キュービクルの基礎知識 | 仕組みと設置基準・関連法規・設計の注意点

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キュービクル受変電設備とは

キュービクルは、電力会社の発電所、変電所から供給される高電圧の電気を、ビルや住宅の需要家で使用できる低い電圧に変圧する設備であり、各種の保護装置や計測装置、配電装置を内蔵している受変電設備のひとつである。

受変電設備は通常「区分開閉器、断路器、遮断器、変圧器、保護継電器、制御装置、計測機器、低圧配電設備」で構成されているが、これらを全て鉄箱に一括して収容したパッケージ製品が「キュービクル式」の受変電設備と呼ばれている。

需要家から、50kW以上の受給要求があった場合、低圧での供給では電流値が大きくなり過ぎてケーブルサイズが過大となってしまうため、電力会社は高圧で電力を供給するように求める。電力の供給を受ける側である需要家は、変圧器を含む受変電設備を構内に設置して、高圧電力を受け入れる必要がある。

キュービクル式の受変電設備は、高圧変電設備のひとつとして広く普及している。単に「キュービクル」という略称でも呼ばれており、国外ではCubicles(Electric Switchboard Equipment)という名称で呼ばれ、立方体の小部屋という意味がある。

なお「キューピクル」と表示したり、「QP」という略称で記載していることもあるが、略称という意味では正確ではない。

キュービクル式受変電設備の外観写真

基本設計手法の解説

キュービクルの設備容量は、変圧器の総容量で決められる。電灯変圧器100kVA×3台、動力変圧器300kVA×2台とすれば、キュービクルの設備容量は900kVAとなる。

設備容量の選定

事務所や工場、商業施設、病院、学校など国内には多種多様な用途の建築物があるが、設置される電気機器はエアコンや給水ポンプ、換気ファンといった基本的な建築設備が主体であり、面積によってキュービクル容量選定が可能である。ただし、空調機が電気式かガス式かによって空調機の電気容量は大きく変化するし、工場などでは特殊な大型機器がないか、といった与条件を確認しなければならない。これら特殊機器の電気容量を加算してキュービクルの設備容量を選定する。

汚損防止

受変電設備は事故や故障が発生すると、建物への電力供給が途絶えることになるため、汚損の少ない屋内に設置するのが原則である。屋外に設置すると、塩分を含んだ風や雨に晒されるため外箱の耐候性を高めなければならず、小動物や虫の侵入による事故を防止するための追加投資が必要である。内部に収容されている変圧器などを冷却するために、換気ファンで空気を取り入れるため、機器内部も汚損が進行する。

寒冷地対応

寒冷地では、キュービクル屋根に積雪のおそれがあるため、積雪に耐えるよう強度を高める必要がある。変圧器が常に稼働していれば、内部が温められるため結露する心配は少ないが、急激な温度変化による内部結露の発生はゼロではないため、スペースヒーター取付なども検討しなければならない。イニシャルコストだけでなくランニングコストも大きくなるおそれがある。

レンタブル比の確保

屋内に電気室を設けると、建築面積や延床面積が増加することになり、建ぺい率や容積率を最大限活用したいオフィスの建築物では、レンタブル比の低下を引き起こし、収益性の悪化につながる。キュービクルの多くは、面積として加算されない屋外、屋上に設置される。

屋外など、湿気や塩分、排気ガスにさらされる過酷な環境でキュービクルを使用する場合、それぞれに対応する耐候性や耐久性のある外箱の仕様を選定しなければならない。屋外に設置するのであれば、内部に水が侵入しないよう防雨・防湿対応を行う。

塩分を含んだ風を受ける湾岸部であれば、表面塗装を耐塩害仕様とする。湾岸に300m以内に近接している場合、重塩害対策として塗装をさらに厚くしたり、亜鉛溶射鋼板の採用、給気口への除塩フィルター取付といった追加対策も検討する。

受変電設備に求められる機能

キュービクルは生産施設ではないため、設置場所はできる限り小さくし、設備投資費用をできる限り低く抑えることが求められる。内部に数多くの保護設備を設ければ、電気事故に対しての被害を小さくできるがイニシャルコストが増大する。建設費を低く抑え、かつランニングコストを低減した計画が望まれる。多くの機器をキュービクルに収容すると、サイズが大きくなるため設置スペースの縮小も重要な検討項目である。下記は、キュービクルに求められる条件である。

設置面積、設置高さが軽減されていること

受変電設備は建物に対して利益を生み出す施設ではなく、居住性が改善される設備でもない。できる限り設置面積を小さく抑えることが求められる。そのため建物の屋上に屋外型キュービクルを設置するという手法を用いることが多い。屋上は、空調室外機や排気ファンなども設置されることが多く、キュービクルとスペースの取合いが発生する。

建築物の外観に対しても悪影響を及ぼす。外装を美しく仕上げた建築物の屋上に鉄板の箱が見えてしまうのは避けるべきであり、多くの建物でキュービクルをそのまま見せないよう、フレクサラムなどルーバー系の目隠しをして、建物の意匠性を阻害しないよう配慮してする。目隠しを設けるには基礎や鉄骨支持架台などを設ける必要があり、コストアップにつながる。

長寿命・高信頼性かつ省エネルギーな機器が使用されていること

自家用電気工作物に分類される受変電設備であり、かつ6,600V以上の高電圧が印加されるという危険性の高い電気設備のひとつである。故障などで停電を引き起こした場合施設全体の停電につながることもあり、信頼性の高い材料と施工が求められる。高圧による感電事故は重篤な負傷となるため、機器類は高品質かつ高信頼性な製品が求められる。

感電・火災の危険性がないこと

高電圧が印加されている電気機器による感電事故は重篤な負傷につながる。高電圧が印加されている部分は堅牢な絶縁体でカバーし、日常点検時に人体が接触しないよう保護措置を行う。高圧だけでなく低圧部分も同様に保護する。

許容以上の電流が流れた場合に、即時電路を遮断するための装置を組み込むのも重要である。電力会社側の配電線路に影響を及ぼさないよう、保護協調を考えて継電器を設置しなければならない。

過剰設備でなく、経済的であること

受変電設備を構成する機器は、安全性、寿命、操作性などグレードに応じて多様な部品が選択できる。小規模な事務所と超高層ビルでは、受変電設備に求められる信頼性、安全性、操作性のグレードは変化する。

