガスで動作させるGHP、石油(主に灯油)で動作させるKHPなどが普及しています。

エアコンの消費電力

下記に、住宅における部屋の広さとエアコン能力の一般的数値を記載します。この数値はエアコンの消費電力ではなく、冷房能力を示しています。通常ルームエアコンはCOP5.0前後の高い数値を示しますので、例えば、6畳用の冷房能力2.2kWのエアコンであれば、消費電力は440W程度が定格となります。

震災以降、需要家の節電によって電力供給を安定化する施策が各地で行われていますが、電力会社が必要とする節電の目的は、瞬間的に最大となる消費電力を低減させることです。特にエアコンの消費電力は、室内温度が高い状態や、外気温が高い状態などには非常に大きくなる特徴があり、冷房による最大電力は、外気温が特に上昇する夏場の12時〜15時頃に発生します。外気温が下がったり、室温が設定温度まで調整された後は、エアコンの室外機は送風運転に近い運転となり、消費電力が低くなります。

このように、エアコンの消費電力は外気温や室内温度など、空気環境に大きく左右されますので、消費電力を定量的に判断することは非常に困難です。参考として、部屋の広さと冷房能力の目安を示します。括弧内はカタログ記載の消費電力を示していますが、外気温が高く室温も高い状態では、消費電力は記載数値よりも高くなります。

  • 6畳 → 冷房能力2.2kW(消費電力 約440W)
  • 8畳 → 冷房能力2.5kW(消費電力 約500W)
  • 10畳 → 冷房能力2.8kW(消費電力 約560W)
  • 12畳 → 冷房能力3.6kW(消費電力 約720W)
  • 14畳 → 冷房能力4.0kW(消費電力 約800W)
  • 16畳 → 冷房能力5.2kW(消費電力 約1,040W)

エアコンの消費電力と電気代の関係

家庭用電気機器にはエアコンの他、テレビ、冷蔵庫、照明など数多くありますが、エアコンの消費電力は全体の50%以上を占めるものであり、この消費電力の増減は電気代に大きく影響します。

エアコンは、圧縮機(コンプレッサー)を動作させることと、ファンを回転駆動させることに電力が使用されています。ファンはエアコンが運転している以上、常に回転駆動し続けるため、これを停止させることはできません。よって、エアコンの省エネを図る場合、コンプレッサーを停止させる時間を長くすることが基本となります。

例えば、エアコンを自動運転モードとすれば、室内の温度や湿度などによって、コンプレッサーの運転時間が自動的に調整されるため、省エネ運転となります。

エアコンはこのように、周囲の空気環境によって消費電力が変動するため、月間・日間の消費電力を推測することが困難です。天気が悪かったり、気温の高低が激しい場合、消費電力も大きく変化します。

エネルギー消費効率(COP)

エアコンの仕様書には、Coefficient of Parfofmance(COP)という数値が記載されています。COPは、入力した電力の何倍の出力を得られるかを数値で示したものです。数値が大きいほど、高効率なエアコンであることがわかります。家庭用のルームエアコンでは、5.0前後が一般的です。

業務用のマルチエアコンなどではCOP3.0〜3.5程度、エアハンドリングユニットなどではCOP2.0〜2.5など低くなります。

電気代を低減させる方法

電気代は、消費電力に比例します。家庭用として最も多く契約されているメニューは従量電灯Bです。電気料金として、最初の120kWhまでを約17円、120kWhを超え300kWhまでを約23円、300kWhを超過する分を約24円にするという設定になっています。電力を多く使用する家庭から、より多くの金額を徴収するような料金形態です。

エアコンは、照明器具のような単純な負荷ではなく、外気温・室温・温度設定・カーテンやブラインドの有無・人数・照明の数など、エアコンを設置している部屋や外気の環境によって、運転が頻繁に変化するため、消費電力を算出するのが非常に難しい性質があります。

