ワードレオナード制御
M-Gセットによる電圧制御システム
ワードレオナード制御は、直流電動機の速度制御方式の一つである。主動力となる直流電動機に対し、専用の直流発電機を直結し、その発電電圧を界磁調整によって連続的に変化させることで、広範囲かつ高精度な速度制御を実現するシステムである。
基本構成として、まず三相誘導電動機で直流発電機を定速回転させる。この発電機の界磁電流を調整して出力電圧を変え、それを主電動機の電機子に供給する。これにより、始動トルクが大きく、極低速から全速までスムーズな加速が可能であり、回生ブレーキも容易に行えるという優れた制御特性を持つ。
回転機主体の構成と「静止型」への進化
この方式は、パワーエレクトロニクスが発展する以前の1970年代頃までは、エレベーター、クレーン、製鉄所の圧延機など、急激な加減速や精密な位置決めが求められる動力設備において、高性能制御の代名詞として普及していた。
しかし、制御対象のモーターに加え、同等容量の「駆動用モーター」と「発電機」という計3台の回転機(M-Gセット)を設置する必要があるため、設備が巨大化し、騒音や振動、ブラシ交換などの保守コストが極めて大きいという欠点があった。
その後、回転機である発電機の機能を、サイリスタ(SCR)などの電力用半導体素子に置き換えて交流を直接直流に変換する技術が確立された。これを「静止レオナード方式」(サイリスタレオナード)と呼び、可動部分を排除したことで、メンテナンス性の向上と設備の小型化が図られた。
VVVFインバータ制御への移行
かつては「直流機でなければ精密な速度制御はできない」とされていたが、現在ではパワーエレクトロニクスとマイクロプロセッサの進化により、メンテナンスフリーな交流電動機(かご形誘導電動機)を用いた可変電圧可変周波数制御(VVVF)が主流となっている。
ベクトル制御技術を搭載したインバータ装置は、ワードレオナード方式と同等以上のトルク特性と応答性を持ちながら、圧倒的な省エネルギー性と小型化を実現しているため、新規設備でワードレオナード方式が採用されることはなくなり、既存設備の更新(リプレース)が進められている。
電動機の種類や特徴、保護方式については電動機の種類と保護方法を参照。












