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🏠 電気設備の知識と技術 > 電気設備用語辞典 > 励磁突入電流抑制機能付きLBS
変圧器の投入時に発生する励磁突入電流を抑制し、高圧系統や電力会社の送配電線への影響を小さく抑えることができる、高圧負荷開閉器のひとつである。
高圧変圧器は投入時に、定格電流の10倍といった大電流が過渡的に発生するという特性があるため、配電系統の電圧を低下させるという悪影響を及ぼす。変電設備の能力が小さな系統では、電圧低下による影響により近隣停電を引き起こす等の事故につながるおそれがあるため、特に電力会社の配電線網では瞬時電圧低下による電圧変動の影響を10%以下に抑えるよう規定している。
単体で500kVA以上の変圧器を投入するなど、定格電流の大きな変圧器は励磁突入電流も大きくなるため、LBSに替えて励磁突入電流抑制機能付LBSを取り付ける事例が多く、広く普及している。
三菱電機からは「エネセーバ」、エナジーサポートからは「エナミック」が生産されており、いずれも「励磁突入電流抑制機能付LBS」として販売されている。2025年現在、三菱電機のエネセーバは電動による自動投入可能なLBSのみ、エナジーサポートのエナミックは手動投入と自動投入のラインナップがある。
いずれもLBSの一種であり、電動動作の可能な製品であれば遠隔信号による投入や開放ができるため、停復電シーケンスへの組み込みが可能となる。当然ながら手動LBSと比較して非常に高価であり、イニシャルコストの増大について比較検討を十分行うことが望ましい。
停電が発生した系統では、不足電圧継電器を用いてVCBを開放し、再送電時に複数の変圧器に自動送電されないように計画する。電力会社が送電を再開した際に、一斉に変圧器に通電されることを避けなければならない。
特に変圧器は投入時に励磁突入電流が発生するため、複数台の変圧器に一斉電圧が印加されると、励磁突入電流も一斉に同時発生するため、著しい電圧低下につながるおそれがある。
そのため、不足電圧信号を受けてVCBをすべて開放するシーケンスを設定するが、電動式の励磁突入電流抑制機能付LBSを導入することで変圧器単位で停電時の制御が可能となり、より安全性が高いシステムを構築することができる。
停電が系統に発生した場合、VCBや電動LBSを一斉に開放状態とすることで、再送電時の変圧器同時送電を回避する。
復電時に複数の変圧器が同時投入されないよう、上流から順番に投入するシーケンス設定とする。変圧器は励磁突入電流による過渡的な電流変化が落ち着いた時点で、次の変圧器を投入する必要があるため、投入タイマーを2sec程度ずつずらし、上位遮断器・開閉器から順次投入として励磁突入電流を抑制する。