特別高圧
7,000Vを超える電圧区分
特別高圧は、電気設備技術基準において「7,000Vを超える電圧」と定義される電気の区分である。直流・交流の区別はなく、どちらであっても7,000Vを超過すれば一律に特別高圧として扱われる。略して「特高(とっこう)」とも呼ばれる。
一般的な高圧受電(6,600V)よりも大規模な電力を必要とする大規模工場、データセンター、大型病院、鉄道事業者などで採用される。電力会社からの供給電圧としては、地域や需要規模に応じて20kV(22kV)、35kV、60kV(66kV)、あるいはそれ以上の超高圧(154kV等)が選択されるが、一般需要家向けとしては20kV級と60kV級が代表的なメニューとなっている。
受電電圧と電気主任技術者の選任
特別高圧を受電する場合、受電電圧の大きさによって、選任すべき電気主任技術者の資格要件が異なる点が実務上の大きなポイントとなる。
受電電圧が20kV級(22kVや33kVなど)であれば、50,000V未満であるため「第三種電気主任技術者」を選任して維持管理を行うことが可能である。しかし、受電電圧が60kV級(66kVなど)になると50,000Vを超えるため、より上位資格である「第二種電気主任技術者」の選任が必須となる。第二種電気主任技術者は有資格者の絶対数が少なく、採用が困難であるため、60kV受電を計画する際は、設備の設計だけでなく、運用開始後の技術者確保の目処が立っているかどうかが事業リスクを左右する。
イニシャルコストとランニングコスト
特別高圧受電の最大のメリットは、高圧受電に比べて電気料金単価(従量料金)が安価に設定されている点にある。大量の電力を消費する施設では、長期的にはランニングコストの大幅な削減が見込める。
一方で、受電するための変電設備(特高変電所)は需要家側の資産として建設・維持管理しなければならない。特高変圧器、ガス絶縁開閉装置(GIS)、保護継電器などの機器は極めて高額であり、設置スペースも広大となる。さらに、定期的な法定点検や更新費用も膨大になるため、建設費と維持費のトータルコストで採算が合うかを慎重に検証する必要がある。
架空電線路の絶縁と離隔距離
特別高圧の電線路は、敷設形態によって絶縁の考え方が異なる。地中埋設や建物内への引込ケーブルとしては、高い絶縁性能を持つCVケーブルなどが用いられ、人が触れても感電しない構造となっている。
対して、鉄塔などで支持される架空送電線路においては、ケーブル自体の重量過大を防ぐため、被覆のない「裸電線(鋼心アルミより線など)」が使用されるのが一般的である。これらはがいしによって鉄塔や大地から絶縁されているが、電線そのものには絶縁被覆がない。そのため、樹木や建造物、人間が接近すると、接触していなくても空気絶縁が破壊されてアーク放電(スパーク)が発生し、地絡・短絡事故に至る。これを防ぐため、電圧階級に応じた厳格な「離隔距離」が電気設備技術基準で定められており、建築物等の離隔を確保しなければならない。












