引込口施設の計画 | 引込電線の種類・責任分界点の考え方

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高圧受電の引込計画

高圧受電の需要家では、建築物の計画に、電力引き込みを考慮する必要がある。受変電設備を設けなければならない規模の建築物では、電力会社の配電線から受電するために、架空の場合は電柱を、地中埋設の場合は高圧キャビネットを設けなければならない。

建物内部の計画だけでなく、引込計画についても考慮することが重要である。架空引込・地中引込のどちらの計画をおこなった場合でも、引込点には電柱または高圧キャビネットが設置されることになるため、意匠計画に大きく影響する。

周辺道路に敷設されている電力会社の電柱配置によっては、要望する引込点まで電柱を延伸するために負担金が必要になったり、思わぬ費用が発生することもある。計画前の電力会社との事前協議が重要である。

ビル外壁にある電力と通信の引込口の写真

責任分界点の設定と保護装置の計画

電力会社から電力を供給して貰う場合、敷地と公道との境界部に責任分界点を設定する。原則として自家用電気工作物の所有者側が、高圧負荷開閉器などを設置し、開閉器の一次側電線を区分とすることが多いが、構外に責任分界点を設定することもある。電力会社との協議により、責任分界点を決定する。

責任分界点には区分開閉器が設置され、これが財産分解点として分離されるのが一般的である。気中開閉器が故障し、事故が発生した場合は自家用電気工作物の所有者に責任があることになり、負荷開閉器一次側の接続点よりも上流で事故があれば、電力会社側に責任がある。

気中開閉器は、事故電流を遮断するために設置するものではなく、責任と財産の区分を行うための設備であり、別に遮断装置の保護装置を計画しなければならない。高圧受電設備規定では、責任分界点の負荷側に主遮断装置・地絡遮断装置を設置し、事故から保護しなければならないことが規定されている。

引込口の計画

高圧の引込口は、一定の安全基準に基づいた計画を行う。キュービクルを持つ高圧受変電設備の場合、CVケーブルやCVTケーブルを引込ケーブルとして選定することが多く、厚鋼電線管や波付き硬質合成樹脂管で保護している。

電線のサイズは、使用する許容電流以上のものを選定するのは当然ながら、短絡事故に備え、短時間耐電流にも考慮した計画としなければならない。電力会社が供給する電力状況によっては、電線サイズの助言があることも考えられるので、電力会社との協議を密に行う。

架空引込の注意点

電気設備技術基準により、高圧ケーブルを引込む場合、道路地表面から6.0m以上、鉄道・軌道レール面上から5.5m以上、歩道橋路面上から3.5m以上、その他地表上から3.5m以上の離隔が必要であると規定されているため、電線の下端が低くなり過ぎないよう引込計画を行う。

引込点には、電柱を設置し、区分開閉器、避雷器などが設置される。電柱は根枷などを設置して抜けや傾きを防止した上で、引込方向の反対側に支線を張り、引込ケーブルからの張力に対応する。支線を設置する方向に注意し、支線が建築物に当たったり、駐車場に飛び出したりしないように配置計画を行う。

ケーブルを吊架する場合は、ハンガー間隔を50cm以下にし、ケーブルのたわみを防止する。吊架線は引張強さ5.93kN以上・断面積22sq以上の亜鉛めっきより線を使用することが規定されており、D種接地工事を施すことなども規定されている。

地中引込の注意点

高圧電線路は、電力会社のインフラ敷設状況によっては地中引込となることがあり、都心部では地中引込の事例が多くなる。地中引込を行う場合、上水道や下水道、ガス配管も同様に敷設されるため、引込時の調査が重要となる。埋設物が邪魔になることも多く、引込位置や高さに注意が必要である。

地中引込の場合、ハンドホール及び高圧キャビネットを敷地内に設置し、電力会社との協議で設定した場所に電線管を突き出し、電力会社からのケーブルを挿入して電力供給を受ける。地中埋設している電線管は、水の通り道となり雨水によって水没することがあるため、防水管を採用したり、防水装置を取り付けることで、水の侵入を防止すると良い。

高圧ケーブルを地中埋設する場合、厚鋼電線管・波付き硬質合成樹脂管を使用するが、重量物の圧力を受ける場所では、地表面からトラフまたは電線管上端までの離隔を1.2m以上としなければならない。ただし圧力を受けるおそれがなければ0.6m以下とできる。

電線管を埋設する場合、掘削によって高圧ケーブルが損傷しないように、ケーブル標識シートを電線管上部に埋設し、下部に高圧ケーブルがあることを表示する。

ケーブル標識シートは複数段で敷設すると安全性が高まる。地表面から30cm及び、埋設ケーブル上部の2段でシートを敷設し、さらに地表に埋設標を設置すると、より安全性の高い施工となる。

需要家内の遮断器で保護できず、電力会社の遮断器を動作させ近隣一体を含む停電を発生させた場合、「波及事故」として損害賠償をふくむ責任問題に発展するおそれがある。重点的な安全対策が望まれる。

建物引込後の高圧ケーブル計画

高圧引込電線は、建物に導入された部分を協会に、「ケーブル」を使用しなければならないことが規定されている。電線管やトラフ、ケーブルラックといった保護管を用い、安全対策を施した高圧ケーブルを敷設するのが基本となる。

高圧ケーブルは仕上外形が低圧ケーブルよりも大きく、薄鋼電線管やねじなし電線管では最大呼径75mmまでしかないため、適用できないことがほとんどである。厚鋼電線管は呼径104mmまであるので、高圧ケーブルの収容管として適している。厚鋼電線管は亜鉛めっきが施されており、厚さも2mm以上あるので、耐候性・耐衝撃性・耐久性に優れている。

高圧電線露は低圧屋側配線や電灯回路の配線類、弱電流配線類と15cm以上近接しないように計画しなければならない。金属製の水管やガス管とも15cm以上離隔する。電線管やトラフに収容すれば、離隔距離の制限は適用外になるため、一般的には電線管に収容する。

高圧ケーブルの本数が多い場合は、カバー付きケーブルラックに一括収容する方法も考えられる。

引込開閉器盤

主に低圧受電では、低圧で敷地内に引き込まれた電線を受けるため、引込開閉器盤が設置される。引込開閉器盤内には、責任分界点としての開閉器、電力会社契約用の電力量計が設置され、ここで計測された電力量により、月々の電気代が算出される。

 
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