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スペースヒーター

キュービクルや分電盤、端子盤等の盤内を加熱するための電気ヒーターユニットのひとつ。ホーロー抵抗器等を搭載し、効率良く発熱することで盤内の温度を制御し、温度変化や湿度変化による結露を防止する。

盤内に変圧器やインバーター等の常時発熱体が搭載されている環境であれば、発熱により盤内の温度が維持されることで結露は発生しにくい環境となる。しかしブレーカーや制御リレーのみの場合、盤内に十分な発熱体がなければ、天候や季節の変動に伴う温湿度の変化により、盤内結露が発生し充電部の絶縁性能が劣化するおそれがある。

結露により短絡や地絡が発生すれば、保護装置作動による停電につながり危険であることから、スペースヒーターにより盤内の温度を制御し結露発生を防止することが望ましい。

スペースヒーターは電気式の加熱ユニットのため、消費電力は比較的大きく、小型の制御盤対象のヒーターであっても100W~200Wの消費電力となる。

スペースヒーターの計算例

スペースヒーターの容量は、熱影響を受ける面の表面積×温度差×熱通過率で示すことができる。分電盤の熱通過率は、一般的な鋼板×塗装とした場合に5~6[W/㎡・K]とされている。

盤の表面積については、床面や背面など外気に触れない部分を除外して、表面積を算出する。例えば自立盤で床面と背面が外気に触れていない場合は「盤の前面」「両側面」「上面」が表面積となる。

温度差については、盤内の結露防止のみか、凍結防止を含むかを検討して設定する。凍結防止まで考えた場合、盤内温度を5℃以上に維持するのが一般的であり、例として外気温が-5℃となることが想定される空間に盤を設置するのであれば、計算温度差を10℃と指定する。

スペースヒーターにより盤内温度を高くすることで、盤内の相対湿度が低くなり、盤内の金属部分が冷えていても結露発生を抑制することができ、充電部の絶縁性能の低下を防止することができる。

スペースヒーターにより盤内温度を5℃上昇できれば、相対湿度は20%程度の低減が見込めるため、外部の湿度が100%に近くなったとしても、盤内湿度を85%以下に低減でき、結露発生防止に効果的である。

なお樹脂系の分電盤であれば熱透過率が鋼板よりも小さいため、スペースヒーターの容量は小さく抑えることが可能である。

スペースヒーターの制御

スペースヒーターは温度が低くなった場合に動作すればよく、24時間常時オンにするのは好ましくない。盤内温度が高くなりすぎた場合、故障の原因となるためサーモスタット等で温度制御することが基本となる。

スペースヒーターの設定温度を15℃としておけば、15℃まではヒーター電源は自動的にオフとなり、11~10℃まで盤内温度が低下したときに自動的にオンとなるため盤内温度が維持される。

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