例えば、冷房能力2.8kWで定格消費電力0.6kWのエアコンで冷房運転時の消費電力計算を行ってみます。冷房運転開始直後は、コンプレッサーが全負荷運転状態となりますので、定格消費電力とほぼ同等の消費電力を示すため、0.6kW前後の消費電力を示します。

空調対象室の温度が高かったり、外気温が高かったりする場合は、消費電力が若干高めの数値となることがあります。定格消費電力0.6kWとありますが、0.7kW〜0.8kWの消費電力を示すこともあります。

室温が設定温度と同じになった瞬間から、コンプレッサーは運転を停止し送風運転のみ行うようになります。部屋が狭かったり、温度設定が現在室温と大差ない場合は、すぐに設定温度まで空調されますので、以降は送風運転になり消費電力は格段に小さくなります。

極端な例えですが、24時間エアコンを連続運転し続けたとしても、室温が設定温度と同じであれば、コンプレッサーがまったく起動せず、電気代が高くなることはない、ということになります。

例えば、1時間掛けて冷房全負荷運転(600W)を行い、室温が設定温度まで下がり2時間の送風運転(20W)を行った場合で、電気代を22円/kwhとして計算すると、600W / 1000 × 22円/kwh + 20W / 1000 × 22円 ×2時間 = 13.2 + 0.8 = 14円 が時間あたりの電気代となります。

コンプレッサーが運転している間は、13.2円分の消費電力が必要ですが、送風運転では2時間掛けても0.8円しか掛かりません。エアコンの消費電力を小さくする方法は、エアコンの省エネ運転として後述しますが、コンプレッサーが運転する時間をいかに小さくするかがポイントになります。

冷房運転しているエアコンのコンプレッサーを運転させないためには、空調対象の部屋が設定温度まで調整されれば良いということに尽きますので、設定温度を高くすることが最も効果的な省エネ手法となります。

しかし、温度設定を上げ過ぎてしまっては快適な環境を作ることが出来ません。快適な温度環境を、少ない消費電力で実現することが、エアコンを上手に使うことに繋がるため、後述する手法を併用することで電気代を低く抑えながら、快適な環境を創りだすことが可能になります。

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エアコンの省エネ運転

エアコンを省エネルギーに配慮して使用するための手法を紹介します。エアコンの消費電力を低減させるためには、コンプレッサーが運転しないように制御することが重要です。

エアコンの温度設定を変更する

エアコンの温度設定は、消費電力に大きな影響を及ぼします。冬場の暖房は22℃〜23℃、夏場の冷房は26℃〜27℃にすることで、コンプレッサーの運転時間を短くし、エアコンの消費電力を大きく抑えることができます。

エアコンの温度設定による消費電力の変動は、室内・室外の空気温度環境によりますが、温度設定を1℃調節することで5〜10%程度変動すると言われています。例えば、行政機関や電力会社などでは、夏は冷房を28℃設定に、冬は暖房を20℃設定にして業務を行うという節電努力によって、省エネを励行しています。

エアコンの風量を自動運転にする

ファン風量を自動運転にすることで、エアコン室内機に内蔵されているセンサー室温検知が有効活用され、室温が設定値に近づいたら微風運転に切り替えたり、コンプレッサーを止めたりすることができます。外気が比較的快適な温度範囲の場合、コンプレッサーの停止時間が長くなるため、消費電力が低減され、大幅な省エネとなります。

エアコンの自動運転は高性能です。例えば、手動風量調整では、設定により段階的にファンを強制運転するため、室温や外気温が快適温度になっても運転を弱めません。手動で大風量設定にしていた場合、室温が適温まで調整されたとしても、常に大風量でファンを回し続けます。快適温度になってもコンプレッサーが運転してしまい、エネルギーを無駄にしてしまうこともあります。出来る限り、風量を自動設定にしておくことをお勧めします。

