渦(うず)電流
渦電流の発生メカニズムとジュール熱
渦電流(Eddy Current)とは、アルミニウムや鉄などの導体内部で磁束密度が変化した際、ファラデーの電磁誘導の法則およびレンツの法則に基づき、その磁束の変化を妨げる方向に発生する渦状の誘導電流である。
導体に渦電流が流れると、その導体が持つ電気抵抗によって「ジュール熱」が発生する。これはIHクッキングヒーターの加熱原理と同じ現象であり、電気機器においては「渦電流損」としてエネルギー損失となるほか、意図しない発熱による絶縁被覆の劣化や、火災事故を引き起こす要因となる。
金属管工事における電磁的不平衡と加熱
交流回路の配線を金属製の電線管に収容する場合、電気設備の技術基準において、電磁平衡を図るため「1回路の電線全てを同一の管に収容すること」が規定されている。
三相3線式回路において、R相・S相・T相の電流のベクトル和はゼロとなるため、3本をまとめて1つの金属管に通せば、各相から発生する磁束は互いに打ち消し合い、管壁に発熱を伴う磁束は鎖交しない。しかし、各相を別々の金属管に1本ずつ収容してしまうと、磁束が打ち消されず、鉄管が交番磁束の通路となって強力な渦電流が発生する。これにより、金属管自体が数百℃に及ぶ異常発熱を起こし、内部のケーブル被覆を溶融・焼損させるおそれがある。
大電流単心ケーブルの敷設と非磁性体の選定
変圧器の二次側や幹線盤の周囲など、数千アンペアの大電流が流れる箇所では、施工性や許容電流の観点から「単心CVケーブル」を使用するケースが多い。
このような大電流単心ケーブルを、それぞれ別の保護管に収める場合、前述の渦電流による発熱を防ぐため、鉄管の使用は避けなければならない。対策として、硬質塩化ビニル管(VE管)などの樹脂管や、非磁性タイプの電線管を選定する。また、ケーブルラック配線において、単心ケーブルをサドル固定する場合も、鉄製のサドルでケーブル全周を囲うと「1ターン短絡」のループ状態となり発熱するため、非磁性体のサドルを使用するか、磁路を遮断する構造のものを採用することが望ましい。












