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同期機(同期電動機)

滑りゼロで回転する定速度電動機

同期機は、固定子が作る回転磁界と、回転子(界磁)が完全に同じ速度で回転する交流電動機である。誘導電動機では、回転トルクを得るために回転磁界との速度差(すべり)が不可欠であるが、同期機は回転子そのものが強力な磁石(電磁石または永久磁石)となっており、回転磁界の磁極に吸引されて回転するため、原理的にすべりが存在しない。

電源周波数によって決定される「同期速度(Ns = 120f / p)」で常に一定回転を続ける特性を持つ。負荷トルクが変動しても、供給電圧と周波数が一定であれば回転速度は変化しないため、製紙工場の抄紙機やフィルム製造ラインなど、厳密な速度制御が求められる定速運転設備に採用される。また、発電所における発電機(同期発電機)も、この可逆原理を利用したものである。

界磁制御と位相調整機能(V曲線)

同期電動機の大きな利点は、回転子(界磁)に流す電流を調整することで、電機子電流の力率を任意に制御できる点にある。界磁電流を調整すると、電機子電流の大きさがV字型に変化することから、この特性図は「V曲線(位相特性曲線)」と呼ばれる。

界磁電流を強めると(過励磁)、コンデンサのように「進み力率」となり、弱めると(不足励磁)、リアクトルのように「遅れ力率」となる。この特性を利用し、工場全体の力率改善を行う「同期調相機(ロータリーコンデンサ)」として使用することも可能である。誘導電動機は常に遅れ力率となるため、同期電動機を併用することで電力系統の無効電力を補償し、送電ロスを低減できるメリットがある。

始動トルクの欠如と始動方式

同期機は、停止状態から商用電源を投入しても自力で回転を始めることができない。これは、固定子の回転磁界が高速(50Hz/60Hz)で通過してしまうのに対し、静止している回転子の慣性が大きく、磁極がロックできず始動トルクが発生しないためである。

これを解決するため、回転子の磁極表面に「制動巻線(ダンパー)」と呼ばれる導体を埋め込む方式が一般的である。始動時はこの制動巻線を利用して「かご形誘導電動機」として加速させ、同期速度付近まで回転数が上がったところで界磁電流を流し、回転磁界に引き込んで同期運転に移行する。大型機では、始動専用の小型電動機を軸端に直結して加速させる方式や、サイリスタ始動装置を用いる場合もある。

脱調現象と乱調

同期運転中に、定格を超える過負荷が急激にかかったり、電源電圧が大幅に低下したりすると、回転磁界の吸引力が負荷トルクに負け、回転子が同期速度から外れてしまうことがある。これを「脱調」と呼ぶ。

脱調すると、回転子は停止しようとする一方で、回転磁界からは激しい交番トルクを受けるため、異常振動と過大電流が発生し、巻線の焼損や軸の破損につながる。これを防ぐため、脱調保護継電器により速やかに電源を遮断する保護回路が必要となる。また、負荷変動に伴って回転速度が同期速度を中心に振動する「乱調」が発生する場合があり、これを抑制するのも制動巻線の重要な役割である。

PMモーターとメンテナンスフリー化

従来の同期機は、回転子(電磁石)に電流を供給するためにスリップリングとブラシが必要であり、摩耗粉の清掃やブラシ交換といった保守手間が欠点であった。しかし近年では、強力な希土類磁石(ネオジム磁石など)を回転子に使用した「永久磁石同期電動機(PMモーター)」が主流となっている。

PMモーターはブラシが不要(ブラシレス)であるためメンテナンスフリーであり、かつ回転子での電力損失(二次銅損)が発生しないため、誘導電動機よりも効率が高い。電気自動車(EV)の駆動用モーターや、高効率エアコンの圧縮機、産業用ロボットのサーボモーターなど、省エネルギーと制御性が求められる分野で標準的に使用されている。

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