フィルターの清掃をこまめに行う

エアコンは、空調を行いたい室の空気を室内機で給気し、冷媒を通じて室外機で冷却しています。室内機の給気部分に設置されているフィルタを清掃せず、ほこりが蓄積している状態で運転させていると、ほこりなどによって空気の循環が阻害されて風量が減少し、ファンの圧力損失を引き起こし、冷房効率や暖房効率が低下します。

ほこりなどの圧力損失によってファンの運転に負担が発生すると、エアコンは回転数や効率を維持しようと高出力運転をするため、エアコンに多くの電流が流れ、消費電力が大きくなってしまいます。これは、電気の無駄となります。

エアコンは一般的に、フィルタの汚れによって、能力が15%〜20%ほど減少すると言われています。また、エアコンの能力を低下させるだけでなく、ファンやフィルタに付いたほこりを部屋中にまき散らしてしまい、ハウスダストによるアレルギーの原因にもなりますので、最低でも2週間に1回程度は、掃除機等によってフィルターのほこりを取ることを推奨します。

エアコン室外機の前面を開放する

冷房運転や暖房運転をする場合、エアコン室外機は外気を取り入れて冷媒を通じて熱交換し、室外機前面から排気を放出します。この排気は熱交換に使用されているため、冷房運転時は高温の排気を、暖房運転時は冷気を放出します。室外機の前面にフェンスや壁があり、排気が跳ね返るような構造だった場合、自らの排気を再度吸い込んでしまうため、エアコンの熱交換能力が非常に悪くなります。

この、給気と排気が近接し、お互いが影響してしまう状態を「ショートサーキット」と言います。ショートサーキットはエアコンの能力を大きく落としてしまいますので、これは絶対に避けなければいけません。ショートサーキットを防止するためには、室外機は格子状のフェンスの前に設置して外部に放出するなど、排気と給気が近づかないような配置を考慮することが重要です。

二台以上のエアコン室外機をバルコニーに設置している場合、お互いの室外機同士が対面に向かい合う配置は、エアコンの熱交換の効率が非常に悪くなります。室外機を互いに、フェンスの外を向かせる配置にするのが原則ですので、設置する際は注意しましょう。

換気扇やレンジフードを過剰に運転しない

換気扇やレンジフードは、部屋の空気を新鮮空気に置き換えてくれる重要な設備ですが、外気を強く室内に誘引するため、空調している室温が外気に近くなってしまいます。24時間換気、トイレの換気、キッチン使用中などを除き、必要最低限の換気のみを残して、過剰な換気を行わないことがポイントです。

カーテンやブラインドを使用する

直射日光など、外部からの熱負荷は、カーテンやブラインドなどで遮蔽して低減させることができます。最も効率が良いのは、外部にブラインドを設置する方法で、例えば学校などでは、窓の外に横向きルーバーなどが設置されていることがあります。直射日光を屋外で遮り、熱負荷が室内に入らないようにしています。

住宅用途の場合も同様で、ベランダ・バルコニーに日除けスクリーンを設けることで大きな熱負荷の低減が出来ます。この方法は最も熱遮蔽の効果が高いため、推奨される方法です。室内に熱の侵入がなければ、設定温度に室温を維持することができるため、コンプレッサーの運転を少なくすることができ、省エネルギーになります。

ただしマンションなどでは、防災上の問題から、建物管理者に、このような遮蔽を使用しても良いかの確認をしておくのが望まれます。マンションのバルコニーは避難通路を兼ねていますので、遮蔽等によって通路が塞がれてしまっては問題です。また、台風など強風にあおられて遮蔽物が吹き飛び、車や人にぶつかったりすれば、損害賠償などの問題に発展することもあります。設置方法や設置場所には十分注意しましょう。

暖房の省エネを考える場合は、基本的に冷房時の逆の措置を行います。カーテンやブラインドを開け、直射日光を室内に入れることで暖房負荷を低減させることができます。空調室外機は直射日光などを当てて温めることで、熱交換効率を高めることができ、省エネルギーになります。

