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トラッキング現象

トラッキング現象は、主にコンセントの充電側と接地側がホコリや汚れ、異物・水分などに汚染された場合に、導通してしまい発熱・発火する現象である。ホコリと水分が混合したものが、放電により炭化して電気が導通してしまうことが原因となる。

住宅で事例が多いトラッキング現象は、コンセントの表面に電気的な回路が構成されてしまい、電流が流れて発熱するというメカニズムになる。

トラッキングが発生し易い部分は、ほこりなどの汚れが体積しやすく、かつ清掃しにくい部分、油脂が多く発生し汚損する部分に集中している。家庭内ではキッチンコンセントが油脂を多く含む環境であるが、その中でも特に清掃しにくい「冷蔵庫の背面」のコンセントでの発生事例が多い。地震などで家電製品が揺れによってずれ、プラグが抜けかけになっているような状況も、充電部にほこりが堆積してしまう原因となり大変危険である。

トラッキングを防止するための手法としては、差し込むプラグにトラッキング防止カバーを設けることで、ホコリの汚れが発生しても充電部に接触しにくくすることや、トラッキング初期に発生する発熱や発煙、発生ガスを検出するといった方法が挙げられるが、年1回の清掃でも十分なので、コンセントの差し直しと清掃を行うことが重要である。

ほこりがコンセントの差し込み開口部に堆積することが、トラッキング発生の大きな原因であるので、使っていないコンセントを物理的に塞いでしまうことも効果的である。絶縁性のある樹脂製キャップを設けることも効果的である。

トラッキング防止カバーのついたコンセント

低圧以外のトラッキング事例

トラッキングを原因とした事故は、コンセントが身近な現象として代表的であるが、高圧電路であってもトラッキング火災が発生した事例がある。

真空遮断器(VCB)のトラッキングによる相間短絡という事故事例が公開されている。このように高圧配電設備のメーカーがトラッキングを原因とした事故事例を公表しているように、清掃を怠ることで発生する事故は低圧・高圧に限らず発生するおそれがあることに留意しなければならない。

トラッキングを防止する機構として、発生する熱や、電荷を含むガス成分を検出する「トラッキング検出コンセント」が各種メーカーから販売されているので、コンセントをそのような特殊機構付きとすることも事故防止に効果的であるが、トラッキング検出機能付きのコンセントを設けたとしても、定期的な清掃を行うことが最も効果的であることを理解しておくべきである。

 
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