法的な基準を満たした最低限度の設備とするか、停電や復電、警報の自動化を含む高性能な設備とするか、施設グレードに応じた計画が求められる。小規模であっても、病院など人命に直結するような施設では、より安全な受変電設備を計画することもある。高信頼性な設備計画はコストアップにつながるので、バランスの取れた設計を行う事が重要である。

保守点検が容易であること

受変電設備は設置後、放置したままで運用することはできない。電気主任技術者の責任のもと保安規程を策定し、日常点検や年次点検を行い、安全に動作することを確認しながら運用しなければならない。

キュービクルは日常点検を行う必要があり、安全にキュービクル点検に向かうことができ、日常点検も安全に行うことが基本である。法的に定められた操作面の必要スペース確保、点検中に落下しないよう落下防止措置などを計画することも重要である。

キュービクルの内部も同様、安全かつ容易に保守点検ができるよう、側面から内部に入ることができる中廊下を設けたり、クランプメーター等を挟みやすいケーブルの取り回しがなされていれば、保守点検に必要な時間を短縮できる。近年は設備点検をする電気主任技術者も高齢化が進んでいるため、計器類の取り付け位置を低くしたり、開閉しやすいハンドルキーにするなど、保守点検に危険を伴わない設備とすることが求められる。

周辺環境に配慮されていること

キュービクルは無骨な鉄の箱であり、意匠性が高いものではない。多くの建築計画でキュービクルを目隠しの内側に配置し、その存在を隠そうとする。屋上に設置する場合、フレクサラムやフェンス、ルーバーなどで隠し、意匠性が阻害されないよう計画するのが基本である。

キュービクルは美観上だけでなく、騒音に対する対策も必要である。キュービクルに内蔵されている変圧器やコンデンサから、一定のうなり音と振動が発生する。マンションやホテルなど、深夜に人が就寝する用途の施設では、十分な防振性能を確保しなければ騒音クレームにつながるため注意を要する。

キュービクル内部に収容されている変圧器やコンデンサから発生する騒音もあるが、キュービクルに設けられている換気用ファンから発生する騒音は非常に大きく、ファンの取り付け位置は住宅やホテル、事務所等の窓に近づけないよう配慮する必要がある。変圧器の発熱は負荷に比例して大きくなり、発熱を排出するためにファンが運転する。

建設費・維持費が安価であること

多くの安全配慮や自動化が搭載されたキュービクルは、高コストになりがちである。高信頼性の設備を安価に製作できるよう、過剰な機能を削りVEを図るべきである。例えば、キュービクルの周辺を目隠しルーバーで覆っていれば、キュービクルを指定色とする必要性が少ない。管理室に設備員が常駐していないのに、全ての個別機器を警報盤に移報しても活用することができない。

施設規模や管理体制に応じて、過剰な計画を取りやめ、コストダウンを図ることも設計者に必要な技量の一つである。

環境融合色で塗装されたキュービクルの写真

PF・S方式とCB方式の違い

キュービクル方式による受変電設備には、遮断器を保護装置として受電する方式と、限流ヒューズを保護装置として受電する方式があり、規模によって使い分けられている。

遮断器はヒューズと違い、繰り返し何度も事故電流を遮断できる性能を持っているが、低圧と違い、高圧遮断器は遮断器本体のみでは動作せず、過電流継電器や地絡継電器などの外部信号を受けなければ、事故に対する保護ができない。

各種の保護継電器を含めたシーケンスの組み込みを必要とするため、キュービクル本体も大きく複雑になるため、300kVAを超える大規模な施設に用いられる。

ヒューズを用いた受電方式では、ヒューズ本体に流れる電流で事故遮断が可能なので、継電器を必要とせず簡易で確実な保護ができるが、ヒューズは一度遮断すると再利用できないため交換を要する。よって、小規模施設にのみの適用に限られている。

設備規模によって、遮断器を主体とした「CB形(サーキットブレーカ形)」と、ヒューズを主とした「PF・S形(パワーヒューズ・スイッチ形)」を使い分ける必要があり、300kVA以下のキュービクルであればPF・S形の採用がコスト面で良好であり、300kVAを超える場合はCB型を選定しなければならない。

PF・S形の特徴

PF・S形キュービクルは、負荷開閉器(LBS)と高圧ヒューズ(PF)で保護を行う構成の受変電設備である。受電設備容量に制限があり、最大300kVAまでの受電であれば、PF・S方式の採用が可能である。

300kVA未満の小規模な受変電設備であれば、PF・S方式による受電が認められるため、小規模需要の多くがPF・S方式となる。

PF・S形キュービクルは、真空遮断器(VCB)本体だけでなく、遮断器を動作させるための保護継電器もないため、CB型と比較して大幅なコストダウンが図ることができる。

CB型キュービクルは300kVAを超える受電設備の場合に採用されるが、配電盤の面数が増え、コストやスペースの面で不利となる。小規模な受変電設備であれば、コストや設置スペースの縮小を考えれば、PF・S方式を選定すると良い。

負荷開閉器は、負荷の流れている充電電路を切り離すことはできるが、短絡などの大電流を切り離す機能を持っていないため、事故電流はヒューズの溶断で対応する。地絡による事故を保護できないので、受電点に設けたPASやUGSのち楽継電器や、地絡方向継電器を組み合わせて保護するのが一般的である。

高圧ヒューズは使い捨ての設備なので、短絡事故などの大電流でヒューズが溶断した場合、新しいヒューズに交換しなければならない。

なおPF・S形キュービクルは、負荷設備に高圧電動機を設けている場合は採用できない。高圧電動機を含んだ受変電設備では、遮断器を搭載したCB形キュービクルを選定する。

CB形の特徴

CB形キュービクルは、真空遮断器(VCB)やガス遮断器(GCB)など、高圧遮断器を内蔵した受変電設備である。遮断器の種類はいくつかあるが、6,600V高圧受電であればほぼ真空遮断器が用いられる。

短絡事故による大電流は過電流継電器(OCR)によって検出する。遮断器は繰り返し遮断・投入が可能であり、限流ヒューズと違って繰り返し遮断できる。300kVAを超え、4,000kVAまでの受変電設備であれば、JIS基準に準拠したCB形キュービクルとなり、4,000kVAを超える場合はJIS規格外のCB形として分類される。

推奨キュービクルや告示適合キュービクルなど、JIS規格準拠のキュービクルを仕様として求められた場合、4,000kVAを超過するとJIS規格外となるため注意を要する。4,000kVAを超えないように、キュービクルの分割も検討すると良い。