扇風機やシーリングファンで室内空気をミキシングする

エアコンから放出される熱はその特性上、暖気は上部、冷気は下部にたまりやすい性質があります。エアコンの自動風向調整などで空気をミキシングさせると、空調効率が上がります。また、扇風機やシーリングファンがあれば、これをエアコンと併用して運転させることによって、冷気と暖気を適度に混合され、快適な温度空間を実現することができます。

暖気は上部へ、寒気は下部へたまる性質を利用し、暖房運転の場合は風向板を下向きに、冷房の場合は風向板を水平に向けることで、部屋全体がまんべんなく空調され、快適な部屋環境を作ることが可能です。

シーリングファンは、冷房時と暖房時に回転方向を変え、暖気を効率良く循環させることが重要です。夏季は下方向に風を送ることで風が体に当たり、清涼感が増します。冬季は上方向に風を送ることで、部屋全体に暖気が循環します。シーリングファンは消費電力が小さく、5〜15W程度ですので、長時間運転しても電気代の大きな増加にはつながりません。

シーリングファンの回転方向を変える場合、ファン運転中に強制的にスイッチを切り替えるとモーター故障につながりますので、逆回転をさせる場合は停止状態で切り替えるようにしましょう。

エアコン室外機への直射日光を遮蔽する

エアコン室外機は熱交換を行っていますので、冷房時は室外機から熱を放出します。よって、室外機が熱くなっていると、熱交換の効率が悪くなり、消費電力が大きくなったり、室内の冷房が弱くなったりします。室外機への直射日光を遮蔽することで、熱交換効率を向上させることができます。ただし、遮蔽によって室外機の排気を遮ったり、排気方向が変わってショートサーキット状態にならないように、遮蔽の設置場所には注意が必要です。

前述したように、暖房運転の場合は室外機が冷えていると暖房効率が悪くなりますので、日射を室外機に当てることで効率の良い熱交換ができます。

エアコン室外機を冷やす

エアコン室外機に水を掛けるなどして冷却し、熱交換効率を向上させる方法があります。外気温度が30℃を超えるような猛暑の場合、空調機周辺の温度は場合によって、40℃近い高温となることがあり、熱交換ができなくなっていることがあります。室外機に放水して冷却することによって、熱交換効率が10〜15%ほど向上し、消費電力を5%程度低減することが可能です。

ただし、室外機本体に水をかけることでフィンなどに水垢が付着したり、室外機本体のサビを誘発したりなど、エアコンの故障原因となることがありますので注意が必要です。

旧式のエアコンを買い替える

例えば、15年前に販売されたエアコンと現在のエアコンを比較した場合、消費電力は60%程度まで低減されていると言われます。コンプレッサーの制御方法の進化などにより、電気代が低く抑えられています。COPも高くなっており、より低い電気代で高い冷房・暖房能力を確保することができる高性能エアコンが、多数販売されています。

ただし、これらの高効率なエアコンは、6畳用などの狭い部屋用でも、十数万円の製品が一般的です。15畳程度の比較的大型エアコンであれば、二十万円以上するような高価なものが多く、たとえ電気代が60%まで低減し電気代に差額が発生したとしても、原価を償却するために8年〜10年は必要になります。

一般的に、家庭用エアコンの寿命は10〜13年程度であり、8〜10年も経過すれば、エアコンに故障が発生してもおかしくない時期となりますので、ちょうど原価を償却する頃に新規エアコンに買い換える事になります。エアコンは基本的に、壊れて動かなくなったときや、使い続けて10年程度経過したときが換え時ですので、数年しか経過していない比較的新しいエアコンを、無理に買い換える必要はないでしょう。

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エアコンの選定計算

住宅の場合は、120〜150W / m2 で冷房能力を計算することができます。例えば、10畳の居間のエアコンを選定する場合の計算をしてみます。10畳は約16.2m2ですから、150 × 16.2 = 2430[W] → 2.43[kW] が冷房負荷となります。概ね、選定目安と合致しています。

