リチウムイオン電池
基本構造と高エネルギー密度
リチウムイオン電池(Lithium-ion Battery)は、正極と負極の間をリチウムイオン(Li+)が移動することで充放電を行う二次電池である。正極にはコバルト酸リチウムなどの「リチウム金属酸化物」、負極には炭素材料である「グラファイト(黒鉛)」が一般的に用いられ、電解液を満たしたセパレータで絶縁されている。
従来のニッケルカドミウム電池(Ni-Cd)やニッケル水素電池(Ni-MH)と比較して、起電力が約3.7Vと高く、単位体積・重量あたりのエネルギー密度が極めて高い。このため、スマートフォンやノートパソコンといった小型モバイル機器の電源として不可欠な存在となっており、近年では電気自動車(EV)や産業用ドローン、データセンターのUPS(無停電電源装置)など、大電力用途への採用も進んでいる。
メモリー効果の欠如とサイクル特性
リチウムイオン電池の運用上の大きな利点は、「メモリー効果」が発生しないことである。メモリー効果とは、電池容量を残した状態で継ぎ足し充電を繰り返すと、見かけ上の容量が減少してしまう現象であり、ニカド電池などで顕著に見られる。
リチウムイオン電池はこの現象がないため、使用者が残量を気にせず頻繁に充放電を行っても性能劣化が少ない。また、自己放電率も月数%程度と低く、長期保管後の使用にも耐えうる特性を持つ。ただし、満充電状態で高温環境に放置すると劣化が進行しやすいため、保管時は充電率(SOC)を50%程度に留める運用が推奨される。
安全性とバッテリーマネジメントシステム(BMS)
高エネルギー密度である反面、過充電や過放電、外部衝撃による内部短絡が発生すると、熱暴走を引き起こし、発火や破裂に至るリスクがある。
このため、セル単体での使用は避け、必ず電圧、電流、温度を常時監視するバッテリーマネジメントシステム(BMS)や保護回路を組み合わせて使用しなければならない。設備用蓄電池として採用する場合も、厳密な温度管理と、異常発生時にセルを遮断する安全機構が組み込まれた認定品を選定することが重要である。
リチウムイオン電池の詳細についてはリチウムイオン電池の特徴と仕組みを参照。