個別の変圧器はヒューズで保護する

事故電流の全てを遮断器で保護するのがCB形ではなく、遮断器の二次側に設けられる変圧器は、負荷開閉器とヒューズを組み合わせて保護するのが一般的である。

遮断器の二次側には多数の変圧器が設けられるので、一次側に位置する遮断器が動作すると、複数の変圧器を巻き込んだ大規模停電となり被害が大きくなる。高圧ヒューズ付き負荷開閉器を変圧器ごとに設けて、停電範囲を限定するのが一般的な設計手法である。

変圧器が750kVAを超える大型の場合は、負荷開閉器とヒューズの組み合わせではなく、遮断器を用いることも検討する。

高圧饋電盤(高圧き電盤)

キュービクルに遮断器を搭載する場合、遮断器を収容している盤を「饋電盤(き電盤)」と呼ぶ。

「饋」という文字には「送る」という意味がある。高圧幹線を分岐して必要場所へ送電することを「送る」という文字に当てて作られた用語であり、遮断器を収容した盤を饋電盤としている。単に「高圧分岐盤」と記載する場合もある。

饋電盤には、遮断器を動作させるための過電流継電器や地絡継電器といった保護継電器のほか、電流計や力率計、電力量計などのメーターを設け、母線の保護や計測を行う事例もある。

高圧母線方式の種類と信頼性

受変電設備は、母線方式によって信頼性・コストが大きく変化する。最も単純な方式である「単一母線方式」で比較した場合、母船方式の種類としては「母線連絡遮断器なし」「母線連絡遮断器あり」「母線連絡遮断器2台あり」の3種類が代表的である。

変電所など、信頼性が重視される施設であれば「二重母線4遮断器(4ブスタイ)」と呼ばれる多重バックアップ体制が確保されている方式を採用しているが、一需要家にそのような冗長性を担保した設備は過剰であり、採用されることはない。安価で運用の容易な「単一母線方式」の採用が一般的である。

母線連絡遮断器なし方式

高圧発電機を設けない小規模な需要家で採用される方式である。母線区分の系統が存在しないため、事故時には全停電となる。メンテナンスで母線を点検する場合も、区分する系統がないため全停電で行う。

小規模な需要家では、発電機容量も最大500kVA以下程度であり、高圧発電機を選定するメリットがない。低圧系統に発電機を接続するのであれば、高圧系統で常用と非常用に分ける必要がなく、母線は単独で問題ない。

母線構成が非常にシンプルでわかりやすく、イニシャルコストは最も安価に構築できる。

母線連絡遮断器あり方式

高圧母線に連絡用遮断器を1台設けた構成である。高圧の非常用発電機を設けた場合に採用される方式で、商用電源利用の変圧器と、非常電源利用の変圧器の系統を分離できる。母線区分を行えるため、部分停電で点検ができる。

母線連絡遮断器本体を点検するためには、全停電にしなければならない。引出式の高圧遮断器を用いれば遮断器点検も可能である。引出式遮断器は、真空遮断器としての機能を持ちつつ、遮断器を引出すことで電路から分離できるので、断路器を開放したのと同じ状態を作れる。

構成は比較的シンプルであり、保守点検にも利点がある。イニシャルコストは、点検用の高圧遮断器が追加されるため高くなる。

母線連絡遮断器2台あり方式

母線連絡遮断器を2台設ける方式である。点検時には遮断器本体を片側ずつ遮断して、片側の系統を生かしたままに遮断器本体の点検が可能である。

停電範囲を限定しつつ全ての遮断器を点検できるため、保全上有利な方式であるが、母線連絡遮断器の数が増えるだけコストアップとなる。VCBは高価なため、片側の遮断器を断路器(DS)にすることでも代用可能であるが、断路器は負荷電流の遮断が不可能なので、負荷電流が流れた状態で断路器が開放されないよう遮断器とのインターロックを組み込み、負荷電流が流れている電路を開放しないように計画する。

母線連絡遮断器を引出式とすれば、遮断器を2台設けずに遮断器本体を点検できるため、より有利となる。

組立方式ごとの特徴

受変電設備の組立方式は、金属製の箱体を用いた「キュービクル」方式の他に「開放型の受変電設備(オープン式受変電設備)」や「閉鎖・開放併用の受変電設備(セミオープン式受変電設備)」がある。

開放型の受変電設備は、キュービクル方式と比較して設置面積が大きくなるため、工場などでなければあまり採用されることはない。屋内に構築するのが原則であり、建物内部の面積を専有してしまい、レンタブル比の観点からは不利である。

近年では、オープン式の受変電設備を施工できる電気技術者の減少もあり、採用されることはほとんどない。工場で一括製作できるキュービクル式の受変電設備の採用がほとんどである。

オープン式の受変電設備は、変圧器や幹線系統の増設や点検が容易であり、所定の安全設備を設ければ、充電状態のままでの点検も比較的容易で、高いメンテナンス性が確保できる。

建物の延床面積に余裕のある工場や物流施設、頻繁に受変電設備を増設または変更する用途の建築物であれば、オープン式の受変電設備を採用するメリットが期待できる。しかし、危険な充電部が数多く露出しているため、侵入防止措置や接触防止、安全対策に多くのコストを投入する必要があり、多くの安全対策が施されれば、メンテナンス製が犠牲である。

結局、保守点検時の危険性が大きくなるということにもなり、扱いにくい受変電設備ともいえる。

閉鎖型受変電設備の特徴

キュービクルは閉鎖型の受変電設備であり、低圧配電盤、遮断器、母線、変圧器、各種計器類の全部、または一部を金属製の箱内に収容した方式である。非常に普及率が高く、ほとんどの需要家でキュービクル式の受変電設備を採用している。

防水仕様のケーシングを採用すれば、屋外での設置にも耐えるため、建物の屋上に設置するなど計画の幅が広く、高い汎用性が確保できるのが利点である。

キュービクル方式の受変電設備は、接地された金属製の箱に収容されているため、電気事故時に感電の危険性が少ないという利点がある。内部機器は配置密度が高く、非常にコンパクトかつ小面積で製作できるので、設置を小さく抑えられる。

箱内に過密に機器類を収容していることにより、機器の増設や改造が難しいのが欠点である。キュービクル内部で事故が発生した場合、充電部に近接している継電器やメーター類に短絡アークが飛散し、事故が拡大するおそれがある。

キュービクル内に点検通路を設けられるが、内部は密閉空間であり、余裕あるメンテナンススペースを確保することは困難である。充電中に内部に入ることは非常に危険なため避けるべきである。