居間とダイニングやキッチンが一体となっている場合、これらの面積を忘れずに加算しましょう。また、キッチンが一体となっている場合、コンロなど熱源によって冷房負荷が増えます。一回り容量の大きなエアコンを選定することで、余裕のあるエアコンの運転を期待できます。ただし、大容量エアコンほど高価ですし、電気代も高くなりますので、むやみに大きな機種を選定するのは避けるべきです。

ダイキン工業のホームページにて、家庭用エアコンの選び方の目安が公開されていますので、このようなメーカー提供情報を活用することもできます。

エアコンによる換気

エアコン室外機とエアコン室内機が、空気の入れ替えを行っていると誤解される方もいらっしゃいますが、エアコンは室外機と室内機の熱交換しかしていませんので、空気のやり取りはありません。よって、エアコンをいくら動かしても、室内の空気が入れ替わることはありません。

エアコン室内機には、エアフィルタが内蔵されており、室内の空気をエアフィルタに通すことで、空気中のほこりが除去されます。しかし、室内の空気を取り入れて室内に戻しているだけですから、換気されてはいません。

エアコンの仕組みは、銅で出来ている配管に充填されている「冷媒」という物質をガスにしたり、液化したりすることで、冷却や加熱の作用を発生させ、熱交換をすることです。例えば、エアコンの冷房運転時は、室外機内部の銅管に、ファンで風を当てているだけであり、室内機も同様に、室内機内部の銅管に、ファンで風を当てているだけです。

多機能エアコンでは、換気用ホースを冷媒管に沿わせて外部に通し、外気を取り入れることが可能な機種もあります。エアコンの冷暖房によって熱交換し、生外気が取り入れられないように配慮されていますが、換気能力は20m3/h〜30m3/h程度のものがほとんどで、トイレの換気扇よりも換気量が小さく、効果的ではありません。

高気密住宅が普及している現在、24時間換気が義務付けられていますので、エアコンからの換気によってエアバランスが乱されることも考えられます。また、エアコンが外壁に接している場所でなければ、換気機能付きエアコンを使用できません。マンションなどでは、外壁に面していない部屋のため、先行冷媒配管という手法で壁内・天井裏に冷媒配管が敷設されていることが多いのですが、換気用ホースを接続することができません。

このように、エアコンでは本格的な換気を行うことはできませんから、エアコンとは別の換気設備で換気を考えなければいけません。なお、換気を行うことで室内の空気が新鮮な空気と置き換えられますが、外気を導入することにより室温が外気温に近づきます。

例えば、レンジフードを運転させたままエアコンを運転させると、空調された快適温度の空気がどんどん外に逃げてしまうため、強すぎる換気は電気代の無駄になりますので注意しましょう。

エアコンコンセントの仕様と形状

エアコン用のコンセントは、床面に近い部分に設置されている通常の並行コンセント(125V15A)だけでなく、125V20A、250V20Aといった特殊コンセントも多く使われています。小型のルームエアコンであれば125V15Aの通常コンセントで事足りますが、大容量エアコンでは電力が不足するため、高い電圧のコンセントが必要になることがあります。

住宅内では対地電圧150V以下とする規定があるため、三相200Vのルームエアコンを設置することはありません。空調機メーカーも、住宅用のルームエアコンはその多くを単相仕様としています。緩和規定として、定格消費電力2kW以上、対地電圧300Vまでを使用できる条件がありますが、これを適用するような仕様のエアコンを住宅で採用するのは、現実的な選択ではありません。

125V15A 平行コンセント

並行コンセント

壁付けの一般用コンセントと同じものです。125V15A仕様で、特に小型のルームエアコンでは平行コンセントを使用します。接地極は原則必須として計画します。分電盤の遮断器は100V用20Aを設置し、電源ケーブルはVVF2.0-2C、接地線を分電盤からコンセントまで敷設します。

