電気設備の知識と技術 > 電気設備用語辞典 > ダウンライト
天井に埋め込む照明器具の一種で、筒状の照明器具本体を天井に隠蔽し、光源のみ天井面に見えるよう配置して床面を照射する照明器具のひとつである。照明器具の本体は全て天井裏に隠ぺいされるため、天井面には器具のトリム(フチ)とバッフル、光源のみとなる。
ダウンライトは照明器具の存在感をできる限りなくし、天井から光だけが照射されているという演出が可能であり、商業施設のモール、トイレ、住宅のリビングや廊下など、極めて幅広い用途で使用されている。高い輝度により、非日常感の演出にも多用される。
天井面に見えるトリム形状は丸型が基本だが、一部製品には角型や特殊形状の器具も存在する。トリムの色はホワイトやオフホワイトが標準だが、特注により天井に合わせた塗装も可能で、天井面と同色にすることで器具の存在感をより薄められる。
100~200lmの小出力の製品から、10,000lmを超えるような大出力の製品まで、ラインナップは幅広い。700~1,000lx以上の明るさを必要とする商業施設や展示室、4m以上の高天井空間でもダウンライトであっても十分な照度が確保できる。
注意点として、ダウンライトは直下が特に明るくなる照明器具であり、部屋全体を明るくする用途には適していない。住宅でダウンライトを多用すると、部屋全体の明るさにムラが生じるおそれがあり、リビングや洋室での利用は慎重な検討を要する。
照明器具を断熱材で覆うのは、放熱を阻害するため禁止されている。住宅の天井裏は断熱材が充填されていることが多く、断熱材を切り欠いてダウンライトを取付けることになるが、断熱材の欠損は熱の流失につながるため、断熱材でダウンライトを覆っても良い「S形ダウンライト」を採用すると良い。
S形ダウンライトは住宅用途が多いため、数千lmの大出力器具はほとんど生産されておらず、器具選定に制約がある。
ダウンライトは、床面を照らすだけでなく、壁面を照らすための「ウォールウォッシャーダウンライト」、首振りにより壁面サインや展示物を照らす「ユニバーサル(アジャスタブル)ダウンライト」など、特殊機能を持つダウンライトも存在する。
ダウンライトの光源を反射するレンズに光の角度を調整した製品が各メーカーから販売されている。カタログでは中角、広角といった名称で記載されているが、メーカーによって角度の決め方が違うため注意を要する。通常、ユニバーサルダウンライトは光の角度が狭く、一般ダウンライトは拡散タイプの光角までを網羅している。
デザイン上、照明器具を見せたくないという意匠コンセプトがある場合、ダウンライトは小径の製品が好まれる。メーカーの努力により、小径で大出力な製品が多数生産されている。径が小さいほど光の広がりがないため、壁面に近い場所に取付けると、スカラップと呼ばれる楕円の光が壁面に目立つことになる。
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