試験用端子箱
避雷設備と接地極の縁切り
試験用端子箱は、屋上の避雷針(受雷部)から降りてくる引下導体と、地中に埋設された接地極とを接続する中継ボックスである。通常時はボルト締結により電気的に接続されているが、保守点検時にはボルトを外して物理的に切り離す(縁切りする)ことができる構造となっている。
この縁切り機能により、避雷設備本体の影響を受けずに「接地極単体の抵抗値」を正確に測定することが可能となる。また、逆に上部(避雷針側)の導通試験を行うための測定点としても機能する。
埋込型・露出型と意匠配慮
設置形態には、躯体コンクリートの中にボックス本体を埋め込む「埋込型」と、壁面にアンカー固定する「露出型」がある。試験用端子箱は通常、GL(地盤面)から1.5m~1.8m程度の、人が触れやすい高さの外壁に設置されるため、建物の外観に与える影響が大きい。
意匠性が求められるエントランス付近や、タイル張り・石張りの外壁においては、ステンレス製や黄銅製の化粧プレートを持つ埋込型を選定し、壁面とフラットに納めるのが基本である。一方、建物の裏手や点検用通路など、意匠性よりも施工性やコストが優先される場所では、樹脂製(ASA樹脂など)の露出型が採用される。
旧JIS規格における数値管理
1992年版の旧JIS規格(JIS A 4201)に基づいて設計された避雷設備では、接地抵抗値に対して明確な数値基準が設けられていた。具体的には、独立した接地極の場合は「単独接地抵抗50Ω以下」、システム全体での「総合接地抵抗10Ω以下」を維持することが求められた。
この数値を満たしていることを竣工時および定期点検時に証明する必要があったため、測定用の端子箱を設置することは必須要件であった。プレート表面には測定値を記録するための記入欄やカードホルダーが設けられている製品が多いのはこのためである。
新JIS規格と端子箱の省略
2003年以降のIEC規格に準拠した新JIS(JIS A 4201:2003)においては、接地抵抗の「値(Ω)」そのものよりも、接地極の「構成(材料・埋設方法・寸法)」が重視されるようになった。特に、鉄骨鉄筋コンクリート造の建物では、基礎鉄筋や鉄骨そのものを接地極として利用する「構造体利用接地」が標準となり、これらが電気的に一体化されていれば、個別の接地抵抗値を測定する意味合いが薄れている。
新JIS方式では、接地抵抗値に関する具体的な数値基準が存在しないため、接地極と引下導体の導通が確保されていればよいとされる。したがって、外部に露出する試験用端子箱を省略する設計も一般的となっている。ただし、経年変化による導通不良をチェックするメンテナンスの観点から、あえて設置を推奨する場合もあり、設計者の判断に委ねられる。