125V20A アイティー(IT)コンセント

アイティー(IT)コンセント

100Vクラスの電圧にあって、20Aの電流を供給できるコンセントです。125V15Aと20Aの兼用コンセントであり、小型から中型のルームエアコンで使用するコンセントです。接地極は原則必須です。分電盤の遮断器は100V用20Aを設置し、電源ケーブルはVVF2.0-2C、接地線を分電盤からコンセントまで敷設するのは15Aコンセントと同様です。

250V20A エルバー(LB)コンセント

エルバー(LB)コンセント

200Vクラスの電圧にあって、20Aの電流を供給できるコンセントです。250V20Aの電流に耐える仕様となっており、中型から大型のルームエアコンで使用するコンセントです。接地極は原則必須なのは他のコンセントと変わりません。分電盤の遮断器は200V用20Aを設置します。電源ケーブルはVVF2.0-2C、接地線を分電盤からコンセントまで敷設するのは同様です。

エアコンの寿命と耐用年数

エアコンの寿命や耐用年数は、一般的に10年〜13年程度とされています。経済産業省が制定した「長期使用製品安全表示制度」において、長期間使用する家電の5品目(扇風機、エアコン、換気扇、洗濯機、ブラウン管テレビ)にあっては、「設計上の標準使用期間」を設定し表示することが定められました。エアコンを製造するメーカーは、標準使用期間を記載することが求められています。

設計上の標準使用期間は、この表示期間を過ぎたら使用してはならないという性質の表示ではなく、設計上の標準使用期間を過ぎて使用した場合に、発火や焼損・怪我が発生するおそれがあることを表示するものです。

長期間使用している電気機器は、各種部品が経年劣化を引き起こしている可能性が高いため、異常の有無を確認しながら使用することが求められます。経年劣化は、設計や製造上の不良が原因ではなく、機器そのものの使用限界ですから、買い替えをするしか対応策が無いことも考えられます。メーカーが修理部品を保有していない可能性もあるため、長期間の使用はリスクを伴います。

例えば、機器に付属している電源コードやプラグ部分は、劣化によってひび割れが生じていたり、異常発熱が発生するおそれがあります。内部基板も長期間の通電やほこり等の影響で、熱による劣化を引き起こしている可能性があります。

ドレン排出用のポンプやエアコン内部ドレン管についても、接続部が歪んでいたり、ひび割れによって漏水を引き起こすおそれがあります。このように、エアコン内部機器の劣化によって、安全性に支障が出始める時期を「設計上の標準使用期間」として定め、寿命または耐用年数として管理するのも、ひとつの手法となります。

なお、税法上の減価償却資産として「冷房用又は暖房用機器は耐用年数6年」と定められていますが、これは機器の物理的寿命とは意味合いが違います。10年以上使用可能な機器であっても6年間で経費とするように国が定めたもので、取得費用の計算をするために用いるものですから、混同しないよう注意が必要です。

寿命・耐用年数を定めるための標準的な使用条件

エアコンの設計上の標準仕様期間を算出する計算式は、日本工業規格「JIS C9921-3:2009 ルームエアコンディショナの設計上の標準使用期間を設定するための標準使用条件」によって定められています。

  • 冷房室内温度:27℃(乾球温度)
  • 冷房室内湿度:47%(湿球温度 19℃)
  • 冷房室外温度:35℃(乾球温度)
  • 冷房室外湿度:40%(湿球温度 24℃)
  • 暖房室内温度:20℃(乾球温度)
  • 暖房室内湿度:59%(湿球温度 15℃)
  • 暖房室外温度:7℃(乾球温度)
  • 暖房室外湿度:87%(湿球温度 6℃)
  • 設置条件:標準設置製品の据付説明書による。
  • 負荷条件:住宅木造平屋,南向き和室,居間
  • 部屋の広さ:製品能力に見合った広さの部屋(畳数)
  • 1年間の使用日数:東京モデル
  • 冷房運転:6月2日から9月21日までの112日間
  • 暖房運転:10月28日から4月14日までの169日間
  • 1日の使用時間:冷房9時間/日 暖房7時間/日
  • 1年間の使用想定時間:冷房 1,008時間/年 暖房 1,183時間/年

