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励磁突入電流抑制機能付きLBS

励磁突入電流抑制機能付きLBSの概要

励磁突入電流抑制機能付きLBS(高圧交流負荷開閉器)は、変圧器への通電開始(投入)時に発生する過大な「励磁突入電流」を抑制し、配電系統の電圧低下を防ぐための特殊な高圧開閉器である。

変圧器の投入時に発生する励磁突入電流の抑制効果は、高圧系統や電力会社の送配電線への影響を小さく抑えることにつながる。

高圧変圧器は投入時に、定格電流の10倍といった大電流が過渡的に発生するという特性があるため、配電系統の電圧を低下させるという悪影響を及ぼす。変電設備の能力が小さな系統では、電圧低下による影響により近隣停電を引き起こす等の事故につながるおそれがあるため、特に電力会社の配電線網では瞬時電圧低下による電圧変動の影響を低減させることが求められる。

高圧変圧器を投入すると、鉄心の磁気飽和現象により、定格電流の約10倍にも達する突入電流が過渡的に流れる特性がある。この大電流は系統のインピーダンスによる電圧降下を引き起こし、同一系統に接続された他の需要家において瞬時電圧低下(瞬低)や照明のチラつき(フリッカ)を発生させる原因となる。

電力会社の供給約款では、この電圧変動率を一定以下(一般的に10%以下)に抑えることが規定されており、特に単体容量が500kVAを超えるような大型変圧器を持つ需要家では、通常のLBSに代わり本機器の設置が推奨または指導される。

メーカーによる名称と機能の違い

三菱電機からは「エネセーバ」、エナジーサポートからは「エナミック」が生産されており、いずれも「励磁突入電流抑制機能付LBS」として販売されている。2025年現在、三菱電機のエネセーバは電動による自動投入可能なLBSのみ、エナジーサポートのエナミックは手動投入と自動投入のラインナップがある。

いずれもLBSの一種であり、電動動作の可能な製品であれば遠隔信号による投入や開放ができるため、停復電シーケンスへの組み込みが可能となる。当然ながら手動LBSと比較して非常に高価であり、イニシャルコストの増大について比較検討を十分行うことが望ましい。

キュービクルに組み込まれたエネセーバ

停電発生時の一斉開放

停電が発生した系統では、不足電圧継電器を用いてVCBを開放し、再送電時に複数の変圧器に自動送電されないように計画する。電力会社が送電を再開した際に、一斉に変圧器に通電されることを避けなければならない。

特に変圧器は投入時に励磁突入電流が発生するため、複数台の変圧器に一斉電圧が印加されると、励磁突入電流も一斉に同時発生するため、著しい電圧低下につながるおそれがある。

そのため、不足電圧信号を受けてVCBをすべて開放するシーケンスを設定するが、電動式の励磁突入電流抑制機能付LBSを導入することで変圧器単位で停電時の制御が可能となり、より安全性が高いシステムを構築することができる。

停電・復電時のシーケンス制御

本機器を採用する規模の設備では、停電および復電時の動作シーケンス(順序制御)が重要となる。

停電が発生した場合、不足電圧継電器(UVR)の信号により、受電遮断器(VCB)や電動LBSを一斉に開放(トリップ)させる回路を組むのが一般的である。これは、電力会社からの送電が再開された際、すべての変圧器に対して同時に電圧が印加されるのを防ぐためである。

もし対策なしで復電された場合、全変圧器の励磁突入電流が重畳(合計)され、著しい電圧低下を招き、保護継電器の誤動作や近隣への波及事故につながるリスクがある。

復電後は、一度にすべての変圧器を投入せず、変圧器ごとの励磁突入電流が減衰するのを待ってから次を投入する「順次投入」を行う。

具体的には、上位のVCB投入後、各LBSの投入回路に設けたオンディレイタイマーにより、2秒程度ずつの時差(タイムラグ)を設けて自動投入させる。電動式の励磁突入電流抑制機能付きLBSであれば、この自動シーケンス制御への組み込みが容易であり、安全かつ確実な復旧操作が可能となる。

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