電気設備の知識と技術 > 電気設備用語辞典 > 焼付塗装
メラミン樹脂やアクリル樹脂などを塗装対象の表面に塗装後、焼付用の炉内で塗料種別に応じて120~200℃といった高温で加熱し、塗膜を硬化させる塗装手法のひとつ。主に金属を対象とした塗装工程であり、鉄鋼やアルミのほか、ステンレスにも塗装可能である。
主に金属への塗装方法として普及しており、各種工業製品に利用されている。硬度のある塗装膜を構成するため、電気設備分野ではケーブルラックや分電盤の表面塗装に広く普及している。色や艶の指定が可能で、分電盤では「2.5Y9/1(ベージュ色)」や「5Y7/1(グレー色)」が標準化されている。
屋内用ケーブルラックの焼付塗装としてはメラミン樹脂によるものが多く、耐候性や摩耗性は平均的な性能を示す。
耐候性が求められる屋外用の照明器具には、メラミン樹脂よりも耐候性が高いアクリル樹脂による焼付塗装が多く利用されている。アクリル樹脂塗装はメラミン樹脂塗装よりも高い温度で長時間の焼付が必要のためコストが比較的高い。
長期間に渡って高い耐久性と色彩・ツヤなどを維持したい場合は、フッ素樹脂による焼付塗装が使用される。建物の外壁パネルなど、長期間に渡ってメンテナンスコストを抑えたい場合に採用される塗装手法だが、塗装コストはメラミンやアクリルに比べて非常に高く、電気設備用の塗装としては一般的ではない。
建築分野では、塗装後の表面膜圧によって性能を確認する。分電盤や配電盤では、屋内では40μm、屋外では60μm、塩害地域の屋外では80μm程度の表面膜圧が確保されていれば、平均以上の性能があると判断するのが一般的。さらに「指定した色と艶に仕上がっているか」を確認する。
色の指定をする場合、日塗工の色番号やマンセル値を直接指定するのが一般的だが、デザイン分野では「ベンジャミンムーア」と呼ばれる国外企業の塗装色番号を指定することもある。
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