スコット変圧器
三相から単相2回路への変換と平衡化
スコット変圧器は、三相3線式の電源から、位相が90度異なる2系統の単相回路を取り出すための特殊結線変圧器である。内部結線は、一次側巻線の中点に接続された「主座」変圧器と、その中点に対して垂直に接続された「T座」変圧器の2台、あるいは1台のタンク内に収められた鉄心から構成される。
通常の三相電源から単相負荷を不用意に取り出すと、各相に流れる電流が不平衡となり、電圧降下のばらつきや、発電機においては逆相電流による回転子の過熱を引き起こす。スコット変圧器を使用し、二次側の2つの単相回路に等しい負荷を接続することで、一次側の三相電源には平衡した三相電流が流れる仕組みとなっている。
非常用発電機と単相負荷の供給
本変圧器が最も採用されるのは、非常用発電機回路である。非常用発電機は通常、動力負荷への供給を主目的とするため三相交流を出力するが、同時に照明やコンセントといった単相負荷への供給も必要となる。
発電機は商用電源(電力会社のグリッド)と比較して容量が小さく、不平衡負荷に対する許容度が低い。一般的に不平衡率30%以下の制約があり、単相負荷をR-S間、S-T間などに分散させるだけでは不十分な場合、スコット変圧器を介して三相平衡状態に近づける設計が標準となる。
近年では、太陽光発電システムや蓄電池設備のパワーコンディショナから、自立運転時に特定負荷として単相の照明・通信機器へ給電する際にも、相バランスを維持するために3kVA~10kVA程度のように小型のスコット変圧器盤が設置される事例が増加している。
容量選定と接地工事
スコット変圧器の容量表記は、二次側に取り出せる単相回路の「合計容量」で示される。例えば、100kVAのスコット変圧器を選定した場合、主座から50kVA、T座から50kVAの単相電力を取り出すことができる。設計時は、主座とT座の負荷が可能な限り均等になるよう回路分けを行うことが重要である。
接地工事については、変圧器のケーシングには使用電圧に応じた保安用接地として、300V以下ならD種接地工事、300V超ならC種接地工事を施す。また、二次側電路の混触防止として、単相3線式の中性点にはB種接地工事を施すことで、漏電遮断器による地絡保護が可能となる。












