塗代カバー
コンクリート等の壁に打ち込むアウトレットボックスやスイッチボックスのカバーで、モルタル等の仕上を行うための厚みを見込んだもの。鉄製とプラスチック製がある。
塗代カバーにはスイッチやコンセントと同様に「1個用」「2個用」「丸型」の製品がある。塗代開口部はコンクリート打設時にトロ侵入のおそれがあるため、トロ防止シールを取り付ける。
建築現場では、ボックスをコンクリートやモルタルで埋め込んだ後、壁面に仕上げ材(モルタル、プラスターボード、タイルなど)を施工する。この際、ボックスの内部にモルタルや粉塵、ごみなどが侵入すると、後の配線作業や器具の取り付けに支障をきたす。塗代カバーは、この侵入を防ぐ「蓋」として機能する。
名称の由来である「塗代(ぬりしろ)」とは、壁の仕上げ材の厚みのことである。塗代カバーは、この仕上げ材の厚み分だけボックスの開口部よりもせり出して設計されている。これにより、壁の仕上げが完了した時点で、カバーの表面(または仕上げ材の表面)とボックスの開口端がちょうど面一(つらいち)になるようになっている。美しい仕上がりとスムーズな器具取り付けを実現する。
塗代カバーの材質と形状・用途
プラスチック製(樹脂製)は現在の主流となっている。軽量で加工しやすく、錆びないため耐久性に優れている。また、電気を通さない絶縁性も大きな利点である。鉄製はかつては一般的だったが、錆びやすく重いことから、現在は特定の防火区画や特殊な用途でのみ使用されることが多い。
ボックスの種類は、四角アウトレットボックス用、八角ボックス用、丸型ボックス用、小判型ボックス用など、埋め込むボックスの形状とサイズに対応している。スイッチ・コンセント用として、1個用、2個用、3個用など、取り付ける配線器具の数に応じた開口部を持つタイプが一般的である。ブランク(穴なし)の、単に開口部を塞ぐための完全に閉じたタイプもある。
コンクリート打設時にボックスが傾いてしまうと連用枠を取り付けられないが、塗代カバー部で傾き補正ができる製品、マグネットを内蔵しコンクリート打設で塗代カバーが隠れてしまっても容易に探知ができる製品など、施工性向上や施工難易度を下げるための改良が施されている。