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エアコンによる除湿運転の仕組み

エアコンを冷房運転すると、室内を除湿することが出来ます。室内機の内部には、熱交換を行うためのフィンがあり、エアコンが冷房運転すると、室内空気が結露によって水滴に変化してフィンに付着しドレンホースを通じて屋外に排出されます。これにより空気中に含まれる水分量が減少するため、相対的に湿度を低下させることができます。

エアコンには「除湿運転」というモードがあります。前述したように冷房運転をすることでも除湿されますが、多くのエアコンには「除湿」または「ドライ」という名称の機能が備わっており、冷房運転とは区別されています。

除湿(ドライ)運転と冷房運転の違い

「除湿(ドライ)運転」と「冷房運転」は、どちらも冷気を放出することで湿度を下げるエアコンの機能ですが、その機能には明確な違いがあります。

冷房運転は、部屋の湿度を下げるということが目的です。冷房の結果、湿度が低下するため除湿と同じ効果を得ることができますが、そもそもの目的は「温度を下げる」ということですから、除湿のために利用する機能ではありません。室温が下がると、空気中に含むことができる水分量が少なくなるため、室温を大きく低下させれば湿度も同様に大きく低下しますので、快適な湿度環境に調整するのは難しいでしょう。

対して除湿運転は、室温を出来るだけ変化させず、湿度だけを低下させることが目的です。湿度を調整することで、温度をあまり低下させずに、快適な環境を作り出すことができます。除湿をするための機能として「除湿冷房方式」と「再熱除湿方式」があります。

除湿冷房方式

除湿冷房方式は、冷房運転による除湿機能をそのまま利用した除湿方式で、できるだけ室温が変わらないよう弱冷房運転をすることで除湿する機能です。エアコンの吹出口からは冷気が放出されますので、普通の冷房よりは温度変化が小さいですが、除湿能力もそれほど高くありません。

冷房運転では室温が大きく低下してしまいますので、風量を小さく抑えることで室温ができるだけ下がらないようにしています。とはいえ、単なる「弱運転冷房」に区分され、除湿の精度も能力も高くありません。エアコンから一定量の冷気を放出しつつ、湿度を下げていきますので、室温を変化させたくない場合にはお勧めできません。

一般的な冷房運転よりも冷気の発生量が少ないため、消費電力は冷房運転よりも小さくなる傾向にあります。湿度とともに室温がある程度変化しても良いという場合に適しています。

再熱除湿方式

再熱除湿方式は室温を低下させずに湿度を調整する機能です。除湿冷房方式では、吹出口からの冷たい空気によって室温が低下しますが、再熱除湿方式は冷房運転によって発生した冷気を、室温に近い温度まで加熱してから吹出すことで、室温の低下を防止します。

湿度が高くても室温を下げたくない梅雨などの季節や、就寝時の湿度調整を行う場合、除湿冷房方式では室温が下がり過ぎてしまい、体調不良などにつながることがありますので、再熱除湿方式による除湿が推奨されます。

再熱除湿を使用する場合、消費電力の増大による電気代アップに注意が必要です。再熱除湿は「冷房と加熱を同時に行う」という熱エネルギーのロスが非常に多い仕組みであり、冷房運転よりも電気代が高くなる傾向にあります。

除湿における消費電力と電気代の比較

電気代と消費電力を除湿機能を主眼に比較すると「 除湿冷房(弱運転) < 冷房 < 再熱除湿 」となるのが一般的傾向となります。室温が高い昼間などは冷房によって室温と湿度を大きく下げ、就寝時や雨季などは再熱除湿を利用するなど、環境に応じた使い方をするのが良いでしょう。

