電気設備の知識と技術 サイトロゴ

🏠 電気設備の知識と技術 > 電気設備用語辞典 > ウォールウォッシャー

ウォールウォッシャー

鉛直面照度による空間の明るさ感

ウォールウォッシャーは、壁面全体を均一に照射し、垂直方向の明るさ(鉛直面照度)を高める照明手法である。人間の視覚は、床面の明るさよりも、視野に入りやすい壁面の明るさを「空間の明るさ」として認識する傾向があるという、照明における「物理的な光の強さ(輝度・照度)」と「人間が感じる明るさ(感覚量)」の関係(ウェーバー・フェヒナーの法則)を利用している。そのため、床面照度を抑えても壁面を明るくすることで、省エネルギーでありながら開放的で広い空間という印象を与えることができる。

エントランスホールやロビーなど、質の高い空間演出が求められる場所で多用される。壁面の仕上げ素材や色を際立たせたり、空間の重心を壁側へ誘導したりすることで、落ち着きや高級感を演出する効果がある。

器具配置と離隔距離の目安

均一なウォールウォッシュ効果を得るためには、光源と壁面との距離(オフセット)および器具間の配置ピッチが重要となる。一般的なダウンライト形状のウォールウォッシャー器具を用いる場合、壁面から900mm程度離し、器具間隔も同様に900mmから1,200mmピッチ(壁面距離に対して1:1から1:1.2程度)で配置するのが基本となる。

壁に近すぎると上部だけが強く照らされ、下部まで光が届かない。逆に遠すぎると、床面に光が落ちてしまい、壁面を照らす効率が低下する。天井高さや器具の配光特性(広角・中角)に合わせて、適切な離隔距離を計算や照度分布図で確認する必要がある。

床に埋め込んだ照明器具によるウォールウォッシャーライトアップ

スカラップとグレアの制御

ウォールウォッシャーの失敗例として最も多いのが、壁面に「スカラップ」が発生することである。意図的に光の輪郭を見せる演出もあるが、均一な明るさを求めるウォールウォッシャーにおいては、スカラップは「ムラ」であり、施工精度が低いと思われるおそれがある。

特にユニバーサルダウンライトを無理な角度で壁に向けたり、配置ピッチが広すぎたりすると、光の重なりが失われて不規則なスカラップが目立つ。また、反射板の設計が不十分な器具では、居住者や歩行者の目に直接光源が入る「グレア(まぶしさ)」を引き起こすため、遮光角の深いグレアレス器具や、壁側のみに光が出る偏光タイプの器具を選定すると良い。

展示物や凹凸壁面への照射

壁面に絵画や掲示物を展示する場合、ウォールウォッシャーの光が額縁の上部に当たると、下部に強い影が落ち、作品が見えにくくなることがある。この場合、より壁面から離れた位置から照射するか、あるいはピクチャーライトのような局所照明を検討する。

また、タイルや石張りなど凹凸の激しい壁面に対して、壁際から鋭角に光を当てる手法を行うと、影が強調されすぎて素材感がきつく見える場合がある。ウォールウォッシャーはあくまで「面を明るくする」手法であり、素材の陰影を強調する手法とは区別して計画する必要がある。

アッパーライトによる演出

天井からの照射だけでなく、床面に埋め込んだアッパーライトによって下から壁を照らす手法もある。柱や壁の立ち上がりを強調できるが、器具のガラス面温度上昇による火傷リスクや、歩行者の視線に光源が入るグレアのリスクが高い。

また、床埋込器具は清掃時に水や洗剤が浸入しやすく、漏電や内部結露による不点灯トラブルが多発するおそれがある。防水性能(IP67以上)の確保や、ガラス面の定期的な清掃管理が運用上の課題となる。雨が直接当たる場所に設置すると、防水器具であっても内部浸水のおそれが飛躍的に高まるため、軒下に限って設置するなど、浸水リスクを低く抑える設計も検討すべきである。

関連ページ

執務空間に最適なアンビエント照明設計:調光機能やセンサー活用による効率化

間接照明デザインとテクニック | コーブ照明・コーニス照明の特徴

均斉度を高める照明設計のポイント|目の疲れを防ぎ作業性を向上

投光器とは?種類・用途・LED化のメリットまでわかりやすく解説

エアコン室外機
電気の仕組み、発電所から家庭に送られる電気の流れ、直流と交流の違いなどを紹介。
風力発電
新エネルギーとして代表的な太陽光発電、風力発電、燃料電池や、排熱再利用など。
ライティングレールに取り付けられたスポットライト
照明設計の基礎知識、実務における応用、電球の特徴と選定方法などの照明設計。
分電盤の測定写真
電気計算の基礎となる幹線設計やケーブルの選定方法、配線器具の計画、電線管の種類と使い分け。
設備時計
電話、LAN、テレビ共聴、構内通信、電気時計など、弱電設備の設計や計画について。
ボックスに収容されたケーブル
電力ケーブル、通信ケーブル、光ファイバーなど数多く存在するケーブルの特徴を解説。
柱上に取り付けられた変圧器と電線
受変電設備の設計、各種保護装置の選定方法、受変電設備を構成する保護リレーの種類と整定方法など。
誘導標識
非常用照明、誘導灯、自火報、非常用発電機、防災用蓄電池など、災害発生時に使用する防災設備を学ぶ。
机の上に置かれた辞書
電気設備の関連業務を行うにあたり、必要と考えられる各種資格について学ぶ。
自然をイメージした植栽
カーボンニュートラルを達成し、二酸化炭素の排出を削減と吸収の技術について解説。
辞書を見る人
電気設備で使用される機器、材料、技術、指標や単位を解説したオンライン電気設備用語辞典。
計算機を操作する人
電気設備設計で用いられることの多い計算ツールを公開。
プライバシーポリシー
サイトを閲覧するための表示環境、公開情報に対する免責事項、閲覧時のプライバシーポリシーについて。