トップランナー変圧器
省エネルギー基準の到達目標と進化
トップランナー変圧器は、省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)に基づき、その時点で商品化されている最も省エネ性能が優れている機器(トップランナー)の性能以上を目標基準値として設定された変圧器である。
2014年度(平成26年度)に導入された「第二次判断基準」では、1981年の旧JIS規格品と比較して約40%ものエネルギー消費効率向上が図られ、電力損失の大幅な削減に貢献してきた。さらに、2026年度(令和8年度)からは「第三次判断基準」が適用され、2014年基準と比較してさらなる効率改善(エネルギー消費効率で約11.4%向上など)が求められる新たなフェーズへと移行している。
変圧器の損失メカニズムと効率化
変圧器に通電すると、負荷がかかっていない状態でも鉄心で発生する「無負荷損(鉄損)」と、負荷電流が流れることでコイルの抵抗により発生する「負荷損(銅損)」という2つの電力損失が生じる。
これらの損失は、有効な電気エネルギーとして使われることなく、熱や振動エネルギーとして大気中に捨てられてしまう無駄なエネルギーである。トップランナー変圧器は、高機能な鉄心材料の採用や巻線構造の最適化により、これらの損失を極限まで低減する設計がなされている。
対象機器の範囲と除外規定
トップランナー制度の対象となる変圧器は、定格一次電圧が600Vを超え7,000V以下の「交流用油入変圧器」および「モールド変圧器」である。一般的なビルや工場の高圧受電設備(キュービクル)に設置される変圧器の大部分がこれに該当する。ただし、全ての変圧器が対象ではなく、以下の条件に当てはまるものは対象外となる。
- 単相変圧器で定格容量が500kVAを超えるもの
- 三相変圧器で定格容量が2,000kVAを超えるもの
- スコット結線変圧器(三相から単相2回路に変換するもの)
- その他、防爆型や風冷式などの特殊用途品
2026年新基準(第三次判断基準)への対応
2026年度より開始された新基準では、目標基準値がさらに引き上げられたため、変圧器本体のサイズや重量が旧基準品よりも大型化・重量化している場合がある。これにより、既設キュービクル内での更新において、搬入スペースや耐震強度の再検討が必要となるケースも懸念される。
なお、トップランナー制度はあくまで「製造事業者(メーカー)」に対して、基準を満たした製品の製造・出荷を義務付けるものである。したがって、需要家が現在使用している古い変圧器を、直ちに新型へ交換しなければならないという法的義務はないが、更新時期を迎えた機器については、ランニングコストの低減効果を考慮し、新基準適合品への更新を計画的に進めると良い。
建築設備で用いられる変圧器の仕組みや特徴、設計基準等については変圧器選定の基礎知識を参照。












