ワイヤプロテクタ
電話線やLANケーブルを床上配線する際に使用する保護カバー。オフィス、家庭、工場、イベント会場など、さまざまな場面で露出したケーブルを保護し、安全な環境を維持するために用いられる。ワイヤプロテクタはモールとも呼ばれ、弱電線だけでなくコンセント用のケーブル保護カバーとしても使用できる。「ワイプロ」という名称で呼ばれることも多い。
床に露出したケーブルは、人や台車の歩行を妨げ、つまずきや転倒といった事故の原因となる。特にオフィスや商業施設では、従業員や来客の安全を目的として、ケーブルの存在を目立たなくし、かつ移動の妨げにならないように保護することが重要である。
物理的な衝撃や圧力からケーブル内部の導線を守り、通信障害や漏電といったトラブルを防ぐ。特に重い台車や車両が通過する環境では、敷設されているケーブルが潰れてしまうおそれが非常に高いため、適切に保護しなければならない。
多くの製品は、本体裏面に強力な両面テープがあらかじめ貼付されており、特別な工具を用いることなく床面や壁面に固定できる。テープでは経年劣化で剥がれてしまうおそれがあるため、テープだけでなくビスを打ち込んで固定することも可能で、カッターやハサミで容易に切断できるため、現場での寸法調整も簡単に行える。
金属製のワイヤプロテクタは「金属線ぴ工事」となるため、電気工事士が工事をしなければならないといった規制があるが、合成樹脂製のワイプロは内線規程に記載されていないため、ワイヤプロテクタでは絶縁電線を収容することはできない。電線管や金属線ぴであれば絶縁電線を収容できるが、規定外の場合はケーブル工事とし、それを保護するような用途で使用する必要がある。
樹脂製のワイヤプロテクタは、サイズに応じてカットが容易のため、モールカッターや糸ノコによる切断で長さ調整できるため、短い敷設距離や、複雑な敷設にも容易に対応できる。代表的な製品として、マサル工業の「ワイヤプロテクタS型」や「N型」などが市場で広く普及している。色もグレー、ホワイト、ミルキーホワイトなど、床材や壁の色に合わせて選べるラインナップが揃っているため、壁紙や床材の色合いに合わせた選定が可能となっている。
天井裏から配線を落とすコーナー部材や、90度曲げる曲がり部材、入隅と出隅の部材など、露出工事を行うための部材が揃っている。金属線ぴ工事の詳細についてはレースウェイ・メタルモールを参照。