開放型受変電設備(オープン式受変電設備)の特徴

開放型受変電設備は「オープン変電所」とも呼ばれる。電気室内にフレームパイプを組み、変圧器、遮断器、継電器類を配置し、点検面と充電部をフェンスで区画するのが一般的である。ケーブルや電線は変電所上部に敷設するため、ケーブルラックを敷設したり、がいし引き、バスダクトなどを使用して接続する。

開放型の受変電設備は、設備の追加・変更に容易に対応できるため、工場など大幅な入れ替えや増移設が発生する用途の建物では、一般的な受変電設備の方式である。計測機器や配線が直接目視できるため、点検が容易であること、変圧器や遮断器サイズの大きな機器の更新が容易であることなど、増設や変更に対して柔軟性がある。

しかし、オープン変電所には下記のように、いくつかの欠点があるので、新規案件でオープン変電所を構築する事例はほとんどなく、キュービクル式の受変電設備が主流となる。

配置計画と安全対策

キュービクルは、奥行き・高さともに2.5mほどにもなる大型の鉄箱であり、その設置位置は建築計画に大きな影響を及ぼす。キュービクルを設置する場所については建築計画への影響が甚大であり、階高や有効高さ、梁の位置と高さ、扉寸法などを考慮し、搬入がスムーズに行えるように計画する。

「工事中には搬入据付が可能」であっても、施設の利用開始後にキュービクルの内部機器が交換できなかったというのは問題である。運用開始後のメンテナンスも含めて「いつでも交換ができる」計画が必須事項である。

キュービクル内には電力会社支給のVCTが取り付けられ、21年に1度交換が必要とされている。変圧器の交換と同様、容易に点検や交換が可能なよう、搬入や搬出のスペースを確保することが重要である。

原則として、キュービクルは毎日点検しなければならないものであり、垂直はしご(タラップ)による計画は避け、しっかりとした階段を設けると良い。

幹線計画における合理的な配置計画

キュービクルは建築物における電力拠点となる設備であり、建物へ供給する電力の起点となる。キュービクルの設置場所が、需要場所から離れてしまうと、幹線ボリュームが変動しコストに大きな影響を及ぼす。キュービクルを設置する場所は、需要場所を中心にして、できる限り隣接した位置とするか、大容量の負荷設備の近辺に設けることが望まれる。

幹線ケーブルは長ければ長いほどコストが架台になり、かつ電圧降下を引き起こすので、低圧ケーブルを長距離敷設するのは避けて配置計画を行う。電気設備における幹線はコストの大半を占める重要設備であり、ケーブルサイズが小さいほど、短いほど建設費を圧縮できる。

大きなケーブルを敷設することの多い「非常用発電機」「蓄電池」「空調室外機」の近くにキュービクルを配置できれば、幹線ケーブルのサイズを細く短くできるため、コストの大幅な圧縮が可能である。

計器類の設置高さと検針窓の取付

キュービクルの日常点検に、各種計器類の目視確認がある。電圧や電流、電力量計に表示されている数値を日々記録することで安全な運用が可能になるが、これは雨天時であっても行う必要があり、屋外設置のキュービクルの扉を不用意に開放して内部に雨が侵入すると、汚染による絶縁抵抗の劣化を引き起こす。

扉面に検針窓を設けることで、扉を開放せずに計器が読める。近年はひとつの計器で電圧・電流・電力量の指針が切り替えられるマルチメーターが主流であるが、扉を開けなければ切り替えができない。受電点など重要部分の計器は、アナログメーターとして全ての指針を同時に読むことを考えるのも良い。

計器の取付位置が高過ぎると、身長の低い設備管理者では、目視による視認が困難である。計器の取付高さは床面から1.5mを基本として、目視確認がしやすい高さとすべきである。

箱体の高さは2,300~2,350mmが一般的であるが、配線を下部から引き込む場合、基礎高さを加算するとキュービクルの合計高さが3m以上ともなり、床面からでは計器が読みづらくなることが考えられる。検針窓の高さが適正にならなければ、点検歩廊や架台を計画し、日常点検に支障がないように配慮しなければならない。

基礎高さと架台の計画

屋外に設置する場合、本体内部への水の侵入を避けるため、箱体下部からの入線である。キュービクルに直接電線管を差し込む方式もあるが、ケーブルラックを多数使用する露出配線方式の場合、基礎や架台が低すぎると入線できないため、最低でもH=600程度の基礎高さが必要である。

上部から入線できるのであれば、基礎高さは固定アンカーのみ込み分があれば良いので、H=200程度で問題ない。躯体となるスラブが損傷しないよう、アンカーの長さと基礎高さを整合させるよう計画する。

寒冷地や多雪地帯では、足元が雪に埋もれてしまう可能性があるので、架台高さを若干高くして、積雪時に埋もれてしまうことがないよう配慮する。

融雪のためのヒーティングを設置するのも一案であるが、イニシャルコスト、ランニングコストともに増大するので、キュービクルのための融雪設備が計画されることはほとんどない。

コンクリート基礎でかさ上げしたキュービクルの写真

安全維持に必要な照度と施錠

キュービクル内部には高圧の電圧が印加されているため、不用意に取り扱うのは大変危険である。電気管理者以外が容易に触れられる場所に設置することは避けなければならない。

キュービクルは危険部位が鉄箱に納められているとはいえ、給気口などがあるため完全に密閉されているわけではなく、いたずらなどをされた場合、感電事故や広範囲停電など、大きな事故につながる危険性がある。

専用キーによる施錠

キュービクルのハンドルキーは、タキゲンと呼ばれるメーカーのキーを設けるのが一般的である。カギの種別は、従来から「200番」と呼ばれるキーを選定するのが一般的である。タキゲンの200番は、国内に普及している盤のほとんどを開けられる汎用キーであり、電気工事業者の施工性・作業性が優先されて来た歴史があるが、全て同じキーを使うのは、セキュリティ性能の低下を引き起こす。

セキュリティ強度を高めたいという要望がクライアントから求められる昨今では、200番を使用せず、TAKシリーズ」と呼ばれる上位互換キーが用いられるようになった。TAKシリーズは、50、60、70、80の4種類を電気設備分野で用いる事が多く、数字ごとにセキュリティ強度が違う。TAK60は60通り、TAK70は1,000通り、TAK80は118,000通りの鍵番号が設定されている。

