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小勢力回路

最大使用電圧60V以下の保安回路

小勢力回路とは、電気設備技術基準において定義される回路種別の一つであり、最大使用電圧が60V以下であって、対地電圧300V以下の電路(強電流回路)から「絶縁変圧器」を介して結合され、供給される回路のことを指す。

通常、100Vや200Vの強電流回路では、感電や漏電火災を防ぐために厳格な絶縁性能や電線太さが求められる。しかし、小勢力回路は電圧が低く、かつ短絡時のエネルギーも制限されているため、人体への危険や火災リスクが極めて低いとみなされる。その結果、使用する電線の太さや工事方法において、強電流回路よりも緩和された基準(コード配線や細い通信線の使用など)が適用できるメリットがある。

電圧区分と短絡電流の制限

小勢力回路として認められるためには、電源供給元となる絶縁変圧器(小勢力回路用ベル変圧器など)の二次側短絡電流、または過電流遮断器の定格電流が、電圧区分に応じて以下の値以下に制限されている必要がある。

  • 最大使用電圧 15V以下:短絡電流 5A以下
  • 15Vを超え 30V以下:短絡電流 3A以下
  • 30Vを超え 60V以下:短絡電流 1.5A以下

この制限により、万が一回路がショートしても、電線が溶断・発火するほどのエネルギーが発生しないよう設定されている。

使用電線と施工上の規定

小勢力回路に使用する電線は、強電流回路で求められる直径1.6mm以上の軟銅線である必要はなく、直径0.8mm以上の軟銅線(またはこれと同等以上の強さ・太さのもの)を使用することができる。実務上は、警報用ポリエチレン絶縁ケーブル(AE線)や、着色識別ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CPEV、FCPEV)の0.9mmや1.2mmが多用される。

施工においては、金属管や合成樹脂管に収めるほか、屋根裏や壁の空洞部分であれば、造営材に直接留める「ステップル止め」や「転がし配線」も認められている。ただし、誘導障害や混触事故を防ぐため、強電流回路(100V/200V配線)と同一の管路やダクト内に収めることは原則禁止されている。同一ボックス内であっても、堅牢な隔壁を設けて離隔しなければならない。

代表的な適用例:リモコン配線

建築設備における代表的な小勢力回路は、照明制御に用いられる「ワンショットリモコン(24V)」や「フル2線式リモコン(信号±24V)」の操作回路である。壁スイッチと分電盤内のコントローラー(変圧器内蔵)との間を0.9mm-2Cなどの細い信号線で結ぶことで、配線スペースの削減と省施工化を実現している。

その他、インターホン、呼び出しベル(チャイム)、電気錠の制御線、火災報知機の表示線なども小勢力回路の規定に準じて設計・施工される。

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