電気設備の知識と技術 > 電気設備用語辞典 > 始動電流
定格電圧で電動機を始動するとき、一時的に電動機に流れる大きな電流。定格電流よりも大きな電流が短時間流れるが、その電流は定格電流の5~7倍の大きなものであり、電動機の回転速度が定格速度に到達するまで継続する。
始動時電力は力率が悪く、電源系統を乱す原因ともなる。始動電流の増大を防ぐために「始動装置」と呼ばれる装置を用いて、始動電流の低減を図るのが良い。始動装置には「スターデルタ始動」「コンドルファ始動」など、性能によっていくつかの種類がある。7.5kWや11kWといった大型の電動機を始動する場合に、始動装置を用いるのが一般的設計手法となっている。
電路に対して、始動時の大電流継続時間が長くなると、系統を保護している配線用遮断器が過電流と認識して、ブレーカートリップにつながるため、遮断器の選定は始動電流を考慮しなければならない。
遮断特性を電動機に特化した「モーターブレーカー」と呼ばれる電動機保護用の配線用遮断器も開発されているが、定格容量の汎用ファンに適した遮断器であり、高効率電動機などを保護する場合の選定が難しい。
電動機を配線用遮断器で保護する計画にあっては、配線用遮断器の用途を「短絡」による保護に限定し、過負荷電流の保護はサーマルリレーを用いるのが一般的である。
電動機の種類と保護の詳細については電動機の種類・保護・遮断器選定を参照。
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