フェンス保護

キュービクル式の受変電設備は、点検部分が全て鉄製の箱に収容されているため、保護対策を含めてパッケージ化された設備である。充電部などが露出している変電所の「オープン式」設備であれば、フェンスや塀で侵入防止を図ることが法的に義務付けされるが、キュービクルの場合、接触防止のためのフェンス設置義務はない。

キュービクルのフェンス設置が義務付けされるのは、屋上など落下の危険性がある場所において、キュービクル点検中に屋上から落ちないよう、落下防止用のフェンスを設けることが記載されているが、これは「キュービクルに触れること」を防止しているわけではない。

高圧受電設備規程では「幼稚園」「学校」「スーパーマーケット」など、幼児が金属箱に触れる場所にキュービクルを設ける場合に、フェンス等で囲うことを記載しているが、推奨事項に留めており法的義務ではない。

キュービクル用のフェンスは、落下防止用であれば1.1m以上の高さで良いが、乗り越えを防止するのであれば1.8m以上の高さとすれば、安全性が高まる。

内部必要照度の確保

キュービクルを電気室内に設置する場合、労働安全衛生規則により、配電盤計器面で300ルクス以上、その他の部分で70ルクス以上の照度を確保しなければならない。キュービクルの内部に照明を設置し、扉を開けた際にスイッチがオンになり、照明が点灯するという方法が一般的である。

キュービクル内部に照明器具を設ければ、計器面の照度は十分である。キュービクル内部に照明を設ける場合、通電したままでもランプが交換できるよう、アクリル保護カバーの外側に照明器具を設けるのが基本である。照明器具から発する光が反射し、計器が読みにくくならないように配慮することも重要である。

屋内にキュービクルを設置する場合、内部だけなく前面廊下についても所定の照度確保を求められる。通路の照明計画にも注意を要する。

設置に関わる法的規制

キュービクルは、変電設備として消防法によって規制されている。受変電設備は近接建物から3m以上離隔しなけれはならないと定められているため、既存建物から3m以上の離隔が確保するよう建築計画を十分確認する。

隣地境界がある場合、どの位置に建築物か建てられるか不明であり、3m以上の離隔を確保すると良い。建築物の外壁からの離隔を3m以上確保できなければ、建築物側への延焼を防止するため、外壁を不燃材料し、かつ開口部を設けないことで対応できる。

もし十分な離隔が確保できず、不燃対応も困難であれば、告示適合キュービクルや消防認定キュービクルを選定し、仕様規定による離隔確保の免除を検討する。

告示適合品は支障ないが、消防認定品を採用すると、増改築などで電気容量が増加した場合であっても、改造をすると認定失効となるため注意を要する。

消防認定品であっても、送電効率が高いといった性能面での違いはない。一般品よりも汎用性が低いため、消防認定キュービクルの採用は、できるだけ避けるのが望まれる。

操作面・点検面に必要な離隔距離

受変電設備を安全に操作するための離隔距離が法的に定められている。遮断器や断路器が設けられている操作面は1.0m以上の作業スペースがなければならない。

操作がなく、点検のみが行われる面は0.6m以上のスペースが必要である。まったく点検しない面であれば0.2m以上の保守空間を確保し、清掃の保守が可能なよう計画する。

設置場所の環境や周囲離隔についても消防法によって細かく規定されているため、関係法規の見落としがないように計画する。消防法だけではなく、火災予防条例や労働基準法にもキュービクル関連の配置計画における規制がある。自治体例規や専門書を確認し、対応すべきである。

地方自治体の条例を確認したい場合、インターネット検索によって自治体ごとの例規集が確認できる。「○○市 例規」と入力すれば、自治体が公開している例規集を参照できる。火災予防条例なども確認でき、設計作業の効率が向上する。

火災予防条例による変電設備の規制

20kWを超える変電設備は、自治体がそれぞれ定める火災予防条例によって「変電設備」として各種規制があり、キュービクルを設置する際には、これらの条例に準拠しなければならない。

キュービクル設置場所の環境として、水が浸入、浸透するおそれのない措置を講じた位置に設けること、可燃性・腐食性蒸気やガスの発生する室や滞留する室に設けないことが定められている。

不燃材料で造った壁、柱、床、天井で区画され、窓や出入口に防火戸を設けた室内に設けることが原則である。この区画をダクトや電線管、ケーブルが貫通する場合、貫通部分に不燃材料を充填し、延焼防止を図ることも明記されている。

その他、屋外に通じる換気設備を設置すること、変電設備であることを表示すること、係員以外の者を立ち入らせないこと、定格電流以内で使用することなどが定められている。変電設備である表示は、表示方法(白地に黒、寸法など)が自治体によって各種決められているため、所轄消防に確認を取る必要がある。

寿命と耐用年数

キュービクルは電気設備の一つであり、耐用年数や寿命を考慮した管理が必要である。屋外設置と屋内設置で大きく寿命が変動し、電流の流し方、使い方によっても大きく変動する。

税法上の償却資産の耐用年数として、キュービクルの耐用年数は15年と定められているが、実際に運用するキュービクルについては、メンテナンスを十分に実施していれば、15年を超えても問題なく稼働できる。

キュービクルの外箱は単なる鋼板である。清浄な屋内環境で、再塗装、補修、清掃をしっかりと行っており、劣化が進んでいる内部機器の一部交換などを続ければ、30年という長い期間であっても使用できる。しかし、屋外設置の場合は雨、潮風、酸化ガスの影響を受けるため、外箱や内部機器に対し、数年で錆が発生するおそれがある。

頻繁なメンテナンスを実施しても、20年も経過すれば、外箱が全体的に腐食し、内部機器にも深刻な腐食が発生する。もし定期的な保守が行われないようであれば、キュービクル本体の交換といったことも検討しなければならない。

内部に収容されている高圧機器については、外箱とは別に、個別管理を行う。負荷開閉器、遮断器は、短絡電流など事故電流を経験していなければ、15年~20年は問題なく使用でき、実際に30年近く運用し続けている高圧機器もある。しかし、大きな負荷電流を繰り返し開閉していたり、事故電流の遮断などを経験している遮断器は、短期間での故障が見られる。

長期間使用した高圧機器は、交換部品が手に入りにくくなる。交換部品が手配できない機器が故障すると、新規品への交換に時間を要し、事故の復旧がなかなかできず、長期間の停電のおそれがある。交換部品の手配が困難になった機器は、すぐに新品に交換するよう計画すべきである。

