ノックアウト(電気設備)
ノックアウト(打ち抜き孔)の概要
ノックアウト(Knockout)とは、金属製のアウトレットボックス、スイッチボックス、コンクリートボックスなどの側面や背面に予め設けられている、配管接続用の円形の打ち抜き予定部のことである。新品の状態では金属板で閉塞されているが、円周に沿って薄肉加工(スリット)が施されており、衝撃を加えることで容易に取り外せる構造となっている。
電線管(PF管や薄鋼電線管など)をボックスに接続する際、このノックアウトを打ち抜いて開口部を作り、コネクタやロックナットを用いて固定する。ノックアウト穴は16mmと22mmの電線管を接続することが可能なよう、複数の開口が設けられているのが一般的である。なお、サイズが任意のプルボックスや盤類にはノックアウトは設けられていないため、ホールソーやノックアウトパンチャーを使用して、必要な径の穴を現場で加工する必要がある。
施工手順と電線保護
ノックアウトの取り外しは、ハンマーの柄やドライバーのグリップエンドなどで衝撃を与えてタブを傾け、ペンチでひねり取るのが一般的である。きれいに取り外さないと、バリが残ったりボックスが変形したりする原因となる。
開口部には鋭利な金属バリが残ることが多いため、電線管を接続せず直接ケーブルを通線する(ノックアウト配線)場合は、必ずゴムブッシングや膜付グロメットを装着しなければならない。これらを省略してケーブルを通すと、金属エッジによって絶縁被覆が損傷し、地絡や短絡事故につながる危険性がある。
不要な開口の閉塞と補修
原則として、使用する箇所のノックアウトのみを打ち抜くべきであるが、設計変更や施工ミスにより、不要な穴を開けてしまう場合がある。また、同心ノックアウトで意図せず大きな穴が開いてしまうこともある。
不要な穴を開いたまま放置すると、そこから虫などの害虫、ほこり、湿気がボックス内部に侵入し、機器の故障やトラッキング現象による火災の原因となる。そのため、誤って開けてしまった孔には、必ずノックアウトキャップ(閉塞蓋)を取り付けて穴を塞ぐ必要がある。樹脂製や金属製の専用部材が各種メーカーから販売されている。
多重ノックアウト(基本的に国外仕様)
ボックスのノックアウトには、単一のサイズだけでなく、異なるサイズの配管に対応できるように同心円状に複数の溝が刻まれているものがある。これを多重ノックアウトと呼ぶ。これは国外での施工では一般的であるが、日本国内で普及していない。
- 同心:中心が同じで、外側に広がるように複数のサイズ(例:G16とG22)が設定されているもの。
- 偏心:中心をずらして、各サイズの孔が接するように配置されているもの。
例えば「16(22)」という表記がある場合、内側の溝を抜けば16mm用、外側の溝まで抜けば22mm用の穴として使用できる。小さいサイズを使用する場合は内側のみを慎重に叩いて抜く必要があるが、施工に慣れていないと外側の大きなサイズまで誤って抜けてしまうことがあるため、力加減には注意を要する。












