接続箱
接続箱の役割と回路構成
接続箱(Junction Box)は、太陽電池アレイを構成する複数の直流回路(ストリング)を集約し、パワーコンディショナ(PCS)へ一本化して送電するための盤である。「直流集電箱」とも呼ばれる。
太陽光モジュールは直列に接続されて高電圧の「ストリング」を形成する。接続箱は、これら複数のストリング並列に接続して電流を合流させる役割を持つ。内部には、保守点検時に回路を切り離すための「入力開閉器(断路器)」、異常電流を遮断する「直流ヒューズ」、および雷サージから機器を保護する「SPD(避雷器)」が収納されており、発電システムの安全性とメンテナンス性を担保する中核設備である。
逆流防止対策とダイオードの選定
接続箱の重要な機能の一つに「逆流防止」がある。
複数のストリングを並列接続している場合、建物や樹木の影によって一部のストリングの発電電圧が低下すると、他の正常な高電圧ストリングから電圧の低いストリングへ向けて電流が逆流する現象が発生する。これはモジュールの発熱や焼損事故の原因となる。
これを防ぐため、各入力回路には「逆流防止ダイオード」または「逆流防止機能付きヒューズ」を設置する。ただし、ダイオードは常時通電による発熱損失(ヒートロス)が大きいため、近年ではPCS側でMPPT(最大電力点追従)制御を個別に行うことで、接続箱内でのダイオードを省略する設計も増えている。
設置環境への適応と熱設計
接続箱は、モジュールの近傍、すなわち屋上や屋根などの過酷な屋外環境に設置されることが一般的である。
風雨に晒されるため、JIS C 0920における保護等級IP44以上とし、塩害地域や激しい雨を想定する場合はIP55以上のの防水・防塵性能を保持した製品を選定する。また、直射日光による筐体内部の温度上昇は、ダイオードやブレーカーの性能低下を招くため、遮熱板の設置や、二重構造筐体の採用が望ましい。
工場や倉庫の折板屋根に設置する場合、接続箱の影がモジュールに掛かると発電量が大幅に低下し、ホットスポットの原因にもなる。これを防ぐため、盤を自立させず、屋根勾配に合わせて寝かせた状態で設置できる「低背型」や「傾斜対応型」の接続箱を選定する配慮が必要である。
法規制と接地工事の区分
電気設備技術基準の解釈において、太陽光発電設備の直流電路は、その使用電圧によって接地工事の種類が区分されている。
- 使用電圧300V以下:D種接地工事(100Ω以下)
- 使用電圧300V超過:C種接地工事(10Ω以下)
住宅用であっても、近年の高効率モジュールは直列数を増やしてシステム電圧を高く設定する傾向にあり、開放電圧が300Vを超えるケースが大半である。したがって、接続箱の金属製筐体には原則としてC種接地工事を施さなければならない。ここでの接地抵抗値不足は、漏電遮断器の不動作や感電事故に直結するため、施工管理上の重要ポイントである。
マルチストリングPCSと接続箱の省略
従来は「接続箱」で集電してから「PCS」へ送る方式が主流であったが、近年はPCS自体に複数のストリングを直接入力できる「マルチストリング方式」や、接続箱機能を内蔵したPCSが普及している。
これにより、外部接続箱を省略し、施工コストの削減と配線ロスの低減が可能となった。設計者は、採用するPCSの入力仕様(回路数や最大入力電圧)を確認し、外部接続箱の要・不要を適切に判断する必要がある。
太陽光発電設備の設計や技術情報については太陽光発電設備の基礎知識を参照。