事故の前兆を早期発見し交換する

定期点検で、異常な絶縁低下や、異音異臭・焦げ跡の発生が確認された場合は、運用年数にかかわらずすぐに交換すべきである。不良が発生している開閉器、遮断器を使用していると、負荷開閉時や遮断時にアークを消弧できず、短絡事故などが発生する。

電気事故により波及事故を起こした場合、経済産業省への電気事故報告の義務があり「なぜ事故が起きたのか」の詳細を報告しなければならない。絶縁低下を引き起こしている機器を放置していたことがわかれば、電気主任技術者は法的責任を問われる。

高圧ケーブルや母線は、屋内であれば30年~40年程度、屋外であれば20年~30年で使用限界となり、交換が必要である。ケーブルや母線は、目視で異常を発見することが困難であり、絶縁抵抗、絶縁耐力の試験を定期的に行い、事故の前兆が発見された場合は早期に交換するよう手配すべきである。

塗装と耐候性

キュービクルの外箱は一般的な屋外だけでなく、塩害のおそれがある海岸部、寒冷地などでも設置ができるように、数多くの塗装仕様がある。キュービクルを設置する環境に合わせて、仕様を決める必要がある。

海岸部など塩分による汚損被害が想定される場所に、一般屋外用キュービクルを納入すると、数年で外箱が腐食し、内部まで浸食が進行する。事故を防ぐため、耐候性のある塗料で板金の全面塗装を行う。現地で塗装することができず、現地搬入すると、細部のタッチアップ程度しか対応できないため、計画時から、外箱の塗装仕様についても十分な検討が必要である。

キュービクル内の遮断器の組み換えは、改造コストを度外視すれば現地対応も可能であるが、全面塗装のやりなおしは不可能である。膜圧が全体的に薄かったり、塗装仕様が違っていたりすれば、工場に持ち帰って再塗装するしかない。工程の延長や余計なコスト発生の原因になるため、設計者や施工者が工場検査に出向き、塗装仕様を十分確認することが望まれる。

塗装色についても、意匠性を考慮した計画が求められる。電気室内の専用室であれば、2.5Y9/1(ベージュ)、または5Y7/1(グレー)といった標準色の採用が良いが、見え掛かりとなるような場所では、標準色以外の塗装色を求められる場合がある。

塗装のツヤ指定

塗装色だけでなく、ツヤについても指定が必要である。ツヤは通常「全艶」「艶なし」「半艶」から選択する。「全艶」は汚れに強く、雨水によって表面の汚れが良く落ちるという利点があるが、光の反射が強いため眩しさを感じたり、目立ってしまうおそれがある。

「艶なし」は、まったくツヤがない仕様である。汚れに弱く、屋内で使用するのが前提である。ロッカーやキャビネット棚と似たツヤなので、見え掛かりに分電盤を設ける場合に適している。

「半艶」は、全艶と艶なしの中間であり、屋外・屋内のどちらでも適用可能である。これらツヤを指定する際、電気設備のみで決定せず、機械設備や建築と調整し、隣接する盤類と色合わせをしなければならない。ベージュやグレーといった「色だけ」を合わせてしまい、列盤のツヤが違うという不具合につながるので、綿密な打ち合わせが必要である。

塩害対策を考慮した塗装

キュービクル本体の塗装を強化するのは、塩害など外部からの腐食に対する耐候性を高めるが理由のひとつである。溶融亜鉛めっきを施した外板を使うことも耐候性を高めるに有効であるが、さらに表面を塗装することで、高い耐久性を維持しつつも、美しい外観が維持可能である。

屋内であれば30μm以上、屋外では40μm以上の塗装膜圧を確保し、塩害地域ではより塗装膜圧を厚くする方法や、ベースとなる鋼板の仕様を変えて耐候性を高める。

高い耐久性を求められる地域では、ベース鋼板に亜鉛溶射を施し、かつその上面に60~80μm以上の塗装を行う手法が採用される。

キュービクルの耐久性を高めるための塗装であるが「この方法であれば錆びない」「この方法であれば何年間は保証できる」といったことはなく、塩害がどれだけ発生するか、どれだけ汚れやすい地域か、傷や腐食を発見した場合に早期補修が可能か、といった多くの要素を理由に、寿命や耐用年数が大きく異なる。

日常的に塩分にさらされる場所では、表面の拭き取り清掃などを行い、かつ補修をこまめに行える環境であれば、より長期に渡って塗装性能を維持可能である。

結露対策

キュービクルの内部には発熱を伴う電気機器が多く収容されており、温度変化によって結露が発生する。外気温度が急低下することで盤の内面が結露したり、湿度の高い外気が盤内部に侵入し、機器表面に結露が発生するおそれがある。

寒冷地では、積雪時の天井面内部結露が懸念される。屋根面に積雪があると、天井面から内部までが冷やされ、内部は変圧器やヒーターなどで暖められているため、温度差によって天井面が結露する。

寒冷地仕様では、天井材に断熱材を充填するなど、結露対策を検討すべきである。電気機器の結露は腐食の原因となり、絶縁性能が低下し、絶縁破壊や漏電事故につながる。結露による電気事故を防止するため、結露対策の有無についても設計段階で検討すると良い。

スペースヒーターによる結露対策の事例

盤内にスペースヒーターを設置し、盤内温度を高めて結露を防止する方法である。盤内温度を高めることで飽和水蒸気量の低下を防止し、盤内結露を防ぐ。外気の湿度が100%の状態で、盤内湿度を結露防止が可能な85%に抑えるためには、概ね5℃程度の温度上昇を見込むと良い。

除湿装置を盤内に設置したり、乾燥剤を盤内に収容する方法がある。乾燥剤を使用する方法の場合、定期的な乾燥剤の交換が必要となるため、大きなコストと労務が発生する。乾燥剤を利用するのはキュービクル運搬時の結露防止などはあっても、運用中に継続的に乾燥剤を投入するのは現実的ではない。

強風による雨水侵入対策

分電盤やキュービクルは、内部収容機器の発熱を効率よく放出させるため、通気口を設けて放熱を促する。

通気口は一般的に下向きに設置されるので、無風状態では雨水が侵入することはない。しかし、風が強い場合、空気の流通とともに雨水の侵入を許する。台風など風が強い際には、大量の雨水が盤内部に侵入するおそれがある。

雨水が盤内部に侵入して電気機器が汚染すると、本来絶縁体である保護材などが絶縁劣化を引き起こし、内部漏電による地絡につながる。条件が悪ければ、短絡事故を引き起こす原因となる。

