ループ受電方式
電力会社からの受電方式のひとつで、変電所と複数需要家の配電網を環状につないだ構成。需要家はループ構成となっている配電網から常時2回線受電するため、電力会社の片側系統が事故停電を起こしても、事故系統を遮断することで健全な系統からの受電を継続できる。特別高圧受電設備において採用される信頼性の高い電力供給方式の一つである。
ループ受電方式は、変電所から需要家へ至る配電線をループ(環状)状に構成し、通常は2方向から電力供給を行う方式である。高度な電源供給が求められるオフィスビル、工場、病院、データセンターなどで採用される。需要家は環状線上の2箇所から電力供給を受ける形となり、電力会社側の系統運用も柔軟に行える特徴がある。
万が一、ループ上の一部の回線で事故(地絡や短絡など)や点検による停電が発生した場合でも、残りの健全な回線を通じて電力供給を継続または迅速に復旧することが可能である。
ループ受電にて受電する需要家側の受電設備は、ループを構成するための大規模設備が必要となり、かつ保護継電器や電路の監視を行わなければならないため、設備コストは1回線受電や2回線受電よりも過大となる。
主に22kV~66kVでの特別高圧による配電網で使用されている。ループ配電網には大規模需要家が多数接続されており、波及事故による影響は甚大となるため、その保護システムは大規模となりイニシャルコスト、ランニングコストともに大きくなることが予想される。
ループ受電のメリット
- 事故時や点検時に停電を回避または最小限に抑えられる
- 2回線で負荷を分担するため、個々の回線の負荷が軽減され、電圧変動が少なく安定した電力供給が可能
- 故障箇所の特定と健全な回線への切り替えが比較的容易であり、停電時間の短縮に繋がる
ただし負荷分散については、点検や事故時に特高変圧器を早期更新できることを考慮し、1つの変圧器で全負荷を供給できるようにしておくことが望ましい。またコスト面も負担が大きくなるため、計画時には注意を要する。