エアコンからの水漏れ・異音・臭気と対策

エアコンからの異音

エアコンを運転している際、本体付近からポコポコという異音が発生することがあります。これは、特に冷房運転を行う場合に発生します。エアコンは冷房運転をする際に、室内機の内部にあるフィンが低温になりますので、露点温度の関係から、結露による水滴付着が発生します。この水滴をドレン水と言いますが、この水滴は室内機に一時的に溜め、ドレンホースを通して屋外に排出させています。

このドレン水がドレンホースを通じて流れる際、強風などで外圧が高かったり、室内でレンジフードや換気扇などを運転させることにより、負圧となっていたりすると、排水不良を起こすことがあります。この時、ドレンホースからポコポコという異音が発生します。

この異音がドレンホースから発生しているときは、ドレンホース内にほこりやゴミが詰まっていることが多いですから、ドレンホースの洗浄・清掃をすることが望まれます。もしドレンホースが完全に閉塞されてしまうと、ドレンホースやドレンパンが満水状態となり、エアコン室内機から水漏れが発生します。

エアコンの臭気・臭い

長期間使用したエアコンは、熱交換するためのコイルなどに付着したカビなどにより、臭気を発生させます。冷房運転などを開始してすぐは、コイルが十分に冷却されていないため、臭気が強い状態となります。特に熱交換器はほこりやカビが付着しやすく、臭気の原因となります。

また、冷房運転を停止し、コイル部分に結露した状態で温度が室温に近くなると、カビや微生物が繁殖しやすい環境になります。これにより、運転と停止を繰り返すほど、カビ・微生物が繁殖し、臭気の原因となるため定期的な清掃が必要です。

エアコンの冷房運転時のサイクル

圧縮機(コンプレッサー)により高温高圧ガスに変換

一般的なルームエアコンでは、室外機に圧縮機・凝縮器が内蔵されており、室内機には蒸発器が内蔵されています。この3種類の機器を組み合わせることで、冷房や暖房を行っています。エアコンの冷房運転を行う場合のサイクルは、下記の通りです。

まず、エアコン室外機に内蔵されている「圧縮機(コンプレッサー)」により、冷媒を高温高圧ガスにします。

凝縮器により、ガスを液化させる

高温高圧ガスの冷媒を、エアコン室外機に内蔵されている「凝縮器」で放熱して、液化させます。凝縮器にファンの風をあてて放熱させるため、室外機から熱風が出ます。

膨張弁により、液化冷媒を低温低圧に変換

液化した冷媒を膨張弁に通します。膨張弁では、液化した冷媒の圧力を下げることで沸点を下げ、蒸発させます。温度の移動なく液体から気体へ状態を変えるため、「キャビテーション」と言われています。ここで、エアコンに充填された冷媒が、低温低圧の液体になります。

蒸発器により、液化した低温低圧冷媒を気化

エアコン内で低温低圧となった液体冷媒を、蒸発器に通して気化させます。液体が気体に変換される際には、熱を奪う性質がありますので、蒸発器が冷たくなります。冷たくなった蒸発器にファンで風を送ると、冷気が外に放出されます。これは、エアコン室内機の冷房運転時に、冷気が出てくる部分の仕組みになります。

気化した冷媒を圧縮機に戻す

気化した冷媒を圧縮機に戻し、冷媒は再度圧縮機(コンプレッサー)に通され、エアコンの運転サイクルが回っていきます。

エアコン運転サイクルと熱源の違い

寒冷地などのエアコンでは、圧縮機の運転に電気を使用せず、ガスヒートポンプや石油ヒートポンプによって冷暖房のサイクルを形成させる方法も普及しています。これは、圧縮機(コンプレッサー)の運転を電気で行うか、ガスエンジンで行うか、石油の燃焼によって行うかという違いです。

ガスや石油を使用して圧縮機を運転させる場合、約2万時間程度の運転を行うと、圧縮機の運転限界となりますので、点検や修理保全が必要になります。電気式の圧縮機(コンプレッサー)の場合は、ガスヒートポンプエアコンや石油ヒートポンプエアコンよりも長期間の運転に耐えると言われています。

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