盤内部への雨水侵入を防止するには、通気口に水平仕切板を内蔵して雨水侵入を防ぐか、折返し付き仕切板を設けて雨水侵入対策を実施する。

通気口には一般的にフィルターが設置されるが、異物侵入防止に役立つとしても、雨水の侵入を防ぐことはできない。通気口に吹上げ防止ポケットを構成し、吹上げた雨水が直接フィルターに当たらないような措置を行う。

風の流通するルートを狭くすることは、静圧の増大に繋がり、換気量が低下するため機器発熱の除去が困難になってしまう。発熱が多い機器を盤内に収容する場合、屋外に設置せず、屋内設置とすることも計画の中で考慮すると良い。

基礎・架台からの雨水侵入対策

分電盤やキュービクルは、下部にコンクリート基礎やチャンネルベース架台を設け、その上部に盤類を設置する。

チャンネルベースに吸気口を設けた場合、吸気口から雨水が侵入し、枠内部に水が溜まる。チャンネルベース枠内に水が滞留すると、蒸発した水分によって盤内部の湿度が上昇する。湿度が上がると結露の発生原因となり、水滴が付着した電気機器は絶縁性能が低下する。

チャンネルベース内部の水滞留を防ぐには、ベースになるコンクリート基礎に傾斜をつけて滞留した水を排出する方法や、ベース基礎に溝を切って排出する方法がある。

屋外盤の下部をゲタ基礎とした場合は、ゲタの内側に勾配を付けることにより、ゲタ基礎内部に水が滞留しないよう対策する。ゲタ基礎両端を塞ぐことで、風による雨水の吹き上げを防止すべきである。

耐震補強

キュービクルの耐震対策には「機器を振動させないこと」「機器が振動しても破損しないこと」「機器が振動することを前提にした補強」という3つの要素がある。

振動させない方策は、躯体への強固な固定のほか、振動を吸収する防振装置など、多くの手法がある。振動の発生を許容し、揺れても問題がないように建物側で対策するのも、防振対策のひとつである。

効果的かつコストが大きくならない手法を検討し、合理的な提案を行なうのが重要である。

機器を振動させない対策

機器を振動させないためには、本体をアンカーボルトによって固定し、剛構造とするのが有効である。アンカーボルトでベース架台を固定し、かつ接続する配管や配線に振れ止めを行う。振れ止めはXY方向に入れることで全方向からの揺れに対応できるが、布袋方法によってはまったく効かないことがあるので、振れ止めの方向のほか、実際に手で揺らして確認するのも効果的である。

建築物の上部に設置するほど、揺れが共振によって大きくなるため、振動の周波数が小さくなる地上階や中間階にキュービクルを配置することで、揺れの影響を小さく抑えられる。建築計画上屋上に設置されることが多いため、必ずしも採用できる手法ではない。

アンカーボルトで機器を固定する場合、アンカーボルト強度を計算し、想定する地震力でアンカーボルトが破損しないことを検証しなければならない。

機器が振動しても破損しない対策

機器が振動しても破損しない対策として「機器部材の強度を高めるため支持点を増やす」「駆動部を持つ機器を減らす」「造営材の強度を高める」という手法がある。

過電流継電器や電力量計は、誘導型とすると回転駆動部が地震によって損傷し、誤動作するおそれがある。電子部品を用いた静止型を採用すれば、振動に対しての誤動作を防止できる。誘導型の計測機器は総じて振動に弱く、過電流継電器では遮断器の誤作動を引き起こし、電力量計では計測不良といった問題を引き起こす。

機器が振動することを前提とした対策

機器が振動することを前提条件とし、揺れを吸収する対策が考えられる。接続配管にフレキシブル継手を採用して振動吸収したり、防振ゴムや防振架台で振動を食い止めることも可能である。どちらの場合で、アンカーボルトでコンクリートに強固に固定し、地震力が集中しても破損しないことが前提である。

キュービクル本体に対しては、下記のような対策を講じることで、地震に対して強くなる。

受変電設備だけでなく、電力会社からの引込ケーブルも損傷しないよう対策が必要である。

風圧対策

キュービクルや分電盤は屋外に設置することが多く、地震だけでなく、突風や強風による衝撃にも晒される。風を長期に渡って受けると、電気機器を固定するねじに緩みが発生し脱落のおそれがあり危険である。風圧による不測の張力の発生により、接続部や内部電線に負担が掛かり、電線の抜けや被覆損傷が発生するおそれがあるため、風に対する対策も重要である。

電線の抜けや被覆損傷を放置すると、機器内部で露出した電線と機器が接触し、地絡事故となる。風によってキュービクルや分電盤に飛来物が接触したり、露出しているケーブルが飛来物によって切断されるなどすれば、これも電気事故につながる。

強風時に点検・操作しない

原則として、台風の強風時は、分電盤やキュービクルを操作してはならない。盤の扉を開けると、風にあおられて扉の丁番やストッパーが破損する。風が強い際に扉を開けることが必須条件の場合は、扉の強度を計算し、風を受けても破損しないよう厚い鋼板を使用する、観音開きとして扉面積を小さくする、ストッパーを強固な材料にするといった対策が必要である。

風圧力の計算方法

扉を開いた盤類の強度計算をする場合、扉のストッパーに受ける「せん断応力」と「水平曲げ応力」が、盤を構成する鋼材の許容応力を満足するかを確認する。

日本建築学会の基準によれば、鋼材のせん断応力は13.5 × 10^7 [N/㎡]、曲げ応力は24 × 10^7 [N/㎡]となる。

風が盤の扉に当たった場合、 P = 1 / 2 ρV^2Cp の風圧力が発生する。ρ : 空気密度(1.25)、V : 空気の速度m/s、Cp : 抗力計数(2)である。

扉に掛かる風圧力は、風向きに対して直角となった瞬間が最大である。扉に掛かる力は FA = P × A1 である。P : 風圧力、A1 : 扉の受圧面積 ㎡ として計算を行う。

扉ストッパーのせん断応力は FA / A [N/m㎡] で示される。FA : 扉に掛かる風圧力[N/㎡]、A : 扉ストッパーの断面積㎡ である。この数値が 13.5 × 10^7 [N/㎡] 以下になることを確認する。

扉ストッパーの水平曲げ応力を確認し、鋼材が破損しないように設計を行う。この他、扉本体の強度、ヒンジ強度などを確認し、風圧発生時に扉が破損しないような計画を行わなければならない。

