低内圧ハロゲン球
ガラスグローブ内部にハロゲン元素やハロゲン化合物を充填し、フィラメントの消耗を抑制したハロゲン電球。ガラス内圧を低く抑えることにより安全性が向上し、保護ガラスを省略できるため小型化が可能とされている。電圧は12V等の低電圧であり、回路にトランスを組み込んで電源供給する。ランプ出力は10W、20W、35W、50Wなどが製品化されている。
定格寿命は3,000時間だが、ロングライフ対応のトランスを使用することで、6,000~9,000時間まで寿命を延長することが可能である。かつ調光が可能で輝度が高いため、商業施設などで使用されていたランプのひとつである。
形状は片口金式でEZ10(ねじ込み)とG5.3(ピン)の2形状が多く、50~75Wの小型ランプを用いたスポットライトやダウンライト器具として製品化されている。小型形状の器具を製作できるため、ディスプレイライトとしても利用されている。赤外線反射膜などを塗布し、さらに高効率化を測った製品なども実用化されていた。
一般的なハロゲン電球との違い
本来、ハロゲンランプは、ガラス管内にハロゲンガスとフィラメントを封入した構造を持つ。フィラメントのタングステンが蒸発してガラスに付着するのを、ハロゲンサイクル(タングステン原子とハロゲンガスが結合・分離を繰り返す化学反応)によって防ぎ、長寿命化と高効率化を実現している。通常のハロゲンランプは、ガラス管内のガス圧が高いため、万が一破損した場合にガラス片が飛散する危険性がある。このため、破損防止のために保護カバーや二重ガラス構造の器具が必要となる場合が多い。
一方、低内圧ハロゲン球は、ガラス管内のガス圧を低く抑えることで、破損時のガラス片飛散リスクを大幅に低減している。これにより、保護ガラスなしでの使用が可能となり、器具の小型化やデザインの簡素化に貢献している。
メリットと主要な用途
低内圧ハロゲン球の主な利点は以下の通り。
- ガス圧が低いため、保護カバーなしで使用可能
- 保護カバーが不要なため、照明器具のデザインの自由度が広がり、コンパクトな設計が可能
- 小型の反射鏡(リフレクター)と組み合わせることで、光の指向性を高め、スポットライトやダウンライトとして効果的
これらの特性から、店舗のディスプレイ照明、美術館・博物館の展示照明、住宅のダウンライトやスポットライトなど、小型で安全な指向性照明が求められるシーンで広く採用されている。
しかしながら、近年はLED光源の小型化・高性能化が進んでおり、新規物件における採用実績は少なく置き換えが進められている。ハロゲン電球の種類や使用場所、品番の読み方についてはハロゲン電球の種類と特徴を参照。












