ループコイル式車両検出器
ループコイルの基本構造と検出原理
ループコイル式車両検出器は、車路管制設備や交通管理設備において、車両の存在や通過を検知するために路面に埋設されるセンサーである。ループ状に巻かれた電線(コイル)と、微小な高周波電流を流す検出器本体で構成される。
コイルの直上に自動車などの大きな金属体が進入すると、電磁誘導の法則により車両の金属シャーシ底面に渦電流が発生する。この渦電流がコイルの磁界を打ち消す方向に作用するため、ループコイルのインダクタンス(自己誘導係数)が低下する。検出器はこのインダクタンスの低下に伴う発振周波数の変化を捉え、「車両が存在する」という接点信号を出力する。
耐候性の高さと非金属の排除
ループコイル式は路面下に物理的に埋設されるため、赤外線センサーや超音波センサーのような空間検知方式と比較して、環境要因による誤動作が少ないという電気的特性を持つ。雨、雪、濃霧といった悪天候や、落ち葉、直射日光の影響を受けず、長期間にわたり高い検出精度を維持する。
また、検知の対象が磁界を変化させる金属体に限定されるため、人体、動物、木材などがループコイル上を通過してもインダクタンスの変化は生じず、信号は出力されない。これにより、歩行者の通過による電動ゲートやシャッターの誤開放を防止する。
複数コイルによる方向判別と速度計測
ループコイルの敷設配置を工夫することで、単なる存在検知以上の高度な管制が可能となる。車両の進行方向に沿って2つのループコイルを直列に配置すると、車両がいずれのコイルを先に踏んだかという時間的な順序(AからB、またはBからA)によって、進入か退出かの進行方向を判別できる。
さらに、2つのコイル間の距離をあらかじめ設定しておき、前輪が1つ目のコイルを通過してから2つ目のコイルを通過するまでの時間差を計測することで、車両の走行速度を算出できる(速度 = 距離 ÷ 時間)。この計測原理は、高速道路や幹線道路に設置されている自動速度違反取締装置や、渋滞長を計測する交通量観測装置など、様々な用途において幅広く活用されている。
駐車場管制設備における連動制御
建築物の駐車場設備において、ループコイルは自動化と安全管理のための主要な入力インターフェースとして用いられる。
- ゲート制御:駐車券発行機の前での停車検知や、車両が通過し終わったことを確認して遮断桿(ゲートバー)を自動降下させる安全装置として機能する。
- 満空管理:出入口における車両の入出庫台数を方向判別によってカウントし、場内の駐車台数を演算して満車・空車の表示盤を制御する。
- シャッター連動:スロープや出入口に接近する車両を検知して電動シャッターを自動で開放し、通過完了後に閉鎖する。
- 出庫警報:歩道に面した出口において、車両の出庫を歩行者に知らせるための回転灯やブザーを起動させる。
埋設施工の手順と実務上の留意点
既存のアスファルトやコンクリート路面にループコイルを新設する場合、路面を専用のコンクリートカッターで幅5〜10mm、深さ50mm程度の溝状に切断する。その溝の中にループコイルを這わせ、樹脂モルタルを充填して表面を補修する。新設の場合は、アスファルトの下部に充填する砕石にループコイルを敷き込み、砂または土を充填してアスファルトを上から被せるようにして路面を構築する。
鉄筋コンクリート(RC)構造の床スラブに埋設する場合、内部の鉄筋網やメッシュ筋が巨大な金属体として作用し、ループコイルのインダクタンス変化を吸収して検出感度が著しく低下する。そのため、配筋やメッシュ筋の上部に一定の離隔距離(40mm程度)を確保できるようにコイルを埋設する。