キュービクルや分電盤を製作するメーカーに対しては、所定の風圧条件を元に、扉強度やヒンジ・ストッパーの強度を算出してもらい、安全であることを確認する。

台風時の風圧力対策

台風時は、風速20m/s以上の強風が発生し、飛来物が屋外電気設備に接触することで破損する事例が多く、樹木の倒壊による破損の事例もある。電気設備の支持が弱ければ、風圧力によって支持材が外れたり、破損してしまうことも考えられる。

台風時の強風対策としては、屋外電気設備周辺の飛散物除去、電線類の地中化、電気設備の支持固定増強、防風壁・防風網の設置などが考えられる。

冷却方式と換気計算

キュービクル内には変圧器、進相コンデンサ、場合によって蓄電池設備などが配置され、これらの機器は電圧の変換や充電による損失で、常時発熱している。電気室内の温度を40℃以下に抑え、さらに十分な換気や冷房を行うことで電気機器の効率を高め、寿命を最大限に維持できる。

内部に設置される電気機器の発熱量を計算する場合「変圧器」「コンデンサ」「蓄電池」の3つの熱量を合算する。変圧器は最も発熱量が大きく、冷房負荷が大きくなる傾向にある。

屋外設置する場合は、キュービクル内部の熱量を算出し、冷却のための冷房能力や換気計算を行う。電気室内にキュービクルを設置する場合は、キュービクル内部の計算と、電気室全体の冷却計算を行う。

発熱源のワット数が判明すれば冷却計算が可能である。盤本体からの放射熱量や開口寸法など、製作する盤メーカーでなければ正確な数値が出ないこともあるため、製作メーカーに冷却計算を依頼するのも良い。

変圧器の発熱量

変圧器の発熱量はメーカーカタログを参照し、効率を変圧器容量で計算して熱量を算出する。単相500kVAの変圧器で効率が98%の場合、2%の10kVAが熱として発生する。

変圧器の熱量計算は原則として全負荷によるが、全負荷になることがあり得ない場合は、実負荷で計算する。300kVAの変圧器を設置した場合でも、実負荷は200kVAしかなく、今後増量することがないとわかっていれば、実負荷で計算しても支障はない。もし負荷増設が発生した場合は、冷却措置を追加しなければならない。

進相コンデンサ・蓄電池の発熱量

進相コンデンサは蓄電時のロスがあるため、本体から発熱している。メーカーへの問い合わせやカタログ値から、発熱量をチェックする。

蓄電池もコンデンサ同様、蓄電時のロスが熱として放出されるため、発熱量に合算する。進相コンデンサ同様に、メーカーやカタログ値から数値を抽出し、合算する。

キュービクル内で発生する熱量がわかれば、次は冷却方法を選定する。冷却方式には大きく「換気方式」「冷房方式」の二種類がある。

換気方式による冷却

大風量ファンで電気室内やキュービクル内部を強制換気し、外気温と同等の温度まで冷却する方法である。コストは安価であるが、夏季は冷却のための温度差を確保しづらく、換気風量が膨大になる可能性がある。基準温度は40℃として計算するので、外気温が40℃に近ければ年どれだけ多くの外気を取り入れても冷却効果はない。

風力が大きければ、ファン、ガラリなど付帯設備も全て大きくなる。ファンの騒音対策やガラリ等の建築対応はもちろんのこと、雨水侵入対策によるコストも発生するので、コストアップにつながる。ファンによる換気量算出は、下記計算式で行う。

変圧器の発熱量が20kW、外気温度30℃を最大とした場合、20000 / 0.33 ( 40 - 30 ) = 6061[m3/h] が、外気温30℃時における冷却に必要な換気風量である。

エアコン冷房による冷却

電気室にキュービクルを設置している場合、電気室内をエアコンで冷却する方式が有効である。外気温に影響されず効率良く、冷却できる。変圧器や蓄電池、進相コンデンサなどから発生する熱量を冷房に必要な負荷として、それ以上の能力を持つ空調機を設置する。

冷房による冷却では、エアコン室内機からのドレン水の処理方法が重要である。電気室内にドレン水の流れる配管を敷設するため、配管ルートは電気機器の上部を通さないようにルート設計する。もし配管ルートが電気機器の上部になる場合、漏水検知装置付きのドレンパンを設ける。

ドレンパンが埃や汚れで詰まったり、漏水検知装置の故障のおそれがあるため、ドレンパンによる防水は完全ではない。電気機器の上部に水配管をそもそも通さないことが望まれる。

冷房方式と換気方式とを比較すると、冷房方式の方がコストアップ傾向である。能力的な観点から見れば、冷房方式による冷却が確実である。

騒音による振動対策

キュービクルから発生騒音は、変圧器本体やコンデンサ、リアクトルへの通電時に発生する「うなり音」が主体となる。遮断器やマグネットコンタクターの操作音なども騒音源のひとつであるが、これは頻繁に発生するものではない。キュービクルの騒音対策では、変圧器から発生する騒音に対して重点的に対策する。

500kVA程度の変圧器から、約40~45dB程度の騒音が常時発生し、かつ負荷電流が大きいほど大きな騒音源となる。空気伝搬による騒音は、変圧器の外側を覆っている鉄箱によって減衰するので、直接聞こえる騒音はあまり問題にならない。騒音が気になる環境であれば、キュービクル外部をコンクリート壁で囲い、グラスウールを貼り付けることで高い遮音性を得られる。

マンションやホテルなど、夜間・深夜に就寝を伴う建物用途では、変圧器の振動による躯体伝搬音が、大きなクレームにつながる。

躯体伝搬における振動対策

変圧器やコンデンサ、リアクトルは、電磁力によって振動を発生させ、構造体を伝わって振動を与える。空気伝搬による騒音対策よりも、振動による躯体伝搬の騒音への対策が重要である。

変圧器本体の振動を躯体に伝えないよう、防振ゴムや防振スプリング防振架台を変圧器下部に挟み込むのが有効である。コンクリート躯体を浮床構造として、建物本体と完全に縁切りするという手法もある。

変圧器の下部に防振ゴムを挟み込み、躯体への振動を遮断する方式が一般的であるが、より高い防振性能が必要であれば、スプリング付きの防振装置を変圧器下部に設けると効果的である。スプリング付きの防振装置は大変高価であり、コスト面での負担が大きくなる。

かつ、変圧器下部に200mm程度の防振装置が挿入されるため、キュービクルの高さ寸法が大きくなるという欠点がある。

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